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» 2008年01月01日 00時00分 UPDATE

Design Ideas:リレーの活用で高電圧誘導ノイズに対処

[Jui-I Tsai 他5名(台湾応用技術研究所),EDN]

 多くの実験室や工場では、重機器、計測機材、電源装置、あるいはテレビ局などからの各種電気的ノイズが問題となっている。この種のノイズへの対処法としては、多くの場合、比較的簡単なデバイスや手法が適用されてきた。例えば、接地方法の工夫や、シールド付きツイストペアケーブルの利用、アンプへの入力の差動化、フィルタの利用などである。これらのノイズ低減手法を大別すると、システムへのノイズの混入を防止する手法と、外来ノイズを信号から除去する手法に分類できる。通常、これらの手法は低電圧システムでの利用に限られ、高電圧誘導ノイズに対しては適用できない。

 本稿では、高電圧誘導ノイズを低減するための実用的な手法を紹介する。対象とするのは、走査型電子顕微鏡のアクチュエータ部に発生するノイズである。走査型電子顕微鏡で非接続(オープン)になっている入力端子のインピーダンスは高い。そのため、アンテナとして働いてノイズを拾ってしまう。電子顕微鏡のアクチュエータにはピエゾ積層型モーターが使用されており、その制御には高電圧信号が必要になる。標準的な駆動条件では800Vppのランプ波を使用する。また、顕微鏡の探針は3次元で操作するため、信号ラインがマルチチャンネルになる。顕微鏡によっては原子間力顕微鏡法を利用できるよう光路調整に用いる移動台が組み込まれており、そのような場合にはチャンネル数がさらに増加する。

 通常の構成では、各チャンネルに高電圧対応のオペアンプ(以下、高電圧アンプ)を配置する。そのため、2次元駆動ならば2個の高電圧アンプ、3次元駆動ならば3個の高電圧アンプといった具合に、チャンネル数の増加とともに高電圧アンプの数が増えることになる。しかし、高電圧アンプは高価であり、またプリント配線板上で大きなスペースを確保しなければならないという問題がある。逆にいえば、1台の高電圧アンプを切り替えてマルチチャンネル化することで多次元駆動を行えば、コストとスペースを削減できることになる。また、高電圧信号用コネクタの端子間では、信号の相互干渉を防ぐために十分な間隔を必要とする。しかし、高電圧コネクタは高価で、しかも大型であるため配置が難しい。

 以上のような背景から考案したのが、リレーを活用し、9端子または25端子のRS-232コネクタを使用する方法である(図1)。市販のRS-232コネクタのほとんどは、高電圧の信号を通すと隣接端子にノイズが簡単に誘導される。この問題を、RS-232コネクタの未使用端子をオープンにせず、低インピーダンスでグラウンドに接続することによって解決する。3台のピエゾモーターPZ1、PZ2、PZ3は、9端子のRS-232コネクタの1番端子(T1)、5番端子(T5)、9番端子(T9)を経由して接続する。高電圧信号は、3個のリレーを切り替えることで各ピエゾモーターに供給する。そして、リレーのNO(normally open)端子は高電圧アンプの出力に接続する。一方、NC(normally closed)端子は1kΩの抵抗を経由してグラウンドに接続し、オープンになったときに誘導されるノイズをバイパスするようにしている。

図1 高電圧誘導ノイズに対処するための回路 図1 高電圧誘導ノイズに対処するための回路 

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回路 | アンテナ | オペアンプ | 配線


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