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» 2011年02月01日 00時00分 UPDATE

抵抗/コンデンサ/コイルの基本を学ぶ(2):抵抗の基本、選択のポイント (1/3)

今回は、電気/電子回路の中で最も基本的な要素である抵抗について解説する。回路図上での抵抗のシンボルマークはその種類に関係なくすべて同じだが、実際には目的に応じて、抵抗の種類、精度(誤差)、定格電力、形状などの各要素を総合的に検証し、使用する製品を選択しなければならない。ここで誤った判断をすると、アプリケーション、回路によっては思わぬトラブルに遭遇するケースもある。すなわち、抵抗1本にも“適材適所”が存在するということだ。

[河合一,EDN Japan]

抵抗の特性項目を理解する

 表2図4に、抵抗製品の特性(仕様)の例を示した。これらは、パナソニック エレクトロニックデバイスのチップ型精密抵抗「ERJタイプ」のデータシートから抜粋したものである。

 表2では、抵抗の値と精度を、抵抗値範囲と抵抗値許容差という項目で示している。1kΩ〜100kΩの抵抗値範囲では、E24あるいはE96系列の抵抗値で製品が用意されていることがわかる。抵抗値は温度によって変化するが、これは抵抗温度係数という項目で定義されている。

表2 抵抗製品の仕様例(提供:パナソニック エレクトロニックデバイス) 表2 抵抗製品の仕様例(提供:パナソニック エレクトロニックデバイス)

 通常、この係数には、×10−6/℃(ppm/℃)という単位が用いられる。温度に関しては、使用可能な温度範囲がカテゴリ温度範囲という項目で規定されている。また、抵抗に電圧が印加された場合の消費電力については、定格電力、素子最高電圧という項目で規定されている。さらに、最高過負荷電圧という項目があるが、これはパルス信号などに代表されるような瞬間的に印加される電圧の最大値のことである。そして、図4では、70℃を超える温度で使用する場合に、定格電力がどのように低減するのかという特性(ディレーティング)を示している。

図4 負荷軽減曲線の例(提供:パナソニック エレクトロニックデバイス) 図4 負荷軽減曲線の例(提供:パナソニック エレクトロニックデバイス)

 上述した各種項目については、メーカーによって多少、呼称や条件の面で差異がある。いずれにせよ、データシートに記載された各種項目は、抵抗の基本特性(仕様)を表すものに違いはない。以下、各仕様項目について詳細に見ていくが、ここでは、表2、図4で使われている項目名を使って説明することにしたい。

  • 定格電力と素子最高電圧

 定格電力は、抵抗で消費できる最大電力のことを意味する。抵抗Rに電圧Vを印加した場合の消費電力P=V2/Rで定義される。一方の素子最高電圧とは、抵抗Rに印加可能な最大電圧Vのことである。注意が必要なのは、素子最高電圧には定格電力に依存した制限が存在し、両者には密接な関係があるということだ。

 例として、表2最上段の「ERJ1RH」について検証してみよう。同製品の素子最高電圧は15V、定格電力は0.05Wと規定されている。ここで、同製品の1kΩ品に10Vの電圧を印加するケースを考える。素子最高電圧については許容範囲だが、消費電力はP=10×10/1k=0.1Wとなる。これは規定の定格電力0.05Wよりも大きいので、この条件では使用できないということになる。

 印加電圧が同じく10Vであっても、10kΩの抵抗であれば、消費電力P=10×10/10k=0.01Wとなり、定格電力0.05Wを満足することができる。このように、抵抗値を大きくすれば当然消費電力は少なくなり、その分、印加電圧は高くできるが、これについても制限がある。例えば、100kΩの抵抗で0.05Wの許容電力消費を与える印加電圧Vを逆算すると、V=√0.05×100k=70.71Vとなる。この印加電圧は素子最高電圧で規定されている印加電圧の許容値を超えるので、この条件で使用することは不可能だ。

 実は、この印加電圧と消費電力との関係は、表外の注記(1)に示されている。「定格電圧=√定格電力×抵抗値による算出値、又は素子最高電圧のいずれか小さい方が定格電圧となります」の意味は、この抵抗、電圧、電力の3者の関係において、素子最高電圧と定格電力いずれも満足する範囲で使用しなければならないということである。

  • 最高過負荷電圧

 パルス波や過渡的現象として瞬間的に抵抗に印加可能な電圧のことである。これについても、表2の注記(2)で定義が示されている。電源用途やサージ吸収用途向けのものとして、特にこの瞬間的な電圧印加に高い耐性を持つ製品も存在する。

  • カテゴリ温度範囲と負荷軽減曲線

 データシートには、その抵抗を使用できる温度範囲も規定されている。表2の例では、カテゴリ温度範囲(−55〜125℃)がそれに当たる。抵抗は受動部品であり、一般的なICデバイスに比べて使用可能な温度範囲は広い。ただ、電力を消費することによる自己発熱の影響は避けられない。抵抗を構成する部品にも許容温度があり、自己発熱によって、高温(70℃以上)では著しく許容電力が低下するという現象が起きる。この関係を示したのが、図4の負荷軽減曲線である。例えば、ERJタイプの「2RKシリーズ」では、100℃における定格電力比が約65%になることがわかる。これは、100℃においては、許容電力の規定値である0.05Wの65%、すなわち0.05×0.65=0.0325Wが許容電力値になるという意味である。つまり、アプリケーションごとに、使用温度範囲(動作温度、仕様温度)についての検証が必要になるということだ。

  • 抵抗温度係数

 抵抗では、その素材の物理特性が原因となり、温度によって値が変化する。その変化の度合いは抵抗の種類によって異なる。材質や構造、製造工程の管理により、ある程度温度特性を制御することも可能だが、いずれにせよ一般的に抵抗は正負両方向の温度特性を持つ。つまり、温度の上昇が抵抗値の上昇につながる場合と抵抗値の下降につながる場合がある。この温度特性は、抵抗温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)として規定されている(以下参照)。

Ro:基準温度での抵抗値

R:測定温度での抵抗値

To:基準温度(25℃)

T:測定温度

 表2に示した製品の場合、温度係数は±50ppm/℃または±100ppm/℃となっている。いずれも、温度特性に優れた部類に入ると言える。

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