メディア
特集
» 2007年05月01日 00時00分 UPDATE

カメラ/プロセッサ選択のポイントを解き明かす:マシンビジョンシステム設計の手引 (1/5)

製造ラインでの検査システムをはじめ、車の自動走行システム、監視カメラシステムなど、マシンビジョンシステムの応用範囲が広がりつつある。こうしたシステムの設計において重要となるのが、その主たる構成要素であるカメラ、プロセッサを正しく選択することだ。

[Richard A. Quinnell,EDN]

 人間にとって、視覚は最も重要な感覚系の1つである。それによって人間は物体を認識し、手に触れることなくその空間的な大きさと位置関係を判断する。だからこそ人間は、安全に移動することができるのである。マシンビジョンシステムを搭載した機器でも、そのカメラと処理系が用途に合わせて適切に設計されていれば、それと同様のことが可能になる。

 現在、マシンビジョンシステムの大半は、工場の製造ラインを自動化するために用いられている。例えば、製品に欠陥がないか否かを検査したり、物体を識別して分類したり、組み立ての自動化を実現するために、部品の大きさを測定して正確に配置したりすることに用いられる。また、工場以外の用途としては、画像認識に基づく車載用のナビゲーションシステムやセーフティシステムなどがある。

 このようにマシンビジョンシステムの用途は多種多様だが、これらのシステムには3つの共通な構成要素が存在する。それは、カメラ、プロセッサ、画像処理用のソフトウエアである。本稿では、主にカメラとプロセッサの選択におけるポイントについて解説する。

照度/照明位置の重要性

 マシンビジョンシステムが正確な画像情報を収集するには、カメラのレンズに入射される光が重要となる。明るさが不十分だったり不適切であったりすると、対象物を正しく検査/認識/測定するのに必要な詳細部分を識別する能力が低下してしまう可能性がある。ほとんどの画像処理ソフトウエアは、露出の不足や過多に対しては何らかの形で補正する機能を持っている。しかし、光沢/反射/陰影などの要素は、多くのマシンビジョンシステムにおいて大きな課題となることがある。また、色が重要な要因である場合には、正確にその差異を検出するために適切な照明が不可欠となる。

 モノクロ画像とカラー画像のどちらを使用するかにかかわらず、照明に関する重要なパラメータとして照度レベルについて考慮しなければならない。この照度レベルにより、画像の輝度とコントラストが決まり、信号対雑音比(S/N比)に反映される。

 通常、安定した照度を維持するには、環境の制御が必要となる。例えば、周囲の温度が10%変化しただけで、蛍光灯の照度は5〜10%変化する。マシンビジョンシステムの設計においては、可能ならば照度レベルを制御する方法も実現したい。

 さらに、AC電力駆動の人工的な光源ではどうしてもちらつきが生じてしまう。例えば、組み立て工場において自動検査を行うシステムでは、照明のAC周波数が低すぎるとスループットが低下することがある。このちらつきによって生じる問題を回避する1つの方法は、照明のAC周波数をマシンビジョンシステムのフレームレートよりも高く保ち、露出時間の間に、照明の変動サイクルが複数回繰り返されるようにすることである。

適切な照明位置

 照明位置(ジオメトリ)も、考察すべき重要な要因の1つである。ここでいう照明位置とは、光源、対象物、カメラの配置のことだ。最適な照明位置は、光の反射、伝送、散乱、吸収、放射に影響を及ぼす物体の物理的特徴によって決まる。例えば、表面の材質が異なれば、必要な照明も変わってくる。

 図Aは表面に光沢のある画像に対し、照明の位置を2通りに変えた場合の結果をグレースケール表示で示したものである。これは、照明位置が重要であることを示している。表面の上方から光源を当てた場合は、グレアが生じて画像が識別しにくくなり、境界線があいまいになっている。一方、光源を表面に対し低い角度に配置して拡散器によって鏡面反射を抑えると、表面における小さな視覚的な差異が検出可能となる。

 対象物が凹凸の細かいものである場合、表面に対して光源が低いと、大きな陰影が生じてしまう。アプリケーションにおいてその質感の検査が必要な場合には、上述の手法では適切な結果が得られない。しかし、表面の模様を検出することが目的である場合には、逆に、検出アルゴリズムにおいて陰影が視覚的なノイズとなってしまう。

 表面の材質が異なれば、異なる手法が必要である。従って、物体表面の材質は、マシンビジョンシステムの適切な照度を決定する際の重要な要素となる。幸いなことに、これに関してはガイドラインが存在する。CIE(international commission on illumination:国際照明委員会)のウェブサイト(http://www.cie.co.at/)では、さまざまな表面材質に対して、推奨される照明位置が提示されている。

図A 照明位置による影響 図A 照明位置による影響 マシンビジョンシステムにおいて照明が不適切だと、システムが制御の基とする物体の特徴が識別できなくなってしまう可能性がある(提供:米EdmundOptics社)。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from UBM Electronics, a division of United Business Media LLC.