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» 2011年07月01日 00時00分 UPDATE

走行距離333kmのEVをSIM-Driveが試作

 SIM-Driveは2011年3月、同社が開発を進めてきた電気自動車(EV)の先行開発車両「SIM-LEI」が、満充電の状態からの走行距離で333kmを達成したと発表した。

[Automotive Electronics]

 SIM-Driveは2011年3月、同社が開発を進めてきた電気自動車(EV)の先行開発車両「SIM-LEI(Leading Efficiency In-wheel Motor)」が、満充電の状態からの走行距離で333kmを達成したと発表した(写真1)。同社は、SIM-LEIの技術成果を基にした量産車の開発を、2013年までに完了する計画である。

 SIM-LEIは、車輪の中に走行用モーターを組み込むインホイールモーターと、2次電池パックやインバータなどモーター以外の電動システムを車両の床下のフレーム部に組み込むコンポーネントビルトイン式フレームを採用したEVである。SIM-Driveは、2010年1月から2011年3月までの間、満充電の状態からの走行距離で300kmを超える先行開発車両として、SIM-LEIの開発を進めていた。

写真1 材料技術の展示会『N+』で公開された「SIM-LEI」 写真1 材料技術の展示会『N+』で公開された「SIM-LEI」 

 同車両の定員は4名で、車両タイプは5ドアのハッチバック。外形寸法は、全長4700mm×全幅1600mm×全高1550mmで、重量は1650kg。これは、全長が中型車クラス、全幅が小型車クラスと同等である。加速性能は、0km/hから100km/hまでで4.8秒。最高速度は150km/hとなっている。

 SIM-LEIが採用したインホイールモーターは、アウターローター式である。また、変速機を用いないダイレクトドライブであることから、700Nmという高いトルクを実現している。出力は、30秒定格が65kW、連続定格が20kWとなっている。SIM-LEIは、4個の車輪すべてにインホイールモーターを搭載している。

 また、このインホイールモーターは、銅損が少なく効率が高いことから、動作時の温度上昇も120℃程度までに抑えられている。このため、モーターの永久磁石の材料として、耐熱性を高めるのに必要なレアメタルであるディスプロシウムを用いる必要がない。このことは、「今後、モーターのコスト削減を行う上で重要な要素になる」(SIM-Drive)という。

 走行エネルギー源となる2次電池としては、総容量が24.9kWhのリチウム(Li)イオン電池パックを搭載している。Liイオン電池セルには、東芝の「SCiB」を採用した。SCiBは、一般的なLiイオン電池セルと比べて高い充放電速度や長いサイクル寿命を特徴とする。特に、SIM-LEIでは、ブレーキ時のエネルギー回生の効率を高める上で、SCiBの高い充放電速度が役立っている。

 SIM-LEIは、Liイオン電池パックを満充電にした状態から、JC08モード(日本における標準的な市街地走行モード)における走行距離で333km を達成した。一方、SIM-LEIとほぼ同じ、容量24kWhのLiイオン電池パックを搭載する日産自動車のEV「リーフ」の場合、満充電からの走行距離は200kmである。

 このような走行距離を実現できた理由としては、高効率のインホイールモーターや高いエネルギー回生効率を実現したSCiB以外に、コンポーネントビルトイン式フレームによる車体重量の軽減が挙げられている。SIM-Driveは、「既存のEVでは、電池パックを保護するためのフレームと、車両としての強度を得るためのフレームを別々に用意している。一方、コンポーネントビルトイン式フレームは、これら2つのフレームを1つにまとめている。このため、車体重量を軽減することができた」と説明する。

 ほかにも、ブリヂストンが開発した転がり摩擦抵抗の小さいタイヤの採用や、空気抵抗係数(CD値)が0.19と小さいモノコックボディなどが走行距離を伸ばすのに大きな役割を果たしている。

(朴 尚洙)

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