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» 2009年05月01日 00時00分 UPDATE

Design Ideas:可変抵抗入力型モーターコントローラを電圧で制御

[朱宮 裕次(セイシング),EDN]

 米Curtis Instruments社のモーターコントローラは、電動車両で幅広く利用されている。しかし、一般的に入手できる高出力な製品は、可変抵抗器入力型のインターフェース(以下、可変抵抗インターフェース)しか提供しておらず、電圧で制御する用途では利用できない。そこで、このタイプの製品の電圧制御を可能にする簡単な構成の回路を紹介する。なお、本稿で紹介する回路は、Curtis社の「1204-004」と「1221C-7401」の2製品でのみ動作を確認している。同じインターフェースを備えるほかの製品での動作検証は、各自で行っていただきたい。また、本稿ではCurtis社モーターコントローラの説明は最小限にとどめるので、詳細については各製品のマニュアル/データシートなどを参照されたい。


図1 モーターコントローラの主要結線図 図1 モーターコントローラの主要結線図 

 図1はCurtis社のモーターコントローラ「1204」において、直流モーター(永久磁石界磁)を使う場合の基本的な結線図である。モーターコントローラの端子B+、B−は、それぞれバッテリのVbatt+とVbatt−に接続し、B+と端子M−は直流モーターに接続する。そして、モーターコントローラの端子2と端子3には、可変抵抗器(0Ω〜5kΩ)をつなぐ。その役割は、直流モーターへの出力電圧デューティを可変にすることにより、モーターの回転数を制御することである。大まかに言えば、可変抵抗が0Ωであればデューティは0%、5kΩであれば100%となる。

図2 抵抗入力インターフェースの電気特性 図2 抵抗入力インターフェースの電気特性 
図3 電圧制御を可能にする回路 図3 電圧制御を可能にする回路 

 図2に可変抵抗インターフェース部の電気特性を示した。V2、V3は、それぞれモーターコントローラにおいて可変抵抗器をつなぐ端子2と端子3の電圧(端子B−を基準とする)を表し、Ivrは可変抵抗器を流れる電流を表している。この図から、制御用の回路に要求されることとして、次の事柄が読み取れる。

  • 電流Ivrが約4mA流れても、その両端の電圧が0Vとなる十分に低い出力インピーダンスを有すること
  • 電圧V3がIvrによって決まること

 これらの要件を踏まえて作成したのが図3の回路である。この回路の特徴は、絶縁型のDC-DCコンバータIC2を用いて1次側と2次側に分離し、2次側の基準電位COMをモーターコントローラの端子3につないでいることにある。もちろん、IC2は絶縁だけを目的とするのではなく、オペアンプIC1に正負電源を供給する役割も担っている。

 この回路では、モーターコントローラの端子3を2次側基準電位としている。そのため、出力部を差動構成にする必要がない。加えて、電流Ivrが【端子2】→【トランジスタQ1のエミッタ】→【Q1のコレクタ】→【IC2の−Vcc】→【IC2のCOM端子】→【端子3】の経路をたどって流れるので、電圧V3は可変抵抗インターフェースの場合と同様に定まる。つまり、電流Ivrについては、可変抵抗インターフェースと本回路とで差異はないということである。

 オペアンプIC1Aは、モーターの回転数を設定する指令信号の符号の反転と利得の調整を行う。通常、指令信号はマイコンなどで生成されるはずなので、その電圧範囲は大きくても0V〜5V程度であろう。一方、最大値5kΩにおける可変抵抗器の両端の電圧は約8Vなので、IC1Aにより、この条件と指令信号の整合をとるのである。

 オペアンプIC1Bは、トランジスタQ1を含めて閉ループを構成した反転増幅器として働く。その利得は−1(−R4/R3)である。入力となるIC1Aの出力電圧は、指令信号を−R2/R1倍した値なので、トランジスタQ1のエミッタ電圧VEは、指令信号のR2/R1倍の電圧となる。

 トランジスタQ1のエミッタは、モーターコントローラの端子2と接続されている。端子3が本回路の基準電位となっているので、Q1のエミッタ電圧VEは、可変抵抗器の両端で生じる電圧に相当する。エミッタ電圧VEは、前述したように電圧信号である指令信号によって増減することができる。それにより、可変抵抗器の抵抗値を増減するのと同じ作用がモーターコントローラにもたらされる。

 トランジスタQ1にはIvrとして最大4mAほどの電流しか流れない。また、コレクタ‐エミッタ間電圧は少なくとも30Vあればよい。従って、Q1としては、東芝セミコンダクター社の「2SA1015」などの汎用品を使用できる。C1は位相補償用のコンデンサであり、D1、D2はエミッタ電圧VEの負側を制限するためのものである。

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