コラム
» 2011年02月01日 00時01分 UPDATE

Wired, Weird:Z軸モーターの事故に備える

Z軸モーターを利用する装置が稼働している際、停電が起きると、Z軸モーターと搬送物が一緒に落下して破損してしまう。そのため、Z軸モーターには必ず落下防止用のブレーキが付けられている。今回は、このブレーキに関連する問題を取り上げる。

[山平 豊 (ホックス(HOKS)),EDN Japan]

 多くのモーターは無励磁停止型であり、モーターに電源が入っていなければ回転部にブレーキがかかる。このブレーキは、一般に図1のような電磁ブレーキとして実現されている。モーターに電源が入り、電磁コイルに電圧がかかると、スプリングにより押されていた可動鉄心が吸引され、図のように可動鉄心とブレーキライニングの間に隙間ができてモーターが回転できるようになる。電磁コイルの電圧を切ると、スプリングにより押された可動鉄心がブレーキライニングに圧力をかけ、制動力が発生してモーターが急停止するという仕組みである。

図1 電磁ブレーキの構造 図1 電磁ブレーキの構造 

 Z軸モーターのトラブル事例を2件紹介する。1つは装置の下へ潜り込んで点検作業を行っているときに発生した。Z軸モーターの電源を切ってブレーキが作動しているときに、誤ってブレーキ解除の操作が行われ、目の前にZ軸モーターが「ドーン」と落下してきたのだ。Z軸モーターの重量は100kgを超えており、もし頭に当たっていたら即死だったであろう。

 もう1つは装置の可動部分の調整作業中に発生した。パネルカバーのインターロックを外して調整を行うのだが、Z軸モーターの動作を確認しているときに、いきなり目の前にZ軸モーターが上昇してきた。あわてて非常停止スイッチを押してZ軸モーターを急停止させたので無事だったが、生命を落としていても不思議ではなかった。また、装置を正常な状態へ戻し、ブレーキの電源を回復させるまでにはかなりの時間を要した。

 このように、Z軸モーターでの問題は人身事故につながりやすい。どのような事故が発生しやすいかを十分に検討し、ブレーキを速やかにかけて機器の破損を防止するともに、停止後は現場の状況に応じて、ブレーキ解除を柔軟に行うといった配慮が必要である。

 具体的な対策として、まず前者の例について考える。電源の投入中にブレーキの解除操作が行われた際、それによって電源を100%投入するのではなく、デューティ10%程度のパルス駆動で電源を投入することで、ブレーキを徐々に解除するというのはどうだろうか。これであれば、ブレーキの解除操作によってZ軸モーターは徐々に落下するので、周囲の人は危険に対処する時間を確保することができる。

図2 ブレーキを断続的に解除するための回路 図2 ブレーキを断続的に解除するための回路 

 また、非常停止操作後のブレーキ解除はどのようにすれば速やかに行えるだろうか。後者の例で考える。まずブレーキの電源を速やかに戻して、デューティ10%程度のパルス駆動でブレーキを解除する。これによりZ軸モーターは徐々に落下するので、適切な位置でブレーキ解除操作を止める。なお、ブレーキの電源の回復に時間がかかる場合、外部の補助電源を利用する方法も考えるべきである。

 図2に、パルスを使ってブレーキを解除する回路を示した。ブレーキ解除用のスイッチSW1と電磁ブレーキの間に直列に発振回路を配している。SW1を押すと、デューティ10%程度で1秒間に1パルスのブレーキ解除が行われ、Z軸モーターは徐々に落下する。周期を変えるには抵抗R1を、デューティを変更するには同R4を調整する。数mm角のサイズで実装可能なので、既存の装置を簡単に改造して取り付けることができる。

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