メディア
特集
» 2007年09月01日 00時00分 UPDATE

ウェーハ上でRF信号を測る (1/3)

ICの高速化/複雑化が進むに連れ、プローブテストでRF信号を扱う必要性が高まっている。本稿では、ウェーハ上でRF信号の測定を行う方法に焦点を当て、その基本となる事柄と測定時の注意点などを概観する。

[Larry Dangremond(米Cascade Microtech社),EDN]

 半導体素子の高速化が進むのに伴い、アナログ回路とデジタル回路を1チップ上に混載したり、無線機能をオンチップ化したりするなど、ICの機能は複雑化してきている。こうした状況が背景となり、ウェーハ状態でRF信号を測定する必要性が高まっている。

 種々のデバイスに無線機能が搭載されるようになった結果、設計/試験にかかわる多くのエンジニアがRFレベルのアナログ特性を把握しなければならなくなった。ロジックチップにおいても、高速化が著しく進んだことで、従来以上に測定が必要な項目が増えてきている。さらに、最先端の半導体プロセス開発では、キーとなるパラメータを抽出し、各種測定を行い、モデル化を実施するという過程で、RF信号の測定が一層重要性を増している。ウェーハ状態でRF信号の測定が行えれば、パッケージングの工程を省くことができる。また、各種特性がパッケージによる影響を受けないこともメリットになる。

 こうしたことから、DC試験や低い周波数での試験で構成されていた評価/検査のメニューに、新しくRF試験を追加する例が多くなってきたのである。

RF試験とDC試験の違い

 従来のDC試験に加えて新しくRF試験を導入しようとする場合、両者には大きな違いがあることに注意しなければならない。DC試験では信号源と測定器を使用して電流/電圧を測定する。この測定によって得られるのは、位相特性を含まない単純な応答特性だ。DC試験用の機器は定期的に校正する必要があるが、この校正は専門の担当者によって行われる。従って、試験担当者が校正内容に立ち入る必要はない。

 一方、RF試験の場合には、Sパラメータ(scattering parameter)と反射係数を利用してRF信号の振幅と位相を評価する(図1)。RF試験の手法を用いれば解析が容易になり複雑な応答特性を把握できるが、正確な測定を行うためにはDC試験の場合以上に、校正が重要になる。例えば、測定機器やケーブルの反射特性を適切に測定/解析して定量化しなければ、計測時にウェーハ面を規準面として定めることができない。

図1 RF測定とDC測定の違い 図1 RF測定とDC測定の違い DC測定(a)とは異なり、RF測定(b)には遅延や位相といった要素が加わる。RF測定では、測定結果の正確さが校正の頻度に強く依存するなど、より複雑化する。

ウェーハ上でのRF測定の課題

 ウェーハ上でRF信号の測定を正確に行うには、いくつかの課題がある。図2はRF測定における理想的な測定系(a)と現実的な測定系(b)の違いを示したものだ。理想的な測定系では、RF信号源から試験対象デバイス(DUT:device under test)にRF信号を入射し、同時に測定/データ収集機器によって反射信号や透過信号を取得する。このとき、当然のことながら、DUTの出力は測定器と同じインピーダンスで終端されていなければならない。理想的には、入射信号、反射信号、透過信号の3種類の信号に対する振幅と位相を調べることで、ゲイン、遅延量、反射係数などを容易に求めることができる。しかし、現実の測定環境では、特に高周波になると、測定系の終点とDUTの始点がどこにあるのかを正確に規定することが容易ではない。つまり、試験の対象となるウェーハ内(または基板内)の対象デバイスに対し、測定規準面を定めることが大きな課題になるのだ。

 ケーブル、カプラー(結合器)、コネクタあるいはプローブなど、使用する部品によっても試験条件が理想から外れる。また、ネットワークアナライザの非理想的な振る舞いについても考慮しなければならない。こうした非理想的な機器/部品から構成されるRF測定システムは、非理想的な要素をモデル化し、そのモデルに基づいて誤差を吸収するように働く機能が含まれたものでなければならない。システムの非理想的要素をモデル化することによって、初めて応答誤差やノイズの影響を補正でき、再現性の良い測定が可能になる。つまり、測定システムの正確さはモデルの正確さによって決まるのだ。

 校正が重要であることに間違いはないのだが、さらに安定した正確なデータが常に得られるようにするには、測定システム自体の信頼性(事象の再現性)が重要な要因となる。信頼性がなければ、系統的(システマティック)な誤差の補正(すなわち校正)を行っても、ノイズや損失、電気長/位相の変動、あるいは環境に依存する種々の変動を補正することができないからだ。また、ウェーハ測定時の規準面位置が校正時から変化しないようにするためには、系統的誤差を最小限にする高品質な部品を使用しなければならない。

図2 RF測定における理想と現実 図2 RF測定における理想と現実 RF測定の理想的条件(a)とは異なり、現実的条件(b)では、遅延や損失、インピーダンスミスマッチなどがあり、測定結果に不安定さが生じる。
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.