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» 2009年11月01日 00時00分 UPDATE

Design Ideas:LEDフラッシュのタイミング制御回路

[Michael C Page,EDN]

 本稿で紹介するのは、高輝度の白色LEDを用いたLEDフラッシュの発光制御を行う回路である。これは、燃料噴射装置の品質管理のための一作業である噴射パターンの目視検査に用いることを目的として考案したものだ。当初、この検査作業にはキセノン(Xe)フラッシュを使用する方法を考えた。しかし、キセノンフラッシュは所要スペースが大き過ぎることから採用が難しかった。また、キセノンフラッシュでは発光強度が強過ぎることも問題になる。光が強過ぎると、作業者の衣服や後ろの壁から反射した光がじゃまになるからだ。これらの理由から、キセノンフラッシュを利用する方法は使えないと判断した。

 そこで代替手段として、S字型のフレキシブルスタンドに取り付けた高輝度の白色LEDをフラッシュとして使う方法を試みた。しかし、以前から実績のあるタイマーIC「555」を使用する方法だと、LEDの発光開始のタイミング(ディレイ)とデューティサイクル(持続時間)の制御が干渉し合うことで、問題が複雑になることがわかった。

図1LEDフラッシュの制御回路 図1 LEDフラッシュの制御回路 

 図1に示すのは、上記の問題を解決する回路である。この回路は、メインクロックの入力、ディレイと持続時間を制御するためのポテンショメータP1とP2、高輝度LEDを駆動する出力トランジスタを備える。ここで、メインクロックは燃料を噴射するポンプの動作に連動して発生するパルス信号である。その幅(ハイ区間)は約30μsで、振幅は5Vとした。ポテンショメータP1を調整することにより、LEDがオンになるまでのディレイを40μsから2msの間で調整することができる。ポテンショメ ータP2は、LEDがオンの時間幅、すなわち持続時間を約15μsから15msの間で調整するためのものだ。

 この回路の動作は次のようになる。まずメインクロックは、ダイオードD1とコンデンサC1で構成されるピークホールド回路に入力される。クロックパルスがローになると、C1はポテンショメータP1、抵抗R1とで決まる時定数で放電する。シュミットトリガーインバータIC1AはC1の端子電位をモニターし、その電位がIC1Aの下位閾(しきい)値レベルに達すると、フリップフロップIC2のクロック入力(3番端子)にハイの信号を送る。その結果、IC2のQ出力(1番端子)がハイになる。すると、ダーリントン接続のトランジスタペアQ1とQ2(放電抵抗は省略している)がともにオンになって高輝度LEDが発光する。IC2のQ出力がハイになるのと同時に、コンデンサC2がポテンショメータP2とで決まる時定数で充電される。C2の端子電位がIC1Bの上位閾値レベルに達すると、IC1Bの出力がローになり、さらにIC1Cの出力がハイに変化する。それがフリップフロップIC2のリセット入力(4番端子)に伝わり、IC2がリセットされる。その結果、IC2のQ出力がローに戻り、Q1とQ2がオフして高輝度LEDが消灯する。このようにして、次の1サイクルが開始可能な状態になる。

 ダイオードD2は、IC2がリセットされてQ出力がローになったときにコンデンサC2の電荷を迅速に放電し、回路の動作の周期性を良好に維持するよう働く。IC2のリセット入力については、ハイアクティブの論理が成り立てばよいので、その意味ではIC1BとIC1Cは使用しなくてもかまわない。ただし、良好な周期的動作を維持するためには、ポテンショメータP2とコンデンサC2で構成されるRCフィルタの後段にはシュミットトリガー回路を配置するのが望ましい。そのため、この回路ではIC1BとIC1Cを使用している。このような処置は、コンデンサの充放電時間を長くする場合には特に重要である。

図2図1の回路の動作波形 図2 図1の回路の動作波形 いちばん上の青色の波形はLED制御のディレイ信号、下部の緑色の波形はトランジスタQ1のベース電圧(持続時間に対応する)、赤色の5V振幅の波形がメインクロックである。
図3ディレイ条件を変更した場合の動作波形 図3 ディレイ条件を変更した場合の動作波形 図2の条件から、持続時間はそのままで、ディレイのみを変更した場合の動作波形。図2と同じく、いちばん上の青色の波形はLED制御のディレイ信号、下部の緑色の波形はトランジスタQ1のベース電圧(持続時間に対応)、赤色の5V振幅の波形がメインクロックである。

 図2に、この回路の動作波形の例を示した。このときの動作条件は、メインクロックの周波数が650Hz、P1の設定値を10%としてディレイを約250μsとしている。一方、P2の設定値は75%で、持続時間は約600μsとなっている。図3は、持続時間は図2の場合と同じにし、ディレイの条件のみ変更した例である。これを見ると、持続時間の部分が、燃料を噴射するポンプの動作に連動して発生する次のパルスに重なっている。これは、(噴射弁の構造にもよるが)燃焼室内で校正用に行われる1回の燃料噴射の終わりとそれに続く次の噴射の始まりとをLED発光の持続時間内に収め、エラーを起こすことなく観測が行えることを意味している。

 なお、この回路には、一時的に発光輝度を増加させるためのスイッチを抵抗R3に並列に付加した。このスイッチがなければ、LEDに流れる電流は抵抗R3の働きによって約40mAに制限される。それに対し、このスイッチを押した際には、トランジスタQ1、Q2の電流容量である約400mAまで電流を流すことが可能になる。ただし、このようなレベルの電流を長時間流すと、LEDの寿命が短くなるので注意が必要である。

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