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» 2010年09月21日 00時00分 UPDATE

「MATLAB/Simulink」の新バージョン「R2010b」、信号処理/通信機能向けの機能を強化

[EDN Japan]

 米The MathWorks社は2010年9月、東京都内で記者会見を開き、同社モデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」の最新バージョン「R2010b」で導入された新機能についての説明を行った。

 R2010bでは、高度な信号処理を行う機器や通信システムの設計に役立つ機能が導入された。まず、MATLABには、音楽、映像などのストリーミング処理を行うためのアルゴリズム開発を容易化するオプション「System Objects」が追加された。これまで、MATLABを用いてストリーミング処理用のアルゴリズムを開発する場合には、ストリーミングデータのフレームサイズの規定や、処理するフレームへのインデックスの付加など、複雑なプログラミングと明示的な状態管理を行う必要があった。また、プログラミングが複雑であるため、開発したアルゴリズムの再利用性も高いとは言えなかった。一方、System Objectsでは、Simulink向けに提供されてきたストリーミング処理用ブロック「Communication Blockset」、「Signal Processing Blockset」、「Video and Image Processing Blockset」に含まれるアルゴリズムを、専用の関数を用いることによりMATLABでのプログラミングに利用できるようになった。これにより、ストリーミング処理用のアルゴリズムをMATLABでプログラミングする際に、状態管理やインデックス付けなどを行う必要がなくなる。また、専用の関数を用いてプログラミングを行うので、作成したプログラムは比較的簡素なものになる。このため、プログラムの再利用性も高まるという。リスト1では、音声データのフィルタリング処理を行うプログラムについて、System Objectsを使う場合と使わない場合を比較している。System Objectsを用いて開発したアルゴリズムは、Simulinkのブロックとして利用することが可能である。

リスト1 音声データのフィルタリング処理用プログラムの比較 リスト1 音声データのフィルタリング処理用プログラムの比較 右側がSystem Objectsを利用したプログラム。左側が、System Objectsを利用していない、従来のMATLABによるプログラムである。

 また、Simulinkには、RFシステムの設計に用いる新たなオプションとして「SimRF」が導入された。この用途向けには「RF Blockset」という既存オプションがあり、1つの周波数のRF信号だけを扱えるベースバンド等価の解析機能を備えていた。SimRFは、この機能に加えて、複数の周波数のRF信号を用いて解析が行えるサーキットエンベロープ解析とハーモニックバランス解析の技術を取り入れた。また、抵抗やコンデンサ、インダクタなどの電子部品のモデルをブロックとして配置/接続することで、受信器などのRF部のモデルを設計できる手法を採用した。これにより、モデルを構成するブロックに入力と出力が必要になる、Simulinkの一般的なモデル作成ルールに縛られずに、RF部のモデルを設計できるようになる。さらに、RF部のモデル設計用のブロックとして用意されているアンプとミキサーのパラメータとして、非線形要素を表すIP2(2次インターセプトポイント)も利用できるようになった。

 SimulinkモデルからVHDLやVerilogなどで記述したHDL(Hardware Description Language)コードを生成するオプション「Simulink HDL Coder」は、メジャーバージョンアップが行われ、バージョン2.0となった。同バージョンでは、設計における繰り返し作業を効率化するための機能が追加されている。まず、「HDL Workflow Advisor」と同社が呼ぶGUI(Graphical User Interface)を採用し、作成したモデルの固定小数点化から、HDLコードの生成までの作業を確認できるようにした(画面1)。同GUIからは、米Xilinx社のFPGA開発環境である「Xilinx ISE」と米Altera社の「Quartus II」の合成ツールの機能を操作することも可能である。ほかにも、Simulinkモデルの段階でリソースの使用状況を見積もったり、処理のボトルネックになるクリティカルパスをハイライト表示したりする機能も搭載している。

画面1 「HDL Workflow Advisor」の画面 画面1 「HDL Workflow Advisor」の画面

 また、組み込み機器用のCコード生成を行うオプション「Real-Time Workshop Embedded Coder」を、オープンソースの統合開発環境である「Eclipse」、組み込みLinux、英ARM社のプロセッサコア「Cortex-A8」に対応できるようにした。さらに、「EDA Simulator Link」では、SystemC言語のTLM(Transaction Level Modeling) 2.0に準拠したコンポーネントを生成する機能が追加された。

(朴 尚洙)

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