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» 2010年04月01日 00時00分 UPDATE

Design Ideas:マイクロ秒レベルでの遮断が可能な電源スイッチ

[Anthony H Smith,EDN]

 図1に示す回路を使用すれば、低電圧の信号を用いた制御により、高電圧の電源とグラウンド側の負荷との間を遮断/接続する電源スイッチ機能を実現できる。マイクロ秒レベルで回路を遮断することができるので、負荷側で障害が発生した際の電源保護回路(ブレーカ回路)として利用可能である。

 電源の遮断/接続は、出力制御端子にロジック信号を加えることで行う。信号の電圧が0.7V以下のときには、トランジスタQ3がオフになる。pチャンネルMOSFETのQ4は、ゲート電圧が抵抗R6を介して電源電圧レベルに引き上げられ、オフの状態に保持される。この状態では保護回路は電流を消費しない。


図1 マイクロ秒レベルでの遮断が可能な電源スイッチ 図1 マイクロ秒レベルでの遮断が可能な電源スイッチ 

 出力制御端子に3V〜5V程度の信号を印加すると、Q3がオンになる。それにより抵抗R7のQ3側の端子がほぼ0Vになり、Q4がオンになる。その結果、電源から電流検出抵抗R3を介して負荷電流ILが供給される。すなわち、電源スイッチとしての機能が実現される。R3と、Q4のオン抵抗の値が負荷の抵抗値よりも十分に小さければ、負荷電流のレベルは、主として電源電圧VSと負荷の抵抗値によって決まる。負荷が正常に動作している場合には、R3に生じる電圧降下は十分に小さい。そのためQ1はオンにはならず、結果としてトランジスタQ2もオフの状態に保たれる。

 一方、何らかの原因で負荷電流が増大して過電流の状態になると、R3の電圧降下が大きくなってQ1がオンになる。このとき、Q1には抵抗R4を介してベース電流が供給され、それによって流れるQ1のコレクタ電流がQ2のベース電流源となる。その結果、Q2がオンになり、これに伴ってQ1のベース電流がさらに増大する。この正帰還動作により、Q1、Q2が急速にオンの状態にラッチされる。Q1が飽和状態になると、Q1のコレクタに接続されたダイオードD2のアノードが電源電圧VS近くまで上昇する。そのため、Q4のゲート電圧が、電源電圧VSからダイオードの電圧降下分を差し引いた値にクランプされる。この条件によってQ4はオフになり、負荷電流ILが0Aとなる。Q1とQ2の両方がオンの状態にラッチされているので、Q4はオフのままとなり、それによって過剰な負荷電流が流れないよう保護が実現されるのである。なお、この状態から復帰するには、出力制御端子にローの信号を印加するか、あるいは電源を一度オフにして再投入する。

 図1では、電源電圧が20V〜30V程度であることを前提とした抵抗値を示している。適切な定格値のトランジスタを使用すれば、より高電圧の動作も可能だが、その場合には抵抗値をスケーリングする必要がある。

 また、5V程度の低電圧でも動作させることが可能だが、その場合には、Q1とQ2が確実に機能するよう、抵抗R1とR5の値を十分に小さくしなければならない。抵抗R6とR7は分圧回路を構成しており、この部分を調整することで、Q3がオンした際のQ4のゲート−ソース間電圧を十分高いレベルに設定する。電源電圧が低い場合にこの条件を満たすには、R6とR7の比を変更しなければならない可能性がある。

 なお、この回路を高電圧で動作させる場合には、Q3がオフした際にQ2のベース−エミッタ間にアバランシェ降伏が起きないよう、小信号ダイオードD1を適用するのが望ましい。ただし、このD1は、電源電圧がアバランシェ降伏が起きる電圧よりも十分に低い場合には使用しなくてもよい。

 部品の選定にあたっては、バイポーラトランジスタとしてはゲインの高いものを選び、D2としては逆バイアスリーク電流の少ないものを選ぶ(従って、ショットキーダイオードは使用しない)。また、回路がオフの状態では各トランジスタのコレクタ−エミッタ間やドレイン−ソース間に電源電圧そのものが加わるので、各部品の最大許容電圧はこの回路の最大電源電圧よりも高くなければならない。

 ブレーカ機能は、負荷電流ILが約0.5V/R3を超えると作動する。例えば、電源電圧が24V、R3が6.8Ωであるとすると、負荷電流が約70mAを超えたら作動する。実際の作動電流は動作温度によってわずかに変動するし、Q1の特性にも依存して異なる値となる。そのため、作動電流を所望の値にできるようR3の値を調整できるようしておく。

 Q1とQ2から成る正のフィードバックループは、先述したラッチ条件を生成する働きに加え、過電流に対するブレーカ機能を高速化するようにも働く。この作動時間は、障害が発生した際に流れる電流量に依存する。電源電圧が24V、R3が6.8Ωの場合、障害が発生して80mAの電流が流れたとすると、ブレーカ機能が作動するまでに約6μsの時間を要する。電流値が200mAまで増大したなら、作動時間は約500nsとなる。

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