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» 2008年08月01日 00時00分 UPDATE

Design Ideas:レーザーダイオードの小型/定電流駆動回路

[Jiaqi Shen(中国 上海理工大学),Xiaoshu Cai(中国 上海理工大学),EDN]

 精密機器の用途において、レーザーダイオードを連続動作で使用するケースがある。その場合、レーザーダイオードは定電流で駆動しなければならないであろう。そうした駆動回路を設計する際には、堅牢性、安定性、ノイズなどさまざまな面での特性を満足させる必要がある。必然的に回路は複雑化し、高コストにもなる*1)

 本稿では、カソード接地型のレーザーダイオードを駆動するための回路を紹介する。その特徴は小型であることだ。それに加えて、ESD(electrostatic discharge)、起動時のスパイク、オーバーシュート、外部の光学的フィードバック系に起因する出力の揺らぎといった要因への対策を含んでいる。

 図1の回路では、オペアンプIC4の出力によってpチャンネルMOSFETのQ1を駆動することで、レーザーダイオードの駆動電流を制御する。抵抗RSは、この電流値をレーザーダイオードの定格値に設定するためのものである。レーザーダイオードとしては、35mW出力の「HL6738MG」(米Opnext社製)を使用している。

図1 レーザーダイオードの駆動回路 図1 レーザーダイオードの駆動回路 この回路はレーザーダイオードの定電流駆動に用いる。入力の過電圧や起動時のスパイクなどに対する保護機能を備えている。

 この回路では、コンパレータIC5Aの出力信号がオペアンプIC4のイネーブル端子(DL端子)に入力される。この構成により、起動過程ではIC4がオフに保持される。IC4の出力は、10kΩの抵抗によって自身の電源電圧のレベルにプルアップされている。これにより、Q1はゲートへの入力がハイレベルとなるのでオフに保たれる。Q1は、IC5Aへの入力電圧VBがその設定値である約6.5Vに達するまではオフに保持される。VBが設定値に達すると、IC4がイネーブルになり、その結果Q1がオンになる。

 ESDやオーバーシュートに対する保護対策の要点は、Q2としてデプレッション型のnチャンネルMOSを使用していることである。電源がオフしているとき、レーザーダイオードのアノード側ラインにESDが印加されると、このQ2が電荷をグラウンドに逃がすように働く。一方、電源をオンした際には、コンパレータIC5Bの出力が十分に低い負電圧になる。その結果、Q2はオフになり、レーザーダイオードのアノード電圧が2.8Vを超えない限り、駆動電流に対してほとんど影響することはない。逆に言えば、アノードへの印加電圧が2.8Vよりも高くなると、IC5Bの出力がハイに変化し、その結果Q2がオンになって駆動電流がグラウンドにバイパスされることになる。Q2のオン抵抗が十分に小さければ、この回路による保護動作は、オーバーシュートを抑圧するためによく用いられる、ツェナーダイオードを並列に挿入する方法よりも良好な特性を示す*2)

 電源投入シーケンスは、特に複雑なものではない。条件となるのは、起動過程の最初の段階でQ2をオフにしておくことである。そのために、駆動回路への電源投入より前に−9Vの電源をオンにしておく必要がある。

 図1の回路で使用しているICは、ほかの製品に変えることもできる。例えば、IC4として使用した米Texas Instruments社の「TLC070」は、米Linear Technology社の「LT1637」に置き換えられる。ただし、両製品には端子互換性がないため、わずかではあるが回路の修正を要する。ちなみに、TLC070は、特にCMRR(common mode rejection ratio)が広帯域まで高いといった面で優れているので、外部の光学的フィードバック系などに起因する動作電圧の変動に対する保護の面で有利である*3)


脚注

※1…Williams Jim, "Current sources for fiber-optic lasers: a compendium of pleasant current events," EDN, Aug 22, 2002, p.69

※2…"DN2530: N-Channel Depletion-Mode Vertical DMOS FETs," Supertex, 2001

※3…"TLC070, TLC071, TLC072, TLC073, TLC074, TLC075, TLC07xA: family of wide-bandwidth high-output-drive single supply operational amplifiers," Texas Instruments, September 2006


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