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» 2009年05月01日 00時00分 UPDATE

LEDドライバを統合した「PSoC」、Cypress社が高輝度LED照明向けに発売

[EDN]

 米Cypress Semiconductor社は2009年4月、同社のプログラマブルマイコン「PSoC」の新製品として、照明用LEDの駆動に必要な電源回路を1チップに統合した「PowerPSoC」を発表した。主に、出力電流が300mA以上の高輝度(HB:High Brightness)LEDを用いる照明機器向けに展開する。サンプル価格やチップ単価は非公開だが、PowerPSoCを搭載したデモキット「CY3268」が60米ドル、評価キット「CY3267」が175米ドル。すでに量産を開始している。

 PowerPSoCは、8ビットのマイコンやアナログ/デジタル回路を、用途に合わせてプログラマブルに構成できるPSoCの新ファミリ。PSoCとしては、電源回路を備える初の製品である。32V/1Aまで対応するMOSFETと定電流レギュレータをそれぞれ最大で4個搭載する。つまり、これをLEDドライバとして用いれば、最大で4チャンネルに対応できる。PSoCのベース機能により、照明機器の操作系を含めた機器全体の制御を行い、MOSFETと定電流レギュレータにより、照明用LEDを駆動することができる。

写真1 日本サイプレスの吉澤仁氏 写真1 日本サイプレスの吉澤仁氏 

 日本法人の日本サイプレスで本部長 チャネル営業/営業支援を務める吉澤仁氏(写真1)は「2003年から出荷を開始したPSoCは順調に需要を拡大している。日本でも、富士通やシャープのタッチスクリーン型携帯電話機に採用されるなど、その評価は高まっている。PowerPSoCでは、これまで別に用意する必要のあったLEDドライバを1チップに統合した。これにより、LEDを使った照明機器のコスト削減と照明の品質向上を実現できる」と語る。

 PowerPSoCは、マイコンやLEDドライバなど、LED照明機器の中核となる機能をほぼ1チップに集積している。直流32Vから、内部回路の動作電圧である5Vを生成するためのスイッチングレギュレータも内蔵している。PowerPSoC以外に必要となるのは、家庭用電源から直流32Vを得るためのAC-DCコンバータ、LED列の上端/下端に接続するインダクタと抵抗、機器制御に用いるセンサー類だけである(図1)。部品コストの削減効果は、「LEDドライバ1チャンネル当たりで約1米ドル」(吉澤氏)となっている。

図1 4チャンネルのLED照明機器の回路構成例(提供:日本サイプレス) 図1 4チャンネルのLED照明機器の回路構成例(提供:日本サイプレス) PowerPSoCには、黄色の網掛け部分の機能が組み込まれている。

 また、コスト削減以外に、照明の品質を向上する機能も搭載している。現行のLED照明機器の調光は、PWM(パルス幅変調)制御で行われることが多い。仮に、このPWM制御をPSoCの8ビットマイコンで行うと、その分解能は10ビット程度が限界である。それに対し、PowerPSoCでは、16ビットの分解能でLEDのPWM制御を行えるようにしている。なお、電源回路を1チップ化することにより、実装面積の削減も期待できそうだが、実際には、回路全体に占める外付けインダクタの面積の割合が支配的なので、その効果は制限されるようだ。

 現在、照明機器に用いられている高輝度LEDについては、駆動電流が300mA〜700mAの製品が過半を占める。PowerPSoCは、1Aまでの出力電流に対応しているので、ほとんどの照明機器で利用できるという。また、高輝度LEDを1Aで駆動すると仮定すると、LED1個当たりで3〜4V程度の電圧が必要になる。PowerPSoCが内蔵するMOSFETの許容最大電圧は32Vなので、LEDドライバ1チャンネルにつき、7個程度のLEDを駆動することが可能である。

 PowerPSoCは、すでに海外メーカーの照明機器に採用されている。ある欧州メーカーのダウンライト(天井に埋め込まれた形の小型照明器具)では、4チャンネルのLEDドライバを使って、赤、緑、青、アンバーの各色LEDを制御し、2500ケルビン(K)〜1万Kまでの色温度の調光が可能である。また、米国メーカーのLED照明付きレンジフードの例では、LEDドライバにより、赤、緑、青のLEDに加えて、レンジフードのファンの回転制御も行っている。このレンジフードでは、PSoCのベース機能により、静電容量センサーを使った入力インターフェースの制御も行っている。日本市場の採用事例については、「開発段階の製品ではあるものの、日本メーカー2社が採用している」(吉澤氏)とした。

 PowerPSoCは、7mm角の56端子QFNパッケージで供給される。LEDドライバが3チャンネルの製品と4チャンネルの製品がある。それぞれに、最大出力電流が1A、0.5A、MOSFETを内蔵しないタイプが用意されており、合計6種類のラインアップとなっている。

(朴 尚洙)

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