メディア

Windows Mobile端末は 普通の携帯電話と何が違う?いまさら聞けないデジタル家電の仕組みを解説(1/2 ページ)

Microsoftが開発したスマートフォン/モバイル機器向けのOS、「Windows Mobile」。これを搭載したWindows Mobile端末には、どのような特長があるのでしょうか。

» 2009年02月26日 00時00分 公開
[小笠原 由依/上口 翔子,@IT MONOist]
photo

@IT MONOistで掲載された記事を転載しています



登場人物の紹介

乙女
文系女子

デジタル製品に興味はあるが、細かいスペックの話をされるとよく分からない。結局、デザイン重視で選びがちになるが、どうせ買うなら、きちんと製品の性能を理解して自分に合った良い物を買いたいという思いがある


ムサシ
理系男子

自称デジタル人間。スケジュール管理に紙なんて論外。デジタル製品のことなら、細かいICの隅々まで、何でもこい。基本的には物静かだが、得意分野となると熱く語り始める。女の子に「すごい!」といわれると、やる気が出る



スマートフォンとは

photo

僕の持っているWindowsケータイ(Windows Mobile端末)を例に、スマートフォンと携帯電話の違いを説明するよ。


 “高機能携帯電話”と呼ばれるスマートフォンですが、その定義は各国の携帯電話事情によってさまざまで、「この機能があるから」「これができるから」という明確なものはほとんどありません。

 ただし、1つ大きな違いを挙げるとすれば、それはユーザーが自由にアプリケーションをインストールできるかどうか、という「カスタマイズ性」です。普通の携帯電話に搭載されているアプリケーションは、キャリア(通信事業者)によって定められた仕様の範囲内で開発されています。最初から端末に合わせて最適化されているので利用する端末で必ず動きますが、ユーザーが好みのアプリケーションを選んでインストールすることはできません。

 それに対し、スマートフォンのアプリケーションはプログラミングの知識と開発環境さえあれば、誰でも作成・公開できますし、ユーザーも自由にインストールできます。例えばWindows Mobile端末用のアプリケーションは世界中で開発されており、2万種類以上という膨大な数から選んでインストールできます。

 こうした違いはクローズド型とオープン型ともいわれ、Windows Mobileをはじめとするスマートフォンは、オープンプラットフォームといわれています。

photo

どうしてスマートフォンは自由にアプリケーションをインストールできるの?


photo

それは搭載されているOSが、初めからオープンプラットフォームを前提にしているからかな。


photo

え? 携帯電話にもOSがあるの!?


携帯電話向けOS:Windows Mobile

 携帯電話には、ITRONやSymbian OSといったリアルタイムOS(RTOS:Real-time operating system)が搭載されています。こうした携帯電話向けOSには、キャリアによって端末のハードウェアやサービス、デザインがすでに決められたうえで開発されている「垂直統合型」のものと、OSに関してはOSメーカーが、ハードウェアに関しては家電メーカーが開発していくという「水平分業型」のものがあります。普通の携帯電話は垂直統合型、スマートフォンは水平分業型(注)となります。

(注)ただしスマートフォンは、OSベンダーによってビジネスモデルが多少違っているケースがある。例えば、iPhoneはメーカーが上位にくるという意味で垂直統合型ともいえる

 Windows Mobileは、マイクロソフトが組み込み機器向けに提供しているWindows Embedded CEというリアルタイムOS(組み込みOS)をベースに、携帯電話に必要な機能を選んでパッケージングしています。

スマートフォン誕生の背景

photo

でもさ、そもそもスマートフォンってどうして出てきたの? いまの携帯電話でも十分便利な気がするけど……。


photo

分かってないね、乙女ちゃん。 スマートフォンさえあれば、パソコン感覚でネットも見れるし音楽も聴けるし、アプリケーションをインストールすれば機能を追加したり最新のソフトウェアも利用できるんだ。普通の携帯電話みたいに「古くなったから最新機能を求めて買い替え」なんてこともしなくていいんだよ!


photo

日本の携帯電話は、海外と比べて、すごい勢いで端末が高機能になったんだ。だからあまり感覚がないのかもしれないけど、世界的に見たら、スマートフォンの登場はすごいことだったんだよ。


 スマートフォン誕生の背景には、プロセッサなどハードウェアの進化に加え、モバイルネットワークが高速化したことが挙げられます。

 現在のデータ通信速度はおよそ7.2Mbpsと、一昔前のADSLよりも高速です。メモリも増大し、Flashや動画などのマルチメディアコンテンツが手軽にダウンロードできるようになりました。

 このようにインフラが急速に整い、ハードウェアが高性能になると、携帯電話にもよりパソコンの世界に近い環境が求められてきます。高速なネットワーク環境で、より高速に動作する端末を作ろうとすると、従来の携帯電話では制限がありました。そこで、パソコンの環境に近いオープンなプラットフォームというものが求められていたという背景があります。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.