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昇圧回路を利用して電池1個で白色LEDを駆動

» 2007年05月01日 00時00分 公開
[Jim Grant(米Scientific Controls社),EDN]

 白色LEDは単色のLEDに比べて発光波長範囲が広く、視認性能に優れる。その一方で、白色LEDは単色のLEDよりも電圧降下が大きく、低電圧の電池で駆動するのには問題がある。この問題への対策として、図1に示す自励発振型昇圧コンバータを考案した。この回路は、部品数が少ないことと、トランスT1が簡単に構成できることを特徴とする。

 トランスT1の1次側巻線が充電される周期では、抵抗R1とT1の2次側巻線を経由してトランジスタQ2に十分なベース電流が流れてQ2がオンする。Q2のコレクタ電流は飽和レベルまで増大するが、それに伴ってベース電流が減少し、Q2の飽和状態が維持されなくなる。Q2が飽和状態から抜けると、T1の磁界と2次側巻線電圧の極性が反転する。T1の1次側巻線の放電周期では、T1の2次側巻線電圧とQ1のベース‐エミッタ間電圧によりQ2のベースが逆バイアスとなる。その結果、Q2がオフし、T1の1次側巻線電圧が電池電圧に加算されて、その電圧がLED(D1)の順方向バイアスとなる。抵抗R1を経由する電流によりLEDの駆動電力が決まり、同時に、Q1のべース‐エミッタ間が順方向にバイアスされ、Q2に対する温度補償バイアス電圧が供給される。

図1 1.5V電池を電源とする白色LEDの駆動回路 図1 1.5V電池を電源とする白色LEDの駆動回路 2個のトランジスタと組み立ての容易なトランスを利用している。これにより昇圧回路が構成され、白色LEDを駆動できる。

 試作した回路では、トランスT1は100μHのアキシャルリード型インダクタのシールドを外した本体に、AWG30番(american wire gage #30)の絶縁線を8回巻いて(8ターン)構成した。これにより、2次側巻線にピークツーピークで400mVの電圧を生成できる。回路の動作可能入力電圧範囲は、Q1のベース‐エミッタでの電圧降下に相当する約0.6VからLEDの順方向電圧降下に相当する約3Vまでとなる。スイッチング周波数は、入力電圧が1.5Vの場合で340kHzを越える。

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