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» 2011年03月23日 00時00分 UPDATE

アバゴ AEDR-8500シリーズ:3chエンコーダ用のセンサーモジュール、多機能化/小型化/薄型化を実現

3.95×3.45×0.95mmという小型/薄型のパッケージに、モーター用エンコーダのセンサーモジュールに必要となる全ての機能を組み込んだ。

[朴尚洙,EDN Japan]

 アバゴ・テクノロジーは2011年3月、東京都内で記者発表を開き、光学反射型の3チャンネル(ch)エンコーダに用いるセンサーモジュール「AEDR-8500シリーズ」を発表した(写真1)。小型/薄型のパッケージに、モーター用エンコーダのセンサーモジュールに必要となるすべての機能を組み込んでいることを特徴とする。2011年4月からサンプルと量産品の供給を開始する。サンプル価格は1070円。


写真1 「AEDR-8500シリーズ」 写真1 「AEDR-8500シリーズ」 

 AEDR-8500シリーズが対象とするエンコーダとは、モーターの回転位置や回転速度、回転方向などを検出するのに用いるセンサーのことである。大まかに、目盛りが刻まれているコードホイールと、コードホイールの目盛りを読み取るセンサーモジュールから構成される。コードホイールの目盛りの部分に穴が開いていて、それらの目盛りの穴を透過した光を用いてセンシングを行うものは光学透過型エンコーダと呼ばれている。一方、コードホイールの目盛りの部分が反射面になっていて、目盛りの部分で反射した光を用いてセンシングを行うのが光学反射型エンコーダである。光学反射型エンコーダは、光学透過型エンコーダと比べて、エンコーダ自身の小型化/薄型化やモーターなどへの組み付けが容易なことをメリットとしている。

図1 エンコーダの方式 図1 エンコーダの方式 上側が2チャンネルエンコーダで、下側が3チャンネルエンコーダ。

 また、通常のエンコーダは、コードホイールに刻まれた1つの目盛りから、周期が1/4ずれた2チャンネル分の出力波形を取り出すことができる(図1)。コードホイールが時計回りで回転している場合には、一方のチャンネルの波形が先に出力される。逆に、反時計回りで回転している場合には、もう一方のチャンネルの波形が先に出力される。この仕組みを利用することにより、出力波形から得られる位置情報だけでなく、回転方向も検出することができるのである。ただし、2チャンネルエンコーダで得られる位置情報は相対的なものであり、絶対的な位置を計測することはできない。これに対して、コードホイールに原点(インデックス)信号用の目盛りを追加したのが3チャンネルエンコーダである。3チャンネルエンコーダは、原点を基準にして絶対的な位置情報を検出することができる。

写真2 アバゴの既存品とのサイズ比較 写真2 アバゴの既存品とのサイズ比較 中央にあるのが「AEDR-8500シリーズ」。その右側に「HEDS-9140シリーズ」、左側に「AEDR-8400シリーズ」が示されている。

 AEDR-8500シリーズは、光学反射型の3チャンネルエンコーダに用いるセンサーモジュールである。その最大の特徴は、3.95mm×3.45mm×0.95mmという小型/薄型パッケージの中に、LED光源や受光素子をはじめ、光学反射型の3チャンネルエンコーダのセンサーモジュールに必要とされるほとんどの機能を内蔵している点にある(LED光源用の制限抵抗だけは外付けする必要がある)。アバゴ・テクノロジーは、「これまで、3チャンネルエンコーダ用センサーモジュールの市販品と言えば、当社が光学透過型向けに20年以上前から販売してきた『HEDS-9140シリーズ』くらいしかなかった。HEDS-9140シリーズの外形寸法は、26.67mm×20.8mm×10.16mmと大きい。AEDR-8500シリーズは、このHEDS-9140シリーズと比べて大幅な小型化を実現できている。また、当社は、光学反射型2チャンネルエンコーダ用のセンサーモジュールとして、外形寸法が3.28mm×3.0mm×1.26mmという『AEDR-8400シリーズ』を販売している。AEDR-8500シリーズは、3チャンネルエンコーダに対応するにもかかわらず、AEDR-8400とほぼ変わらない大きさだ」としている(写真2)。

 また、AEDR-8500シリーズは、エンコーダの出力分解能を2倍もしくは4倍に逓倍する機能を搭載している。さらに、2倍端子(SEL2X)と4倍端子(SEL4X)のハイ/ロー設定を行うだけで、この逓倍機能を切り替えることが可能である。例えば、AEDR-8500シリーズを用いる場合、直径7.1mmのコードホイールにおける1周分の目盛りの個数(スリット数)は200個となる。逓倍機能を用いない場合、その出力分解能は200パルス/回転(CPR)だが、2倍に逓倍した場合には400CPR、4倍に逓倍した場合には800CPRとなる。従来は、エンコーダの出力分解能を逓倍化する場合、アナログ出力のエンコーダを用いて、オフセット/ゲイン調整回路や抵抗ラダー回路、市販の逓倍ICなどを外付けする必要があった。

 AEDR-8500シリーズのもう1つの特徴となるのが、コードホイール上において、原点信号用の専用トラックを用意する必要がないことである。具体的には、2チャンネル分の出力波形を取り出す目盛りの中に、非反射部の幅がほかの部分の3倍の広さを持つ個所を1個作り込むだけで、その個所を原点信号として認識する機能を備えている。この機能により、2チャンネルエンコーダと同等サイズのコードホイールを用いて、3チャンネルエンコーダを実現できるようになる。

写真3 「AEDR-8500シリーズ」のデモ 写真3 「AEDR-8500シリーズ」のデモ 右側にあるのがAEDR-8500シリーズを用いたデモ装置。左側のオシロスコープの画面に、得られた3チャンネル分の出力波形を表示している。

 会見では、AEDR-8500シリーズを用いたエンコーダのデモンストレーションが行われた(写真3)。そのデモで同社は、スイッチ切り替えだけで実現できる逓倍化機能などに加えて、取り付け位置のズレや内蔵のLED光源の輝度低下などがあっても、十分な検出能力が得られることをアピールした。「取り付け位置のズレについては、X方向とY方向(コードホイールに対して水平方向)は±0.2mm、Z方向(垂直方向)は0.5mm〜1.0mmまでを保証している。LED光源の輝度低下については、光量が1/3になっても問題なく利用可能だ」(アバゴ・テクノロジー)という。

 そのほかの仕様は以下のとおり。電源電圧は5V。逓倍機能を使用しない場合の基本分解能は304ライン/インチ(LPI)で、動作周波数は55kHzである。パッケージは表面実装タイプで、端子数は8本。動作温度範囲は、−20〜85℃となっている。


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