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POLコンバータ選択の指針ハイエンドLSIの電源が満たすべき要件(2/4 ページ)

» 2011年03月01日 00時00分 公開
[石川 隆之 (ベルニクス)/福田 光治(PALTEK),EDN]

出力電圧の精度が重要

 LSIでは、その動作を保証できる電源電圧の範囲が規定されている。ハイエンドLSIでは、この範囲がよりシビアなものとなる。例えば、40nmプロセスで製造されるあるFPGAでは、コア電圧の推奨動作範囲が0.95V〜1.05Vとなっている。すなわち、推奨動作の電圧範囲は100mV以内ということである。もう1つ例を挙げると、65nmプロセスで製造されるあるDSPでは、コア電圧は0.9V〜1.2V(動作条件により可変)で、推奨動作の電圧範囲は、設定電圧に対して60mV(±30mVの範囲)となっている。

 これらの例からわかるように、低電圧化が進んだハイエンドLSIにおいては、動作電圧の許容範囲が100mV以下という厳しいものになる。言い換えれば、こうしたLSIに電源を供給するPOLコンバータの出力電圧の精度は、それらの許容範囲に収まっていなければならないということだ。

 POLコンバータの出力電圧の精度は、以下のような指標で取り扱われる。

・入力変動:入力電圧の変化に対する出力電圧の変動値。仕様値としては、通常0.5〜1%程度と規定しているものが多い

・負荷変動:出力電流(負荷)の変動に対する出力電圧の変動値。仕様値としては、通常0.5〜1%程度と規定しているものが多い。静的負荷変動とも呼ぶ

・温度変動:周囲温度の変化に対する出力電圧の変動のこと。POLコンバータで使用する基準電圧の変動のほか、電圧検出部における分圧抵抗の温度係数などが影響を及ぼす

・電圧設定精度:POLコンバータの出力電圧には設定偏差がある(出力電力をいくつに設定するのかによって、出力電圧にバラツキが生じる)。その原因は、基準電圧のバラツキのほか、電圧検出部の分圧抵抗のバラツキなどがある。電圧設定精度を高めるには、そうしたバラツキの小さなものを使用するか、トリミングによって電圧を合わせ込むことになる

・動的負荷変動:負荷の急変時における出力電圧の変動

・リップルノイズ:スイッチング方式では、高い周波数でスイッチング動作を行うことによって出力電圧を安定化する。そのスイッチング周波数に対応したリップルが出力に現れる。また、スイッチング時にスパイクノイズが発生し、これが出力電圧にも現れる(図4

図4 出力電圧に現れるリップルノイズ 図4 出力電圧に現れるリップルノイズ 

 ハイエンドLSIにPOLコンバータを適用する際には、これらの出力電圧の変動成分を考慮して、前述した推奨動作範囲の規定値以内で使用する必要がある。なお、上に列挙したもののうち、入力変動と負荷変動は、POLコンバータ回路内のフィードバックループのゲインに依存し、ゲインを上げることによって小さくなる傾向がある。ただし、ゲインを上げると位相特性が変化し、発振したり、動作が不安定になったりする恐れがある。

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