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» 2009年03月01日 00時00分 UPDATE

アナログICの基礎の基礎:第1回 アナログとデジタル

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 エレクトロニクスやコンピュータなどの世界では「アナログ」や「デジタル」ということばがしばしば出てきます。この言葉の意味についてまず、確認しておきましょう。

 電気信号は必ず、二つの枠組みで定義されます。一つは「信号の大きさ」であり、もう一つは「信号の長さ」です。言い換えると、電気信号には必ず、大きさと長さがあります。

 電気信号には「アナログ信号」と「デジタル信号」があります。定義としてはデジタル信号が分かりやすいので、こちらを先に説明しましょう。

 デジタル信号とは、大きさと長さがとびとびの値しかとれない信号のことです。とびとびの値はあらかじめ決められています。これを数学では「離散値」と呼びます。決められた値の大きさと決められた値の長さだけで表現される信号が、デジタル信号なのです。

図1 図1

 最も単純なデジタル信号は、大きさが一つの値とゼロしかなく、長さは一定の値しかとれません。例えば電圧が3.3Vと0Vで、長さが1マイクロ秒(100万分の1秒)の信号となります。電圧が変化する幅を「振幅」と呼びますが、この例では振幅は3.3Vだけです。そして信号の続く時間は1マイクロ秒と決まっています。1マイクロ秒ごとに、信号の電圧は3.3Vあるいは0Vに変化していきます。このような二つの電圧値しかとらないデジタル信号を2値信号とも呼びます。

 学問的には、振幅と時間の両方ともに離散値をとる信号のことを「デジタル信号」と定義しています。これに対して、振幅と時間の両方ともにとびとびの値ではなく、連続した値(連続値)をとる信号を「アナログ信号」と呼びます(図1)。

振幅と時間の定義で信号は4種類に分かれる

 それでは振幅と時間の一方だけがとびとびの値をとる信号は、アナログ信号とデジタル信号のどちらになるのでしょうか。

 実は、どちらもアナログ信号です。

 振幅がとびとびの値で時間的に連続な信号は離散振幅のアナログ信号で、多値信号や量子化信号、PWM信号、TDC信号などと呼ばれています。

 時間がとびとびの値で振幅が連続的なアナログ信号は離散時間のアナログ信号で、標本化信号やサンプリング信号、PAM信号などと呼ばれています。

 これらの離散的な成分が混じった信号と区別するために、振幅と時間の両方ともに連続的なアナログ信号を「純アナログ信号」と呼ぶこともあります。

電気信号の振幅とは電圧のこと

 電気信号は物理的には電圧と電流で成立しています。電気にはプラスとマイナスの極性があり、電流はプラスの極性を持った電荷の流れです。電荷の流れを作る強さに相当する物理量が電圧です。

 電気信号の振幅にはふつう「電圧の大きさ」を使います。もちろん「電流の大きさ」を振幅にしても良いのですが、電流に比べると電圧の測定ははるかに簡単なので、電気回路のほとんどでは電圧の大きさを電気信号の振幅としています。

 電圧と電流の間には、以下のような関係があります。

 電圧=電流×抵抗

 ここで「抵抗」とは電流の流れにくさを示す単位で、大きければ大きいほど、電流が流れにくくなります。先ほど電流は測定しづらいと述べましたが、電流の測定ではこの関係式を使って抵抗に発生する電圧を測定して電流を計算で求めるのがふつうです。

 この関係式は「オームの法則」と呼ばれており、電気回路では基本中の基本と言える法則です。電気回路を構成する物理量は記号を使って表現することが多いのですが、電圧はV、電流はIあるいはi、抵抗はRと表記します。「オームの法則」を記号を使って書き換えると、

 V=i×R

となります。

電気回路では電流は循環する

 電気回路を考えるときにオームの法則とならぶくらいに重要なのは、「電流は湧き出したり消えたりせず、必ず循環している」という性質です。ある1点から、電気回路の線が3方向に伸びているとしましょう。T字路のような交差点を考えると分かりやすいかもしれません。1点から右方向、左方向、下方向に線が伸びています。

図2 図2
図3 図3

 このとき、電流は右方向から交差点に向かっており、左方向からも交差点に向かっており、それぞれの電流の大きさは同じ(I)だとしましょう。このとき、下方向の線では、どのような電流が流れるのでしょうか(図2)。

 必ず、交差点から下方向に流れ出る電流となり、その大きさは2I(左右方向から交差点に進む電流の2倍の大きさ)になります(図3)。

 この法則は「キルヒホッフの法則」と呼ばれています。キルヒホッフの法則は電気回路の教科書には「1点に集まる電流の総和はゼロになる」と書いてあったりしますが、残念ながら私はこの説明書きを教科書で読んだときには、良く意味が分かりませんでした。

 「キルヒホッフの法則」が分かったのは「電気回路は常に閉じている」と理解したときです。常に閉じているとは、常にループになっている、という意味です。常にループになっていますので、線の途中で枝分かれがあったとしてもいずれはどこかで合流して戻ってきます。ですから、どんなに複雑に枝分かれしているとしても、根元をたどれば循環しています。電気回路は、線が途中で断線していることはありえません。もし断線していたら、そこには電気は流れていないことになります。




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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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