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PICマイコンのMCLR端子を出力として使用Design Ideas

» 2008年05月01日 00時00分 公開
[Antonio Munoz,Pilar Molina,EDN]

 マイクロコントローラ(以下、マイコン)のベンダーは、機器設計者のニーズに合致するものを提供したいと考えて製品開発を行っている。しかし、当然のことながら、その思いがどのような場合にも達成されるわけではない。特に端子数が8本以下のマイコンを使用する小型機器の設計においては、「マイコンの出力端子が1本足りない」というケースが多く見られる。本稿では、こうしたケースに対処可能な一例として、米Microchip Technology社のマイコン製品「PIC10F222」を紹介する。

 PIC10F222は、パッケージがSOT23-6で、I/O端子が3本、入力端子が1本という仕様である。非常に小さな製品だが、RAM、フラッシュメモリー、A-Dコンバータを内蔵している。そのプログラミング時には、I/O端子2本とMCLR端子を使用する。また。プログラミングモードへの移行には、MCLR端子を用いる。プログラミングモードに切り換える際には、MCLR端子に電源電圧以上の電圧を印加する。これにより、このマイコンは通常モードからプログラミングモードに切り換わる。通常動作時には、MCLR端子を外部リセット端子、または入力専用端子としてコンフィギュレーション(構成)することができる。

 図1の回路は、6本の端子のうち、1本をアナログ入力として用い、ほかの3本を出力に使用する例である。通常の使い方では出力が1本足りないので、MCLR(GP3/MCLR)端子を出力として使用するのだ。なお、この図は簡略化したものなので、MCLR以外のI/O端子への接続は示していない。

図1 MCLR端子を出力として使用する例 図1 MCLR端子を出力として使用する例

 この回路では、MCLR端子を出力として用いるために、マイコンが備えるコンフィギュレーション可能な弱プルアップ機能を使用する。GP3/MCLR端子がMCLR端子としてコンフィギュレーションされていれば、コンフィギュレーションワードにより弱プルアップを有効にすることができる。

 供給電圧によって異なるが、弱プルアップによる抵抗値は20kΩ〜150kΩ程度となる。LEDのような負荷の大きいものを駆動するために、図1の回路ではトランジスタQ1を利用している。弱プルアップを解除すると、抵抗R1がトランジスタQ1をオフにする。すなわち、トランジスタQ1のゲートは抵抗R1を利用して駆動することになるので、最大トグル周波数は選択したトランジスタに依存することになる。また、過電圧/過電流などの問題が発生した場合には、Q1をオフにする必要がある。その場合、トランジスタがオフするまでの時間は、R1の値やQ1のゲート‐ソース間の容量値によって決まる。

 プログラミングモードへの移行時には、MCLR端子に電源電圧よりも高い電圧をかける。そのため、Q1のゲート‐ソース間の耐圧はその電圧より高くなければならない。図1では、±18Vに耐えるMOSFETを使用している。

 なお、この回路は、PICファミリのほかの製品や、米Freescale Semiconductor社のマイコンファミリ「RS08KA」に適用することもできる。

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マイコン | トランジスタ | LED | MOSFET


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