コラム
» 2011年06月01日 00時00分 UPDATE

Wired, Weird:スイッチング電源の課題と対策

単純なスイッチング電源には、課題が2つある。高調波を多く含むことと、無効電力が増えてしまうことだ。これを防ぐためにPFC回路が役立つが、PFC回路にも欠点がある。そこで、1つの方策を提案したい。

[山平 豊 (ホックス(HOKS)),EDN Japan]

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 前回触れたように、スイッチング方式のAC-DC電源にはいくつかの問題がある。1つは高調波の発生/大きな無効電力の問題である。高調波の原因は、ダイオードブリッジでAC入力を整流している部分にある(図1)。 AC入力電圧が1次平滑電圧(平滑コンデンサC1の電圧)より高いときには、ダイオードブリッジを介してC1へと電流が流れる。このとき電源ラインに一斉に電流が流れることから、電圧波形に歪(ひずみ)が生じる。これが高調波の原因である。また、AC電圧が低いときには電流は流れないので、電力が消費されず、無効電力が増大することとなる。

図1 スイッチング電源の回路例 図1 スイッチング電源の回路例 

 これらの問題への対策として、PFC(力率改善)回路が開発された。PFC回路では、常時電流を取り込むようにすることで力率を改善するのだが、高電圧/高速で動作するため、効率が下がるケースがあるなど、問題点も多い。

 無効電力を減らすために、1つの方策を提案したい。100VACを整流して使用する機器を、以下の3つに区分して規格化するというものだ。

 ・小電力機器:20VAC未満で動作する機器。携帯電話機や電池の充電器など

 ・中電力機器:20VAC〜80VACで動作する機器。パソコンやAV機器など

 ・大電力機器:80VAC以上で動作する機器。ヒーターやエアコンなど

 従来のスイッチング電源は、80VAC以上の電圧で電流を取り込むようになっており、80VAC未満の部分は無効電力となる。これに対し、100VACの入力電圧をモニターし、上記の該当範囲の電圧で電力を取り込むように電源を設計するのだ。このような規格を制定し、それを満足する機器は税制面で優遇するようにすれば、この規格を採用する機器が増えて無効電力を減らすことが可能になるであろう。

 スイッチング電源のもう1つの問題は、過大な突入電流である。これは、電源の投入時には平滑コンデンサは充電されておらず、100VACの電圧が供給されたときに急速に充電されることによって発生する。電源を投入するタイミングによっては、数百Aレベルの大電流になることもある。その場合、電源スイッチの溶着やヒューズの断線などの故障につながることもあった。

 この問題に対処するために、小型の電源には、パワーサーミスタなどの突入電流防止回路が付加されている。電源の投入前の低温状態では、パワーサーミスタの抵抗値が数十Ωほどあり、突入電流を防止できる。通電後は発熱し、抵抗値が数Ωのレベルまで下がるので、大きな電力を取り込めるようになる。しかし、この方式には、短時間の停電(瞬停)では温度が下がらないので、突入電流の防止効果が得られないという問題がある。

図2 突入電流防止回路 図2 突入電流防止回路 

 図2に、瞬停後の突入電流を防止するための回路例を示した。この回路は、サイリスタSCR1と突入電流防止用の抵抗R1を並列に接続していることを特徴とする。C1の電圧がフルスケールの70%程度より低いときは、フォトカプラPC1がオフとなり、SCR1もオフになる。このときは、R1を介してC1が充電される。C1の電圧がフルスケールの70%を超えたら、PC1がオンになり、SCR1もトリガーがかかってオンすることから電流が増加する。AC電圧が下がると、SCR1は、逆電圧がかかって電流が流れないためオフになる。AC電圧が上がってきたとき、C1の電圧が70%を超えていればSCR1はトリガーがかかってオンになり、C1に大電流を流す。そして、瞬停が発生してC1の電圧が70%より下がったときには、PC1がオフし、AC電圧が再投入されても、SCR1がオフして突入電流が防止されるという仕組みである。

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