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» 2010年12月01日 00時00分 UPDATE

【ビデオ講座】アナログ設計の新潮流を基礎から学ぶ:電源回路設計の手順と勘所(5) 電気的特性を評価する(前編)

[PR/EDN Japan]
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【ビデオ講座】電源回路設計の手順と勘所(5) 電気的特性を評価する(前編) (クリックで動画再生)


 電源回路が搭載していない電子機器は存在しない。このため、どのような電子機器でも電源回路を設計する作業は不可欠である。

 ところが、この電源回路設計はそう簡単なものではない。特に難しいのは、多くのトレード・オフ関係が存在することである。従って、さまざまな電気的な特性に配慮しながら作業を進めなければならない。例えば、出力リップル電圧や負荷応答特性、ライン・レギュレーション特性、ロード・レギュレーション特性、制御ループの安定性、変換効率などの特性に対する注意が必要だ。いずれの特性も、十分なレベルに達していなければ、実際の電子機器に適用することはできない。電源回路を設計する作業も非常に難しい。しかし、その電気的な特性の評価も非常に労力が掛かる作業だと言えるだろう。

 そこで米National Semiconductor社では、こうした電源回路設計とその評価作業を簡略化することを目的にオンライン設計支援ツール「WEBENCH® Power Designer」を用意している。今回はこのツールを使って、FPGAやASIC、DSPなどのコア回路に電力を供給する電源回路を設計し、さまざまな電気的な特性を評価してみる。

シミュレーション機能で電気的な特性を確認

図1 図1 電源設計と特性評価に向けたオンライン設計支援ツール
米National Semiconductor社がサービスを提供している「WEBENCE Power Designer」の初期条件設定画面である。

 FPGAやASIC、DSPなどのコア回路に向けた電源回路は、電子機器に搭載する多くの電源回路の中で最も設計が難しい。その理由は3つある。1つは電源電圧が低いこと。品種によって異なるが、1.0V付近であることが多い。最近では、1Vを切る品種が増えている。2つめは、供給電流量が多いことである。これも品種によって異なるが、10Aや20Aに達する品種も少なくない。3つめは、電源電圧の許容範囲が狭いことだ。そもそも電源電圧が約1Vと非常に低いため、許容範囲が±10%の場合は±100mV、±7%の場合は±70mVと小さな変動しか許されない。極めて厳しい制約条件だと言えるだろう。

 今回、こうしたコア回路向け電源回路を対象にする。まずはオンライン設計支援ツールに初期条件を入力する(図1)。入力電圧は12Vで、出力電圧は1.0V、出力電流は7A、周囲温度は30℃とする。ここで「Start Design」ボタンを押し、採用する電源ICを決める。今回は、さまざまな選択肢の中から、最も高い変換効率が得られる「LM3150」を採用する。LM3150は、いわゆるコントローラ(スイッチング・レギュレータ制御)ICである。つまり、ハイサイドとローサイドのパワーMOSFETを外付けで用意する必要がある。

 このICの特徴は、高速応答が可能な点にある。コンスタント・オン・タイムのリップル制御方式を採用しているからだ。リップル電圧制御とも呼ばれる方式である。通常、スイッチング・レギュレータでは、電圧制御方式や電流制御方式が一般的である。これらの一般的な制御方式は、フィードバック・ループにアンプ回路が含まれているなどの理由から、応答特性を高めることが難しい。一方、リップル制御方式のフィードバック・ループには、アンプ回路が含まれておらず、コンパレータとタイマーだけで構成している。このため、高速な応答特性が可能になる。

 ここで、WEBENCH® Power Designerを使って設計した電源回路を確認してみる。なお、WEBENCH® Power Designerにも、オプティマイザ・ダイヤルが用意されている。今回はこのダイヤルを、変換効率を最優先させる「5番」に合わせた。その結果、変換効率は91%、電源占有面積は860mm2、部品コストは9.59米ドルと求まった注1)。回路図を図2に示す。ハイサイドとローサイドのスイッチには、最大ドレイン電流が100Aと大きい30V耐圧のパワーMOSFET、出力インダクタには4.7μH品、出力コンデンサには1000μF品が採用されている。

図2 図2 設計した電源回路
電源ICには、高速応答が特徴のコントローラIC「LM3150」を採用した。パワーMOSFETは外付けで、ハイサイドとローサイドともに30V耐圧品である。出力インダクタは4.7μH品、出力コンデンサは1000μF品を使う。

 これでコア回路に向けた電源回路が設計できたことになる。ただし、この時点では、アプリケーションが求める仕様をこの電源回路が満足しているかどうかは不明だ。求められる仕様について、確認する必要がある。

まずは定常状態をチェック

図3 図3 「Steady State」のシミュレーション結果
Steady State(定常状態)における出力電圧波形のシミュレーション結果である。リップル成分はピーク・ツー・ピーク値で約55mVと小さく、電源電圧の許容範囲に十分に収まっている。

 まず、確認する必要がある仕様は、出力電圧のリップル成分である。スイッチング・レギュレータの出力は直流電圧だが、スイッチング動作によって安定化しているため、どうしても変動(リップル)成分が重畳させてしまう。このリップル成分が、±10%や±7%といった電源電圧の許容範囲を超えてしまうと、FPGAやASICは誤動作を起こしたり、リセットされたりする事態を招く危険性がある。従って、リップル成分が許容範囲に収まっているかどうかを確認する必要がある。

 WEBENCH® Power Designerを使って確認する場合は、「シミュレーション」機能を利用する。シミュレーションのタイプは複数用意している。ここでは、リップル成分が許容範囲に収まっているかどうかを確認するために、電源回路の定常状態の動作を解析する「Steady State」を選択し、「新しいシミュレーションを開始」ボタンを押す。 こうして得られたシミュレーション結果が図3である注2)。リップル成分の変動範囲は約1.018〜1.073V。つまり、ピーク・ツー・ピーク値では約55mVと求まった。この結果について、ナショナル セミコンダクター ジャパンの山田浩二氏は、「仮に、制約条件を1V±10%だとすれば、十分に許容範囲に収まっている。さらに、ピーク・ツー・ピークの55mVという値は、1.0Vの5%強にすぎないため、かなり良好な結果だと言えるだろう」と評価する。

 しかし、電源回路の出力電圧が変動する原因は、スイッチング動作によるリップル成分だけではない。入力電圧が変化したり、負荷の動作状態が急激に変化したりした場合も、出力電圧が変化してしまう。従って、「Steady State」に加えて、「Input Transient」や「Load Transient」といった過渡応答特性も確認する必要がある。この過渡応答特性に関するシミュレーションについては、次回詳しく説明する。

注1)部品コストは、毎日、変更されている。このため、解析結果が同じ値にならないこともある。今回、本文中に記載した部品コストは、2010年11月18日時点の値である。

注2)シミュレーション結果が表示された最初の状態は、必ずしもユーザーが必要とするパラメータの波形が表示されているとは限らない。必要とするパラメータの波形を表示するには、「Show Controls」ボタンを押して、開いたウインドウの「Add/Remove Waveforms」のタブをクリックし、不要な波形については「Delete」ボタンで取り除き、表示したい波形は「Add」ボタンを押すことで追加できる。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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