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電源回路設計の手順と勘所(2)複数負荷の電源トポロジーを最適化する【ビデオ講座】アナログ設計の新潮流を基礎から学ぶ

» 2010年10月15日 00時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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【ビデオ講座】電源回路設計の手順と勘所(2)複数負荷の電源トポロジーを最適化する (クリックで動画再生)


 かつて、エレクトロニクス業界には、電源電圧が5V単一や3.3V単一といった時代があった。しかし最近では、用途によってさまざまな電源電圧を使い分けるのが当たり前になっている。例えば、デジタルICのコア部であれば、1.8Vや1.5V、1.2V。最新のチップであれば、1.0Vを採用する例もある。さらに入出力(I/O)インターフェース部には2.5Vや3.3V、アナログ・フロントエンド部には、2.5Vなどを利用している。

 しかも、こうした各電源の供給電流量は少なくない。いかに入力電圧から、こうした電源電圧を作成して供給するか。現在、電子機器の開発現場において、大きな課題となっている。

最適トポロジー

 そこで今回は、複数負荷に向けた電源回路設計の手順と勘所について解説する。考慮すべき点は電源トポロジーにある。電源トポロジーとは、電子機器、もしくはプリント基板への入力電圧を、ICなどに供給する各電源電圧に変換する回路の構成方法を指す。入力電圧を各電源電圧に直接変換したり、中間バス電圧を介して変換したりといった選択肢がある。もちろん、中間バス電圧をいくつに設定するかも設計者が決めなければならない。今回は、この電源トポロジーの設計に、米National Semiconductor社のオンライン設計支援ツール「WEBENCH® Power Architect」を利用する。

図1 図1 設計結果300の電源トポロジー
I/O部とAFE部は、入力電圧を直接変換して供給しているが、Core部は3.3Vの中間バス電圧を介して変換して供給する。

 例題として、ごく一般的なASICを取り上げよう。まずは、同設計支援ツールに初期条件を入力する。ここでは、電子機器やプリント基板への入力電圧の最小値を20V、最大値を28Vとする。次に各負荷の詳細を入力するのだが、今回は、コア(Core)部の電源電圧は1.2Vで供給電流は4A、I/O部の電源電圧は3.3Vで供給電流は2.5A、アナログ・フロントエンド(AFE)部の電源電圧は2.5Vで供給電流は0.5Aと想定する注1)

 これで初期条件の入力が終わった。ここで、「プロジェクト要件を送る」ボタンをクリックすると、解析結果が表示される。最初に表示されるのは、オプティマイザ・ダイヤルが「3」の位置にある場合だ(設計結果300)。画面右下に電源トポロジーが表示されている。I/O部とAFE部には、入力電圧を直接変換して供給しているが、Core部には3.3Vの中間バス電圧を介して変換するという結果が得られた(図1)。変換効率は82.40%で、電源占有面積(フットプリント)は1151mm2、部品(BOM)コストは20.53米ドルである(表1)。

表1 表1 各設計結果の比較
オプティマイザ・ダイヤルを「1」と「3」、「5」に合わせたときの設計結果を比較した。
図2 図2 設計結果500の電源トポロジー
I/O部には入力電圧を直接変換して供給。Core部は3.3Vの中間バス電圧を介して、AFE部には10Vの中間バス電圧を介して供給している。

 それでは、オプティマイザ・ダイヤルを変えて解析を実行することで、電源トポロジーがどのように変化するかを確認してみる。オプティマイザ・ダイヤルを「5」に合わせ、変換効率を最優先させた場合を求める(設計結果500)。すると、設計結果300とは異なる電源トポロジーが得られた。I/O部には入力電圧を直接変換して供給しているが、Core部には3.3Vの中間バス電圧を介して、AFE部には10Vの中間バス電圧を介して供給している(図2)。変換効率は86.77%、電源占有面積は2145mm2、部品コストは20.84米ドルである(表1)。


図3 図3 設計結果100の電源トポロジー
I/O部、Core部、AFE部のいずれも11Vの中間バス電圧を介して供給する。

 次に、オプティマイザ・ダイヤルを「1」に合わせて、電源占有面積を最優先させた場合を求めたところ(設計結果100)、設計結果300と設計結果500とはまったく異なる電源トポロジーが求まった。具体的には、I/O部とCore部、AFE部のすべてを、11Vの中間バス電圧を介して供給する電源トポロジーである(図3)。変換効率は72.00%、電源占有面積は981mm2である注2)

直接変換 vs. 中間バス

 最優先させるパラメータを変えると、最適な電源トポロジーも変わる。各パラメータと電源トポロジーとの間には、どのような関係があるのだろうか。

 一般に、変換の回数が増えれば、変換効率は低下してしまう。DC-DCコンバータの変換効率は80数〜90数%であるためだ。ただし、DC-DCコンバータの変換効率は、入力電圧と出力電圧の差が小さい方が高い傾向にある。従って、高い入力電圧を一気に、1.5Vや1.2Vといった低い電圧に変換する場合は、効率が極めて低くなる可能性がある。

 果たして、中間バス電圧を使った方が良いのか、それとも入力電圧を各電源電圧に直接変換した方が良いのか。ナショナル セミコンダクター ジャパン マーケティング本部 プロダクトマーケティング課長の山田浩二氏は「一概に、どちらの方が優れているとは断言できない。入力電圧と各電源電圧の差だけでなく、各電源電圧の供給電流にも依存するからだ」という。

 つまり、変換効率というパラメータだけ考えるケースでも、考慮しなければならない項目が数多くあるわけだ。同氏は、「こうした項目を一つずつ、すべて頭の中で検討することは現実的ではない。従って、WEBENCH® Power Architectのようなツールを利用することはとても有効なことだ」と指摘する。

注1)初期条件の設定画面には、最大出力リップル電圧やフィルタ、ソフトスタート時間などの項目も用意されている。今回は解析を簡略化するため、未設定のままその後の解析を行った。これらの項目については、今後詳しく解説する予定だ。

注2)部品コストは0.00米ドルと表示されている。この理由は、部品リストの中に、価格の未確定の製品が含まれているためである。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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