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安川電機のEV用モーターシステム、ローム製SiCパワーモジュールを採用

» 2011年01月18日 00時00分 公開
[EDN Japan]

 安川電機は2011年1月、電気自動車(EV)用のモーターシステム「SiC-QMET」を開発したと発表した。同システムには、ロームのSiC(シリコンカーバイド)デバイスと高温動作モジュール技術を用いたパワーモジュールが用いられている。


写真1 巻き線切り替え部の制御回路に用いられるSiCパワーモジュール 写真1 巻き線切り替え部の制御回路に用いられるSiCパワーモジュール 「SiC-QMET」のモーター側に内蔵されている。

 安川電機は、2010年1月から、独自の電子式巻き線切り替え技術を採用したモーターシステム「QMET(Qualified Magneto-Electronics Transmission)ドライブ」を、EVやハイブリッド車(HEV)向けに展開している。SiC-QMETは、このQMETドライブをベースとしたものである。QMETでは、モーター側に内蔵されている巻き線切り替えの制御回路と、モーターとは別の部品であるインバータの制御回路にSi(シリコン)デバイスを用いたパワーモジュールを採用していた。SiC-QMETでは、このパワーモジュールに替えて、ロームのSiCパワーモジュールを採用した(写真1)。これにより、SiC-QMETでは、従来のQMETドライブと比べて、制御回路部の容積が1/2以下になり、変換効率も94%から96%に向上した。

写真2 SiCパワーモジュールの内部構造 写真2 SiCパワーモジュールの内部構造 

 ロームのSiCパワーモジュールは、同社が開発したSiC‐トレンチMOSFETとSiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)を用いている(写真2)。SiC‐トレンチMOSFETは、同社が独自に開発したデバイス構造を採用しており、一般的なプレーナ構造を用いているSiC-DMOSFET(Double-Diffusion MOSFET)と比べてオン抵抗を1/3以下に低減できるという。ロームは、2010年12月から量産を開始したSiC-DMOSFETの次世代品として、数年後の実用化に向けてSiC-トレンチMOSFETの開発を進めている。

 また、SiCデバイスは、動作温度の上限が約170℃のSiデバイスと異なり、200℃以上でも動作が可能なことを特徴としている。今回SiC-QMETに採用されたSiCパワーモジュールには、ロームの高温動作モジュール技術が適用された。

 なお、安川電機は、東京ビッグサイトで開催される『第3回国際カーエレクトロニクス技術展/第2回 EV・HEV駆動システム技術展』(2011年1月19日〜1月21日)において、SiC-QMETを出展する予定である。

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