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» 2008年01月01日 00時00分 UPDATE

ここが小型化、効率化のポイント!:AC-DC電源設計の秘訣 (1/3)

電源の設計において、機能/動作の仕様を満たすようにするのは当然のことである。しかし、満たすべき事柄はそれだけではない。EMC性能や安全性などに関する国際規格に従いつつ、さらに高効率化、小型化の要求にも応えなければならない。本稿では、電源の基本性能を犠牲にすることなく、そうした要求に応える方法を紹介する。

[Hiren Shah(英XP Power社),EDN]

「積み重ね」が重要

 AC-DCスイッチング電源は、革新的とは言わないまでも着実に進化を続けている。その背景にあるのは、主に半導体や受動部品の技術/材料が少しずつ改善されたことだ。

 電源設計における最終的な目標は、基本的な入出力仕様を満たすことだけではない。パッケージサイズやコストに対する要求を満たすことも、進化の過程の中で普遍的な課題となっている。この課題に対し、現在の電源回路では、入力から出力までの各所に、さまざまな工夫が施されている。試行錯誤の結果得られたいくつかの手法を積み重ねることによって、その目標を達成しているのである。

 以下では、AC-DCスイッチング電源の各所における設計上のポイントを紹介する。

入力フィルタ

 AC-DCスイッチング電源の入力フィルタにおいて最も重要な部品は、コイルとコンデンサである。材料の進歩によって、これら部品のサイズはますます小さくなっている。そのため、主要な製造メーカーの最新製品を常にチェックしておくことは重要である。

 1次側の電源ラインにおけるフィルタとしてクラスXの安全規格を取得した電源用コンデンサを使用する必要がある場合、設計者はよりサイズの小さいセラミックコンデンサを使用したいという衝動にかられる。しかし、セラミックコンデンサは、入力スパイクによって破損する恐れがあることを忘れてはならない。

 一方、金属化ポリプロピレンタイプのコンデンサは、セラミックコンデンサよりサイズは大きいが、自己修復機能を備えている。この機能は、短絡部分の電極を気化させてコンデンサを正常な状態に復元するというものだ。これにより、スパイク電圧にうまく対処することができる。

 また、コンデンサに関しては、静電容量の損失について検討しなければならないだろう。時間の経過に伴って静電容量は徐々に低下するのだ。

コイル/トランス

 安全規格における沿面距離と空間距離の要件を満たすために、コイル/トランスのボビンでは、配線との間に安全確保のため距離を保つ必要がある。このことが小型化におけるネックとなる。

 この課題に対処するために、配線材としては、3層絶縁を施したUL規格(米Underwriters Laboratories社が認証)の銅線を用いることをお勧めする。それにより、上述した物理的な距離を確保する必要がなくなり、ボビンの端まで銅線を巻くことができる。この手法を用いれば、電源において最もサイズが大きくなってしまうトランス部を最大20%縮小できるだろう。

入力コンデンサ

 電源の小型化と動作寿命の延長のためには、アルミニウム電解コンデンサに注目する必要がある。この部品を選定する際、その定格電圧と回路の最大動作電圧の関係に気を配ることが重要なのだ。

 アルミ電解コンデンサは、定格電圧の80%以下で使用すると動作寿命が長くなる。それに対し、アルミ電解コンデンサを定格電圧ぎりぎりの条件で使用した場合、リーク電流による熱劣化が生じて性能が低下してしまう。また、アルミ電解コンデンサ内の電解質は、使用環境における電圧/熱の影響を受けて変化する。結果として、大まかに言えば、温度が10℃上昇するごとに、コンデンサの寿命が半減してしまうのである。

 また、電圧サージが生じると回路が故障する可能性があるので、このことも考慮して設計する必要がある。これについては、温度保証が105℃以上の部品を使用するのが動作寿命を最長にするための簡単な方法である。

 入力コンデンサは、リップルの低減だけでなく、AC入力が瞬時停止した場合にホールドアップ時間を確保する役割も果たす。一般的には10ms〜20msのホールドアップ時間が必要なので、比較的大きなサイズのコンデンサを選ばなければならないが、ここにも注意すべき点がある。サイズの大きなアルミ電解コンデンサは、高周波の信号に対するESR(equivalent series resistance:等価直列抵抗)が高いことである。そこで、ESRを低下させるために、0.22μFのフィルムコンデンサなど、小容量のコンデンサを並列に挿入することをお勧めする。

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