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» 2010年12月01日 00時00分 UPDATE

Design Ideas:3色LEDの2ビット制御で4つの色を得る

赤色、緑色、青色の3色のLEDが1つのパッケージに組み込まれているタイプの製品がある。本稿では、この種の3色LEDを2ビットのデジタル信号で駆動することにより、4種の発光色を得る方法を紹介する。

[Marian Stofka (スロバキア工科大学),EDN]

 赤色、緑色、青色の3色のLEDが1つのパッケージに組み込まれているタイプの製品がある。本稿では、この種の3色LEDを2ビットのデジタル信号で駆動することにより、4種の発光色を得る方法を紹介する。


図1 3色LEDの制御回路 図1 3色LEDの制御回路 3色LEDは、2種類または3種類の色を混合した状態で光を放射する。図のIC3は、IN1とIN2がともにハイの場合の状態を表している。

 図1の回路では、3色LEDとして米Avago Technologies社の「ASMT-MT00」を使用している。同製品が内蔵する各LEDに流す電流は、IC3のデュアルSPDT(Single Pole Double Throw:単極双投)スイッチで設定する。この例では、IC3として米Analog Devices社のデュアルSPDT製品である「ADG854」を採用し、それを1対2のデマルチプレクサとして使っている。

 ここでは、各LEDに流れる単位電流をIと定義する(詳細は後述)。そうすると、各LEDは、電流値Iが流れる状態、2×Iの電流が流れる状態、電流が流れない状態の3つの状態をとる。どのLEDにどれだけの電流が流れるかは、トランジスタアレイであるIC2が備える3個のバイポーラトランジスタQ1、Q2、Q3からの電流経路をデマルチプレクサIC3で制御することによって決まる。このとき、3個のトランジスタはそれぞれ電流値がIの電流源として働くとともに、電流加算素子としても機能することになる。

 この回路において、単位電流の値Iは次式で求められる。

I=(VREF−VBE)/RE

 ここで、VBEはトランジスタQ1、Q2、Q3それぞれのベース−エミッタ間電圧、VREFは図中の1.25Vの電圧、REは図のRE1、RE2、RE3の抵抗値(いずれも33Ω)である。

 これらのうち、VBEはトランジスタQ1、Q2、Q3のコレクタ電流に依存して少し変動する。ただし、通常はその変動量は無視できるレベルのものである。この点に関しては、IC2として選択したトランジスタアレイ製品のデータシートを参照されたい。

 続いて、各LEDにどのように電流が流れるかを説明する。

 まず、緑色のLEDには、Q2からRE3への経路で電流Iが常時流れる。そして、デマルチプレクサIC3のD1側の接続状態に対応し、Q1またはQ3からRE1への経路で、電流Iが赤色LEDまたは青色LEDのいずれかに流れる。さらに、デマルチプレクサのD2側の接続状態に対応し、Q1またはQ2からRE2への経路で、緑色LEDまたは赤色LEDのいずれかに電流Iが流れる。このような動作により、各LEDを流れる電流は、ゼロまたはIまたは2×Iに切り替わる(ただし、上述したように、緑色LEDの電流値はゼロにはならない)。

 なお、デマルチプレクサIC3は、制御端子IN1とIN2を電源電圧(5V)に接続するか否かで操作する。それぞれに付加されている抵抗R2、R3は、いずれもプルダウン抵抗として働く。

表1 制御端子の設定と各LEDを流れる電流、発光色の関係 表1 制御端子の設定と各LEDを流れる電流、発光色の関係 

 表1に、デマルチプレクサの制御信号IN1とIN2と各LEDを流れる電流値、3色LED全体としての発光色の関係を示した。この表を見ればわかるように、4種類すべての状態において、3個のLEDのそれぞれに同時に流れる電流値の合計は等しく3×Iとなる。従って、3色LEDとしての発光色は変化するわけだが、光の強度はどの状態でもほぼ同等になる。

 トランジスタQ1、Q2、Q3のベース−エミッタ間電圧VBEは、温度の上昇とともに約1.42mV/℃の割合で減少する。そのため、LEDに流れる電流は、温度の上昇とともに増加する。この例の場合、温度に対する電流の上昇比率は約0.33%/℃となる。都合の良いことに、この特性は、温度の上昇とともに発光輝度が低下するというLEDの温度特性を相殺するように働く。

 LEDの発光輝度が温度の上昇に対して減少する比率は、ともに窒化インジウムガリウム(InGaN)を材料とする青色LEDと緑色LEDにおいて、それぞれ約0.27%/℃、0.35%/℃である。これらは、上述したベース−エミッタ間電圧の温度特性によってほぼ相殺され、周囲温度が変化しても輝度がほとんど一定に保たれる。アルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)を材料とする赤色LEDについては、温度の上昇に対する輝度の減少比率は約0.77%/℃と、青色LED、緑色LEDのそれより少し大きい。それでも、ベース−エミッタ間電圧の温度特性の効果によって、ほぼ半減できることになる。

 また、各LEDに流れる電流の最大値(すなわち、2×I)は、約26mAとなる。この値は、ASM-MT00の最大定格電流である350mAに比べてはるかに少ない。そのため、十分な輝度を得ながらも、接合温度は低く保つことができる。例えば、緑色LEDの場合、接合部から端子までの熱抵抗が20℃/Wで、3色LED全体としての消費電力が約0.1Wなので、接合温度の周囲温度からの上昇分は2℃以下に収まると見積もることができる。このことから、この回路で使用する3色LEDの寿命は、数千時間をはるかに超えると期待できる。


脚注

※1…Oon, Siang Ling, "The Latest LED Technology Improvement in Thermal Characteristics and Reliability: Avago's Moonstone 3-in-1 RGB High Power LED," White Paper AV02-1752EN, Avago Technologies, Jan 20, 2009


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LED | トランジスタ | 回路 | 青色LED | 赤色LED


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