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モデルベース開発ツールを使いこなせ組み込み開発の効率化を実現するために(2/5 ページ)

» 2007年04月01日 00時00分 公開
[Warren Webb,EDN]

モデルベース開発ツールの効用

 システムモデリングを行うメリットの1つは、設計を確定してハードウエアを製造する前に、システムの動作をシミュレーションできることである。シミュレータを利用してテストを行うことにより、その性能がシステム要件を満たすよう最適化することが可能である。もちろん、パソコンベースのシミュレーションによって、リアルタイムシステムの性能を厳密に評価したりすることはできないが、それでもユーザーインターフェースなど多くの機能のテストが行える。また、ほとんどのモデリングシステムにはエラーチェック機能も組み込まれている。それにより、矛盾している個所やあいまいな部分を自動的にチェックし、開発サイクルの初期段階で潜在的なミスを除去することができる。

 グラフィカルモデルをシミュレータやコードジェネレータと併用することにより、ハードウエアのプロトタイプを製造する前に、動作可能なシステムソフトウエアを構築することができる。この手法であれば、すべての機能パスを比較的容易に実行できるので、初期のトラブルシューティングやデバッグが効果的に行える。*1)

 モデルベース開発ツールの中には、コードを変更した場合、自動的に同期を取ってモデルを更新する機能を備えているものもある。このリバースエンジニアリング機能は、設計作業とコーディング作業を関連づけ、モデルを常に最新の状態に保つことを保証するものである。この機能を使えば、既存のソースコードからモデルを生成することも可能なはずだが、それが実用的なレベルでうまくいくかどうかはそのコードがどのように作られているかに依存する。

 多くのモデルベース開発ツールでは、すべてのシステムデータを、グラフィカル形式とテキスト形式の両方で抽出できるようになっている。また、指定した書式でのドキュメント生成が可能なものもある。リバースエンジニアリング機能と同様に、ドキュメントの自動生成機能は、変更に応じて設計情報を最新の状態に保つことを保証する。

UML:標準化されたモデリング言語

 UML(unified modeling language:統一モデリング言語)は、コードの自動生成に用いるモデルを作成するために開発者がよく使う言語である。UMLが標準化されたのは1997年のことで、1990年代初頭に開発された50種類ものモデリング手法のアプローチを統合したものとなっている。その管理はOMG(Object Management Group)が行っており、OMGのウェブサイトからはUMLの最新仕様とチュートリアルをダウンロードすることができる。

 UMLは、オブジェクト指向分析/設計のためのオープンな言語である。一般的なオブジェクト指向手法と同様に、UMLはクラスをそのベースとする。クラスとは、データと操作(処理)を持つオブジェクトを定義したものである。クラスの属性はカプセル化されたデータを定義し、クラスのメソッドは属性に対する操作を表す。UML仕様(バージョン2.0/2.1)では、ソフトウエアシステムを動作、相互作用、構造という観点からドキュメント化するために13種類の図(ダイアグラム)を定義している。


脚注

※1…De Niz, Dionisio, and Raj Rajkumar, "Model-Based Embedded Real-Time Software Development," Carnegie Mellon University .


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