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» 2010年07月01日 00時00分 UPDATE

【ビデオ講座】アナログ設計の新潮流を基礎から学ぶ:大電力用途に向けたLED照明器具、その設計の技術的ポイントを解説(前編)

[PR/EDN Japan]
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【ビデオ講座】「LEDシリーズ第2回目」大電力用途に向けたLED照明器具、その設計の技術的ポイントを解説(前編) (クリックで動画再生)


図1 図1 大電力用途で必要な明るさとLED個数
用途によって必要な光束(ルーメン)が異なる。例えば、180Wのナトリウム灯を置き換える用途では2万7000lmの光束が必要だ。LEDの個数に換算すると約2000個である。

 照明用途へのLEDの適用が急ピッチに進んでいる。一般家庭の照明器具に向けたLED電球の製品化が相次いでおり、売れ行きも好調のようだ。さらに、自動車のヘッドライトや、プロジェクター用ランプ、道路灯、街路灯などでもLEDの採用が急拡大している。

 こうした照明用途では、かなり多くの光量が必要になる。従って、非常に多くのLEDを使う必要がある。例えば、白熱電球の置き換えを狙う100WのLED電球では100個程度、自動車用ヘッドライトのHID(High Intensity Discharge)ランプの置き換え用途では300個程度、プロジェクター用ランプでは500個程度、ナトリウム灯を置き換える道路灯の用途で2000個程度のLEDを駆動する必要がある(図1)。

図2 図2 大電力用途のLED照明器具に向けたデモ機
ナショナル セミコンダクター ジャパンが作成したデモ機である。光出力は120W程度。LEDドライバICには同社の「LM3464」を採用した。

 こうした極めてたくさんのLEDを同時に駆動する大電力用途は、どのように設計すれば良いのだろうか。設計時に検討しなければならない技術的なポイントは多岐にわたる。例えば、LEDの接続方法、最適な駆動回路構成、放熱、外形寸法、コスト、信頼性などである。

 現在、米National Semiconductor社では、大電力用途に向けたLEDドライバICを複数品種市場に投入している。その最新チップが「LM3464」である。道路灯や街路灯などのアプリケーションに向けたLEDドライバICだ。このチップを使ったLED照明器具向けデモ機も用意している(図2)。出力は約120Wである。

信頼性を重視し、接続方法を決定

図3 図3 直列接続の信頼性
直列接続では、1個のLEDがショート(短絡)・モードで故障しても、残る4個のLEDを駆動し続けることが可能だ。ただし、オープン(開放)・モードで故障すると、光出力はゼロになってしまう。

 大電力用途に向けたLED照明器具を設計する際に、数多くある技術的なポイントの中で特に注意を払うべきものは何なのだろうか。ナショナル セミコンダクター ジャパンのマーケティング本部でプロダクトマーケティング 課長代理を務める辻慎治氏は、「LEDの接続方法と駆動回路の構成方法の2つだ」と指摘する。

 LEDの接続方法には、直列接続と並列接続という2つがある。一般に直列接続は、つないだLEDすべてに同じ電流を供給できるため明るさを均一にできるというメリットがある一方で、高い駆動電圧が必要になるというデメリットがある。かたや並列接続は、各列(ストリング)の供給電流のマッチングを確保するのが難しいというデメリットがあるが、低い電圧でたくさんのLEDを駆動できるメリットがある。

図4 図4 ツェナー・ダイオードで対処
直列接続では1個のLEDがオープン(開放)・モードで故障すると、ストリング(列)全体の光出力がゼロになってしまう。ただし、LEDに並列にツェナー・ダイオードを接続しておくと、故障時の迂回路となるため、残る4個のLEDを駆動し続けることが可能になる。

 ただし、同氏は「大電力用途で、LEDの接続方法を論じる場合は、駆動電圧の高低やや明るさの均一性だけでなく、信頼性について検討する必要がある。道路灯や街路灯などの用途では、頻繁にメンテナンスできない。このため、長い期間にわたってメンテナンス・フリーで運用できるように設計する必要がある」という。

 信頼性という観点から見ると、直列接続と並列接続のどちらの方が適しているのか。それぞれの接続方法について信頼性の観点から確認してみる。直列接続は、ある一つのLEDがショート(短絡)・モードで故障しても、残るほかのLEDを駆動し続けることができる(図3)。オープン(開放)・モードで故障した場合は、残るほかのLEDも駆動できなくなってしまう。しかし、オープン・モードの故障については対処方法がある。それぞれのLEDに対して並列にツェナー・ダイオードを接続する方法だ(図4)。このツェナー・ダイオードが、オープン・モードで故障したLEDの迂回路の役割を果たす。従って、残るほかのLEDを駆動し続けることができるようになる。

 並列接続はどうだろうか。仮に、一つのLEDがショート・モードで故障したとする。このとき、すべての供給電流である2.5Aが故障したLEDの列(ストリング)に流れ、ほかのLEDには電流が供給されなくなる(図5)。しかし、この状況は長続きしない。故障したLEDに2.5Aもの電流が流れ込むと、高い確率ですぐさまオープンの状態になるからだ。そうなると、2.5Aの電流が残る4つのLEDに均等に分割されて供給される。すなわち、各LEDに0.625Aの電流が流れ込むわけだ。LEDに必要以上の電流を供給すると、発熱量が増大するため寿命が短くなる。信頼性の観点から見れば、好ましくない。

図5 図5 並列接続の信頼性
並列接続において、1個のLEDがショート(短絡)・モードで故障すると、そこに電流が集中するため、光出力はゼロになってしまう。ただし、故障したLEDは大電流が流れるため、すぐにオープン(開放)・モードの故障となる。この結果、残る4個のLEDには当初に比べて多めの電流が流れることになる。

 従って、大電力用途では、直列接続を採用する方が良い。ただし、たくさんのLEDを単に直列接続してしまうと、駆動電圧が高くなりすぎてしまい、現実的ではなくなってしまう。そこで「道路灯や街路灯などの用途では、1つのLEDドライバICで1つのLEDストリングを駆動するという方式が比較的多く採用されている」(辻氏)。例えば、100個のLEDを駆動する場合は、10個のLEDを直列に接続した10本のストリングを、10個のLEDドライバICで駆動する(図6)。コストは若干高くなるが、高い信頼性を確保できるようになる。

図6 図6 大電力用途に適した駆動回路構成
大電力用途では信頼性の確保を重視した回路構成を採用すべきである。このため、複数のLEDを直列に接続した1本のストリング(列)を、1個のLEDドライバICで駆動する構成が適している。10本のストリングがあれば、10個のLEDドライバICが必要になる。

リニア制御方式でも98%の効率が得られる

図7 図7 リニア制御方式とスイッチング制御方式の比較
それぞれメリットとデメリットを抱えている。

 大電力用途に向けたLED照明器具を設計する際のもう1つの技術的なポイントである駆動回路の構成方法も選択肢は2つある。スイッチング制御方式とリニア制御方式である(図7)。

 スイッチング制御方式のメリットは高い効率が得られることだ。しかし、スイッチング動作によるノイズが発生したり、回路ごとにコイルやダイオードが必要になるためコストが高くなったりするデメリットがある。一方、リニア制御方式は、スイッチング・ノイズは一切発生しない上に、コイルやダイオードが不要なためコストを低く抑えられるというメリットがある。デメリットとしては、高精度な定電圧制御が必要になることと、LEDの順方向電圧(VF)を管理するために、LEDの選別が必要になることが挙げられる。一般に、順方向電圧によって選別されたLEDは高価である。

 スイッチン制御方式とリニア制御方式。大電力用途に向けたLED照明器具にはどちらの方式が適しているのか。辻氏は、「それぞれにメリットとデメリットがあり、一概にどちらの方が優れているとは断言できない」という。ただし、リニア制御方式でも、回路的な工夫を施せば、変換効率をスイッチング制御方式並みの90数%に高めることが可能だ。冒頭で紹介したLEDドライバIC「LM3464」を使ったLED照明器具のデモ機では、リニア制御方式を採用していながらも、98%と極めて高い変換効率を達成している。

 なぜ、リニア制御方式で98%という変換効率を実現できたのか。その理由は後編で紹介する。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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