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» 2009年01月01日 00時00分 UPDATE

GM、2モードハイブリッド車と燃料電池車を日本初公開

米General Motors社(GM)は、2モードハイブリッドシステムを搭載したフルサイズSUV「Chevrolet Tahoe Hybrid」と、燃料電池車「Chevrolet Equi-nox Fuel Cell」を日本で初公開した。

[Automotive Electronics]

米General Motors社(GM)は2008年11月、2モードハイブリッドシステムを搭載したフルサイズSUV「Chevrolet Tahoe Hybrid」(以下、タホ・ハイブリッド)と、燃料電池車「Chevrolet Equi-nox Fuel Cell」(以下、エクイノックス)を日本で初公開するとともに、同社が開発中の電動自動車技術に関する記者説明会を行った。


写真1 タホ・ハイブリッド(左)とエクイノックス 写真1 タホ・ハイブリッド(左)とエクイノックス タホ・ハイブリッドは日本ではあまり見かけないフルサイズSUV、エクイノックスは中型SUVである。中央の3人は左から、GMAJで燃料電池車を担当するジョージ・ハンセン氏、社長のリック・ブラウン氏、ハイブリッド車を担当するマーティン・マレー氏。

 米国自動車メーカーを取り巻く事業環境が厳しさを深める中で、GMはハイブリッド車や燃料電池車などの電動自動車技術の研究開発に重点を置く方針を打ち出している。今回GMが日本で技術発表会を行ったのは、電動自動車開発で多くの競合メーカーが存在する国内でGMの先進技術を広く知らしめることが主な狙いだが、「GMが日本市場でハイブリッド車を販売することに前向きであることを知ってもらうとともに、エクイノックスの公道走行試験認可を早急に得られるようになれば、という期待もある」(GM)という。さらに、燃料電池車開発の提携パートナーであるスズキの技術発表も行うことで、2社の協力体制をアピールした(この記者説明会後にGMが保有するスズキの株式を売却したが、燃料電池車を含め技術開発提携は維持する方針)。

 ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパン(GMAJ)社長のリック・ブラウン氏は「GMの環境対応方針としては、ガソリンなどの液体燃料、電気、水素など多様なエネルギー源を利用してCO2を削減する『併用戦略』に変更はなく、どれか一つに絞るということはない。2次電池技術の進化により、電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車の市場は拡大するが、最終的には水素を使った燃料電池車が主流になると想定している」と語った。

次世代ハイブリッドは2011年

写真2 エクイノックスの燃料電池システム(提供:GMAJ) 写真2 エクイノックスの燃料電池システム(提供:GMAJ) エクイノックスの燃料電池はGMにとって第4世代目となる。コスト削減のための課題となる、触媒の白金の使用量を削減しており、研究開発が進めばガソリンエンジンなどの内燃機関に使用している白金と同等程度の量に抑えられるという。

 今回公開したタホ・ハイブリッドは、ドイツのDaimler社、BMW社と共同開発した2モードハイブリッドシステムを搭載する「フルサイズSUVとして世界唯一のハイブリッド車」(GM)である。出力60kWのモーターを2個、最高出力330馬力の6リットルV8エンジンを組み合わせたハイブリッドシステムにより、従来に比べ市街地走行で50%、全体で30%燃費を向上しており、「2.4リットルエンジン搭載車と同等の燃費を実現した」(GM)という。米国規格のEPAモード燃費は、今回公開した4輪駆動モデルが市街地、高速道路とも20マイル/ガロン(8.5km/リットル)である。車重が2647kgであることを考えれば、燃費はかなり改善できていると言えるだろう。ちなみに、車重が2000kg以下のハイブリッドSUV 4輪駆動モデルのEPA燃費(市街地)は、「Ford Es-cape Hybrid」が29マイル/ガロン(12.3km/リットル)、トヨタ自動車の「Lexus RX400h」(日本ではハリアー・ハイブリッド)が26マイル/ガロン(11.1km/リットル)である。

 今後GMでは、2008年型の「GMC Yukon」、2009年型の「Saturn Vue」、「Chevrolet Silverado」、「Cadillac Es-calade」に2モードハイブリッドを採用する計画だ。

 一方、セダンや小型SUVなどの中型車に展開する、モーター1個で駆動する「GMハイブリッドシステム」については、2011年の市販車搭載を目標に次世代システムを開発している。システム電圧と出力を向上することにより、現行システムと比べて最大3倍のモーター駆動力や回生ブレーキの性能向上の実現を目指す。日立ビークルエナジー製のリチウムイオン電池を搭載することも決定している。

 また、今回は実機が公開されなかったプラグインハイブリッド車「Chev-rolet Volt」については「北米での発売目標は2010年だが、その数年後には日本市場でも販売できるようにしたい」(ブラウン氏)という。

市場テストの規模は世界最大

写真3 エクイノックスの後部 写真3 エクイノックスの後部 タホ・ハイブリッドを含め、内燃機関を持つ自動車に必要な排気管がなく、水蒸気を放出する穴があるだけである。

 GMは、日本国内における燃料電池車実証プロジェクト「JHFC」には、2001年に発表した「Hydrogen3」で参加している。今回公開したエクイノックスは、Hydrogen3の後継モデルであり、同社の燃料電池車としては4世代目にあたる。

 エクイノックスは、93kWの発電能力を持つ水素燃料電池と700気圧の水素タンクにより、320kmの航続距離を持つ。最大出力94kWのモーターにより、最高速度は160km/時に達する。回生ブレーキによるエネルギー回収や、燃料電池の課題である氷点下での始動にも対応した。

 今回の発表のうち、同社が燃料電池車について最も強調していたのが、世界全体で100台以上が公道を走行をしているという、エクイノックスを使った燃料電池車の市場化テスト「プロジェクト・ドライブウェイ」の成果だ。「燃料電池車は通常のエンジン車と同等の性能/機能性を達成している。今後は大量生産のためのコスト削減や、インフラ構築などが重要になってくる。そのためにも、エクイノックスを使った公道走行を日本でも実現できるようにしたい」(GMAJ燃料電池事業本部アジア太平洋担当ディレクターのジョージ・ハンセン氏)という。

 燃料電池車開発でGMと提携するスズキも技術発表を行った。スズキは、2003年10月にGMの燃料電池を採用した「ワゴンR-FCV」を発表。2004年12月には、水素タンクを700気圧に高圧化した「MRワゴン-FCV」を、そして2008年6月にはベース車を軽自動車からより大型のSX-4とした「SX4-FCV」を発表した。スズキ第二パワートレイン設計部EP・FC課長の斉藤弘氏は「燃料電池車の開発は、GMが大型車、スズキが小型車という分担になっている。SX4-FCVではGM製のモーターを採用したが、燃料電池以外の電動駆動システムは、スズキ自身でも開発を行っている」と話した。

(朴 尚洙)

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