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» 2007年10月01日 00時00分 UPDATE

Tales from the Cube:静かな教会を襲ったノイズの問題

教会で発生したノイズ。その意外な原因とは?

[Dick Neubert(電子工学エンジニア),EDN]

 これは、筆者が音響を担当していたある教会での話である。

 その教会の天井から垂れ下がるエレクトレットマイクは、部屋のほぼ全体の音声を拾うことができるものだった。このマイクが、非常に大きな電気的ノイズによって完全に使用不能になってしまったのだ。

 このマイクがなくても、ほかの2本のマイクである程度代用することはできた。しかしながら、何らかの録音を行うときや、耳の不自由な人々がワイヤレスイヤホンを使用するとき、または部屋の後ろのほうで話す人の声を拾ってスピーカで鳴らす際には、頭上のマイクが使用できないのは不便であった。とはいえ、マイクを取り外すのが面倒だったこともあって、筆者は特に用事のない日曜の午後が来るまで修理を延期することにした。

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 筆者は、それまでにも似たようなノイズの問題に遭遇したことがあった。そのうち何回かは、電気的な接点を掃除することで解決することができた。そこで、まず最初にマイクとそのコネクタの接点を掃除してみることにした。しかし、それでは何も変わらなかった。

 続いて、問題を調べるために、筆者はマイクを天井から取り外し、それを短いコードの付いた評価用のボードに差し込んでみた。すると、まだ雑音はあるものの、天井に据え付けていたときほどひどくはなかった。天井に据え付けていたときには、室内の調光器が原因でノイズが発生しているようだったので、照明を消してみた。その結果、調光器が何らかの問題を引き起こしていることが分かった。

 その教会は、以前は白熱灯を使っていたのだが、いつの間にかそれが小型蛍光灯に替わっていた。そこで、教会の牧師に、白熱灯を小型蛍光灯に替えたのはいつのことかと尋ねてみたところ、その交換時期はノイズの問題が深刻になった時期とほぼ一致するようだった。しかし、筆者は白熱灯に戻すよう牧師に提案することはなかった。牧師はその教会の経理も担当しているので、費用の面から難色を示すだろうと思ったからだ。

 雑音の原因は、照明だけではなさそうだった。例えば、教会のファンを回してみることでも小さな雑音が生じたのだ。マイク、またはその周辺のノイズにかかわる環境に何らかの変化があると、ノイズは大きくなったり小さくなったりした。そこで、筆者はより詳細な調査を行うことにした。

 照明を再び点灯し、マイクの端を触ってみたところ雑音の量にはあまり変化はなかった。しかし、マイクの端を手で覆うことで、雑音がかなり小さくなることが分かった。一方の手でマイクを持つことによってアースした状態にすれば、もう一方の手をマイクの端の上にかざすだけでもノイズは大きく減少した。マイクが静電気によるノイズの影響を受けていることは明らかだった。

 ノイズ源は複数あり、その影響を受けているのは1カ所である。それならば、1カ所で対策を講じるのが最も簡単だ。マイクと調光回路の間に、手を置いたときと同程度の効果をもたらすものがあればよい。そこで、筆者はマイクをアースする“ファラデーケージ”を用意することにした。

 向きによって違いが出ないようにしたかったので、ファラデーケージとしては、球状の覆いがよいだろうと思ったが、小さな球状の覆いを作るのは難しかった。そこで、窓の日よけを、一方が閉じた円筒状にして使うことにした。ポリ塩化ビニル製のパイプで作成した取り付けリングを、3本のねじで固定してケージを支えた。そのねじによってケージがマイクに電気的に接続される。全体をマイクと同じ黒色にスプレーで塗装してから、電気的な接点となる部分の塗装だけを取り除いた。

 このようにして作った覆いを取り付けた上で、マイクを教会の天井に戻した。これにより、ノイズは完全になくなった。

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