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» 2007年03月01日 00時00分 UPDATE

DVI、HDMI、DisplayPort、UDI――各仕様の特徴と問題点を解き明かす:ビデオインターフェース最前線 (1/5)

地上放送などに代表されるコンテンツのデジタル化に伴い、ビデオインターフェースのデジタル化が進んでいる。このデジタルビデオインターフェースのデファクトスタンダードを狙い、HDMI、DisplayPortなどの規格が争っている。これらの規格の特徴とそれぞれが抱える課題をまとめることで、次期ビデオインターフェースでいずれの規格が主導権を握るのか占ってみたい。

[Brian Dipert,EDN]

変容が進む民生機器

 最近のホームシアター機器の背面をのぞくと、信号を伝送するためのコネクタが多数存在することに気付く。例えば、デノン コンシューマ マーケティング(以下、デノン)の「AVR-5805」(日本向けの「AVC-A1XV」に当たる)の背面は次ページの図1のようになっている。非常にたくさんあるRCAジャックは、アナログの音声信号やコンポジット映像信号、コンポーネント映像信号などの伝送に使われる。一方、ミニDINコネクタは、S映像信号を伝送する*1)。左右にある、バナナプラグの差し込みが可能な端子は、増幅された音声信号をスピーカに伝送する。

 これらはいずれもアナログ信号を伝送するための端子である。しかし、背面パネルの下2列をさらによく見てみると、デノンが将来のデジタルオーディオインターフェースへの対応を見据えていることがうかがえる。

 この列にあるRCAジャックと光角型コネクタは、デジタルオーディオインターフェースであるS/PDIF(Sony/Philips digital interface)に対応している。また、イーサーネット用のRJ-45コネクタやIEEE 1394コネクタは、ネットワーク経由のデジタル音声信号に対応するために用意されている*2)

 デノンはデジタルビデオインターフェースの普及も見据えているようだ。背面パネル最上列にDVI(digital visual interface)およびHDMI(high definition multimedia interface)用のコネクタを備えていることから、そのことが見て取れる。

図1 AVR-5805の背面パネル 図1 AVR-5805の背面パネル この機器の背面パネルには、膨大な数のコネクタ列がある。IEEE1394、イーサーネット、DVI、HDMIに対応した端子があり、デジタル伝送に対応しようという姿勢がうかがえる。

なぜ、デジタル化が進むのか

 デノンの製品に限らず、最近はデジタルビデオインターフェースを備えた民生機器が増えてきている。代表的なデジタルビデオインターフェースであるDVIやHDMIについて説明する前に、まずこれらのインターフェースがシステムに必要となった背景について考えてみよう。言い換えれば、「なぜ、アナログからデジタルへの移行が起きているのか」ということだ。

 その答えの1つは、コンテンツのデジタル化にある。音声コンテンツでいえば、かつてはカセットテープやLPレコードが主なリソースであった。しかし、現在ではそれが光ディスク、あるいはインターネット、アンテナなどからダウンロードしたり、ストリーミング配信で受け取ったりする形に変わった*3)、*4)。ビデオコンテンツにおいても、光ディスクや、ケーブル、DSL(digital subscriber line:デジタル加入者線)、地上放送、衛星放送などを介したデジタルビットストリームが一般的になった。こうしたデジタルメディアが、アナログ放送やビデオテープなどの前世代のメディアに取って代わろうとしている*5)

 次に、コンテンツを受け取る側について考えてみる。われわれの目や耳にコンテンツが届く一歩手前では、音や映像を再生する処理が行われる。これらの処理は、本質的にはアナログで行われる。しかし、音声に関しては、スピーカのようなトランスデューサを駆動するのに用いられるD級デジタルアンプが出現した*6)。また、映像については従来主流であったアナログCRTディスプレイに代わって、液晶パネル、プラズマディスプレイ、プロジェクタに使用されるLCOS(liquid crystal on silicon)やDLP(digital light processing)など、デジタルを中心とする製品が出現している*7)、*8)

 さらに、ビデオ送信機器とその受信機器との間で行われる複数の段階から成る処理について考えてみよう。その処理には、リサンプリングやリサイジング、ミキシング、フォーマット変換などがある。これらデジタル領域の処理は、コンテンツに対し、視聴して分かってしまうレベルの品質低下を引き起こす可能性がある。

 この品質低下を抑えるには、デジタルからアナログ、またはアナログからデジタルへの不要な変換をなくすこととだ。それによって、可能な限り高品質な状態に保ったまま視聴者にコンテンツを届けることができる。それだけでなく、システムコストを削減することも可能になる。

 加えて、アナログ信号はケーブルによる減衰、特性インピーダンスの不整合による歪(ひずみ)、EMI(electro magnetic interference:電磁干渉)によるノイズの混入などにより劣化する。さらに、単一の配線で複数の信号を多重伝送する場合、アナログ信号では干渉が生じないようにするのは困難である。それに対し、デジタル信号であればこの多重伝送を容易に実現できる。

 こうしたことから、音声/映像を取り扱う機器において、アナログインターフェースからデジタルインターフェースへの移行に拍車がかかっているのである。

デジタル化は著作権管理にも有効

 もう1つ、少なくとも一部の人々にとっては最も重要なデジタル化の利点について言及しておく。

 コンテンツの著作権所有者は、アナログコンテンツの違法コピーに、何年にもわたって悩まされ続けてきた。彼らは、今でもその対策に追われている。

 一方、デジタルコンテンツでは、簡単に暗号化を行うことが可能である。それにより、配信元と受信側機器との間でやりとりされるコンテンツを保護することができる。さらに、デジタルの場合はコンテンツを保護するためにさまざまな制約を設けることが可能である。例えば、誰に何回アクセスを許可するのか、最初にアクセスされるまでの時間をいつまでとするのか、アクセス後の継続時間をどのくらいにするのか、どの程度の品質で視聴可能とするのか、複製を許可するのか、許可するならその回数と品質レベルはどうするのかといった制限である。

 このような機能は、DRM(digital rights management:デジタル著作権管理)と呼ばれる。このDRMは、コンテンツ管理システムを実現するのに適した機能も備える。保護機能自身の更新や無効化なども容易に行えるのだ*9)

 さらに、DRM違反を阻止できなかった場合でも、デジタル領域に電子透かしを入れ込んでおくことにより、侵害者を特定し、迅速に告発することも可能である。

 このように、著作権者にとってはデジタル化ならびにそれに伴うDRMの導入は非常に有意義である。ただし、本稿を読み進めることで明らかになるが、DRMには欠点もある。その欠点とは、DRMが消費者が最新の民生機器を使用するときに遭遇する使いづらさの原因となっているということである。使用が容易だったアナログ製品と比較して、DRMの機能を備えたデジタル製品では、メディアへのアクセスが制限されるだけではなく、その使用方法においても問題が生じることが多いのだ。

脚注

※1…Dipert, Brian, "A crash course in color conversion," EDN, June 7, 2001, p.46., http://www.edn.com/article/CA85641

※2…Dipert, Brian, "CAT5 tracks: Audio goes the distance, reliably and on time," EDN, July 7, 2005, p.47., http://www.edn.com/article/CA621641

※3…Dipert, Brian, "Upward spiral: optical storage," EDN, Aug 7, 2003, p.38., http://www.edn.com/article/CA313055

※4…Dipert, Brian, "Song wars: striking back against the iPod empire," EDN, June 9, 2005, p.52., http://www.edn.com/article/CA605502

※5…Dipert, Brian, "Subpar wars: high-resolution-disc formats fight each other, consumers push back," EDN, March 2, 2006, p.40., http://www.edn.com/article/CA6309108

※6…sraelsohn, Joshua, "Class D Gen 3, " EDN, April 15, 2004, p.49., http://www.edn.com/article/CA408383

※7…Dipert, Brian, "Master of some: direct-view-display technology," EDN, March 3, 2005, p.38., http://www.edn.com/article/CA505067

※8…Quinnell, Richard A, "Microdisplay technologies: Projections systems lose contrast," EDN, April 14, 2005, p.35., http://www.edn.com/article/CA514959

※9…Dipert, Brian, "Media security thwarts temptation, permits prosecution," EDN, June 22, 2000, p.101., http://www.edn.com/article/CA89612


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