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» 2011年04月15日 00時00分 UPDATE

【ビデオ講座】アナログ設計の新潮流を基礎から学ぶ:センサから始まるシグナルパス(5) アクティブ・フィルタを短時間で設計する方法

[PR/EDN Japan]
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【ビデオ講座】センサから始まるシグナルパス(5) アクティブ・フィルタを短時間で設計する方法 (クリックで動画再生)


 センサから始まるシグナル・パスは、センサで検出した微小なアナログ信号を、マイコンやDSPなどで処理できるデジタル信号に変換する一連の信号処理のことだ。この信号処理は、一般に3つの要素から構成されている。すなわち、オペアンプとフィルタ、A-Dコンバータの3つである。このうち今回は、フィルタに焦点を当ててその詳細を解説する。

 一般に、フィルタを実現する技術は大きく分けて2つある。1つは、抵抗やコンデンサ、インダクタなどの受動部品で構成したパッシブ・フィルタ。もう1つは、オペアンプに受動部品を外付けして構成するアクティブ・フィルタである。センサから始まるシグナル・パスでは、どちらのフィルタ技術を用いるべきなのか。この問題に答えを出すには、それぞれのフィルタの違いを理解する必要があるだろう。基本的な機能には大きな違いはない。すなわち、必要な周波数成分だけを選択的に通過させ、それ以外の周波数成分は減衰させるという機能である。

 しかし、基本的な機能以外に多くの違いが存在する。代表的な違いをいくつか説明しよう。1つは、フィルタに増幅機能を付加できる点である。オペアンプを利用しているからだ。もう1つは、アクティブ・フィルタの方が「キレのいい」フィルタを実現できることである。つまり、通過帯域と阻止帯域の周波数差が非常に小さい、ロールオフ特性に優れたフィルタが得られる。

フィルタ設計を簡略化できるオンライン・ツール

図1 図1 「WEBENCH Active Filter Designer」の開始画面

 アクティブ・フィルタのフィルタ特性は、パッシブ・フィルタに比べて優れている点が多い。ただし、回路要素にオペアンプが入っているため、設計が結構複雑だ。

 そこで米National Semiconductor社は、アクティブ・フィルタの設計に費やす作業を軽減するオンライン設計支援ツール「WEBENCH Active Filter Designer」を提供している。同社でシグナル・パス関連製品のマーケティングを担当する原田佳樹氏は、「このツールを使えば、必要な情報を入力するだけで、簡単に、しかも短時間でアクティブ・フィルタを設計できる」という。

 それでは、Active Filter Designerの使用方法を説明しよう。同社のホームページの右端に掲載されているボックスの中にある「Filters」のタブをクリックする(図1)。すると、フィルタのタイプを選択する画面が表示される。選択肢は4つ。ローパス(低域通過)とハイパス(高域通過)、バンドパス(帯域通過)、バンドストップ(帯域阻止)の4タイプである。今回はローパスを選択して設計を進めることにする。「Start Design」ボタンを押すと次の画面へと移行する。

図2 図2 アクティブ・フィルタの各種特性を設定する
今回は、「Attenuation」(減衰特性)だけを設定した。

 この画面では、ローパス・フィルタの各種特性を設定する。まずは、「Attenuation」、つまり減衰特性を入力する(図2)。具体的には、通過帯域から−3dB低下する周波数であるカットオフ周波数、阻止帯域の減衰量、その減衰量に達する周波数の3つを決めるわけだ。今回は、カットオフ周波数を1kHz、阻止帯域の減衰量を−50dB、その減衰量に達する周波数を5kHzと設定する。このほか、通過帯域の平坦性「Flatness」や、群遅延(グループ・ディレイ)「Group Delay」、ステップ応答「Step Response」も設定可能だ。すべての設定項目に所望の値を入力すれば、必要とするアクティブ・フィルタをより高い精度で得ることができる。なお、今回は減衰特性のみを設定し、これ以外はデフォルトの値を使用することにする。ここで「Continue」ボタンを押すと、次の画面に移行する。

フィルタ応答を理解せよ

 移行した画面には、その左側に設定条件を満たすアクティブ・フィルタのフィルタ応答と次数の候補が複数個、右側には各候補の周波数応答とグループ・ディレイ、ステップ応答、位相応答のグラフが表示されている。

 この複数個の候補の中から、最適なアクティブ・フィルタを選べばよい。ただし、選ぶ際に最低限理解しておきたい知識がある。それは、チェビシェフ(Chebyshev)やバタワース(Butterworth)、ベッセル(Bessel)、ルジャンドル(Legendre)といったフィルタ応答である(表1)。それぞれのフィルタ応答は、数学的な多項式が定められている。次数とは、多項式の次数のことだ。多項式の形状や次数によって周波数応答が違う。

図3 図3 最適なフィルタ応答を選択する
今回は、最上位に表示されている「チェビシェフの3次」を選んだ。
表1 表1 各フィルタ応答の長所と短所

 例えば、チェビシェフは、通過帯域と阻止帯域の周波数差が小さいロールオフ特性に優れたフィルタを実現できるものの、通過帯域、もしくは阻止帯域に比較的大きなリップルが現れてしまう。バタワースは、チェビシェフの逆のフィルタ応答となる。通過帯域のリップルはほとんど存在しないが、ロールオフ特性は緩やかになってしまう。ベッセルは、グループ・ディレイの応答特性をかなり広い周波数帯域にわたって平坦にすることができる点が特徴だ。しかし、ロールオフ特性はかなり緩やかになる。このほか、ルジャンドルは、急峻なロールオフ特性が得られるものの、通過帯域内の減衰量が比較的大きくなってしまう。

 次数については、高くすればするほど、ロールオフ特性が急峻になる。しかし、通過帯域もしくは阻止帯域のリップルが大きくなってしまう。このため、原田氏は「いたずらに次数を高めるべきではない」と指摘する。

オペアンプや受動部品の変更も可能

 こうしたフィルタ応答を理解した上で、最適なものを選択するわけだ。それぞれの候補について、設定した条件を満足しているかどうかを、「View Large Plot」をクリックしてグラフを拡大しながら一つずつ確認していく。今回の例では、カットオフ周波数や、減衰量が−50DBに達する周波数が主な確認ポイントになる。この結果、ほとんどの候補が設定条件を満足していることが分かる。そこで今回は、次数が最も小さい「チェビシェフの3次」を選択する。

 フィルタ応答が決まったら、「Continue」ボタンを押す。すると、選択したフィルタ応答を実現する回路と部品表が表示される。ここで、表示された回路が2つあることに気付くはずだ。この2つの回路は、これらを直列に接続すれば3次のチェビシェフ応答のアクティブ・フィルタを構成できることを意味する。

図4 図4 フィルタ応答の特性を拡大して確認する
周波数応答を拡大した様子である。
図5 図5 選択したフィルタ応答を実現する回路
図の下部に表示されている2つの回路を直列に接続することで、選択したフィルタ応答が得られる回路となる。


図6 図6 アクティブ・フィルタのオペアンプを変更
この例では、「LMC6574」から、より高精度の「LMP7702」に変更した。

 この画面では、オペアンプや受動部品を変更することも可能だ。今回は、試験的にオペアンプを変更してみる、当初採用していたオペアンプは「LMC6574」だったが、「SELECT OP-AMP」をクリックして「LMP7702」に置き換える。「LMP7702は、高精度のオペアンプで、現在売れ筋の製品」(原田氏)という。

 その後、オペアンプの変更によって、アクティブ・フィルタの特性がどのように変化したのかを確認する。オペアンプが違えば、フィルタの特性が変わるからだ。「SIMULATE」ボタンを押すと、オペアンプの変更を反映させた回路が表示される。ここで、この回路の周波数応答やステップ応答、正弦波応答などを確認する。例えば、周波数応答を確認する場合は、画面左端の「STEP1」で「Closed Loop Freq Response」を選択し、「STEP2」で「START NEW SIM」をクリックする。すると解析が始まり、しばらくするとその結果画表示される。ここで、当初設定した条件に合致しているかを確認するわけだ。赤で表示された利得の応答特性を見ると、遮断周波数が1kHzで、−50dBの減衰量が得られる周波数が5kHzになっていることが分かる。つまり、希望するフィルタ特性が得られたことになる。このように、「WEBENCH Active Filter Designer」を使えば、アナログ回路設計に関する十分な知識や経験がなくても、短時間でアクティブ・フィルタを設計できる。

図7 図7 設計したアクティブ・フィルタの回路図
オペアンプの変更を反映させたアクティブ・フィルタの回路図である。受動部品にマウスのカーソルを重ねるとメーカー名や型番、特性などが表示される。
図8 図8 設計したアクティブ・フィルタの特性を最終確認
赤が利得、青が位相の周波数特性である。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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