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» 2011年08月03日 00時00分 UPDATE

33GHzのアナログ周波数帯域に対応するオシロ、サンプリング速度は2チャンネル使用時で100GSPS

[EDN Japan]

 テクトロニクスは2011年8月2日、最大で33GHzのアナログ周波数帯域に対応するオシロスコープ「DPO(デジタルフォスファオシロスコープ)/DSA(デジタルシリアルアナライザ)70000D」シリーズを発表した(図1)。周波数帯域が33GHzの「DPO73304D」と「DSA73304D」、同25GHzの「DPO72504D」と「DSA72504D」、合計4機種を揃える。製品価格は図2のとおり。主に、20ギガビット/秒(Gbps)を超える高速光通信、40Gbps/100Gbps イーサーネット、12GbpsのSAS(Serial Attached SCSI)、広帯域のRF通信などの評価/解析といった用途に向ける。


図1 「DPO/DSA70000D」シリーズの外観 図1 「DPO/DSA70000D」シリーズの外観 

 DPO/DSA70000Dシリーズは、4チャンネルのアナログ入力を備える。サンプリングレートは、2チャンネルを使用する場合で100ギガサンプル/秒(GSPS)、4チャンネルを使用する場合で50GSPS。レコード長は、DPO70000Dシリーズが1チャンネル当たり10Mサンプル(MS)で、DSA70000Dシリーズが同31.25MSとなっている。

図2 「DPO/DSA70000D」シリーズの販売価格画像 図2 「DPO/DSA70000D」シリーズの販売価格画像
図3 フロントエンド回路に用いたマルチチップモジュール 図3 フロントエンド回路に用いたマルチチップモジュール 中央の大きめのチップがトラック&ホールド回路用のもので、その両脇のチップがプリアンプ用のものである。

 これらの性能を実現する技術の要となっているのが、フロントエンド回路に採用されたマルチチップモジュールだ。このモジュールには、IBMが開発したSiGe(シリコンゲルマニウム) BiCMOSプロセス「8HP」を用いたチップが搭載されている。搭載するのは、33GHzというアナログ周波数帯域への対応を可能にしたプリアンプのチップ2個と、100GSPSのサンプルリングレートを実現するトラック&ホールド(サンプル&ホールド)回路用のチップ1個である(図3)。トラック&ホールド回路は1チップに8個搭載されており、これらをインターリーブ動作させている(8段インターリーブ)。インターリーブ動作の段数が8段と少ないので、スプリアスなどのノイズが抑えられるとしている。

 また、DPO/DSA70000Dシリーズは、周波数帯域が33GHzまでのアナログ信号を直接A-D変換して取り込んでいる。20GHz、30GHzといった周波数帯域を備えるオシロの中には、「アナログ信号を直接取り込んでいるのはある帯域まで(例えば16GHz)で、それ以上はA-D変換後に周波数特性に関する補正処理を行うなどして、周波数帯域の最大値を高めているものも存在する」(業界関係者)という。こうした製品は、ノイズのレベルが高くなるといった問題が発生しやすくなる。アナログ周波数帯域が最大で20GHzというテクトロニクスの既存のオシロでは、16GHzまではアナログ信号を直接A-D変換して取り込み、それ以上ついてはDSPを用いた処理によって周波数帯域を広げていたという。

 DPO/DSA70000Dシリーズのジッター測定フロアは300fs。入力感度は6.25mV/div。波形取り込みレートは30万波形/秒以上なので、「間欠的なエラーも捕捉できる」(テクトロニクス)。また、立ち上がり時間も9psを実現している。

図4 「ビジュアル・トリガ」を使用しているときの画面 図4 「ビジュアル・トリガ」を使用しているときの画面 任意の場所にマスクをかけることができる。

 テクトロニクスは、同軸アダプタ「TCA292D」も併せて発表した。DPO/DSA70000Dシリーズには、既存の同軸アダプタを使用することも可能だが、その場合は最大20GHzまでの帯域しか使えない。これは、上述したとおり、同社のオシロのアナログ周波数帯域が最大20GHzまでしか対応していなかったからである。DPO/DSA70000Dシリーズにおいて、33GHzの周波数帯域を利用するにはTCA292Dが必要となる。なお、同アダプタは、DPO/DSA70000Dシリーズとは別提供になっている。

図5 「8b/10bシリアル・デコード」を使用したときの画面 図5 「8b/10bシリアル・デコード」を使用したときの画面 写真下部の、水色の長方形で囲まれた個所がデコードした結果である。

 DPO/DSA70000Dシリーズに搭載できる、トリガー用/検索用/解析用のソフトウエアも新しいものを用意した。例えば、「ビジュアル・トリガ」を使うと、マスク(エリア)を設定して、その範囲内(あるいは範囲外)の信号を取り込むことができる(図4)。また、「8b/10bシリアル・デコード」は、8b/10bの高速シリアル信号をトリガーして、デコードしたものを表示するものだ。図5のように、デコードした結果は、デコードした部分とそのアナログ信号の部分を比較しながら表示できるようになっている。さらに、「DataStore」をインストールすることで、The MathWorksの「MATLAB」や、National Instrumentsの「LabVIEW」といった開発環境に測定データを直接転送することも可能になる。

図6 TektronixのDavid Fink氏 図6 TektronixのDavid Fink氏 

 これらのソフトウエアはすべてオプションとなっており、用途に合わせて別に購入する必要がある。なお、DPO/DSA70000Dシリーズ以外でも、OSに「Windows 7」を採用しているテクトロニクスのオシロであれば、搭載することが可能となっている。

 ただし、DPO70000Dシリーズに比べてシリアル信号の解析により特化したものとなっているDSA70000Dシリーズの2機種は、8b/10bシリアル・デコードのソフトウエアを標準で搭載している。

 Tektronixでパフォーマンス・スコープス・マーケティング・マネージャを務めるDavid Fink氏は、「日々変化する技術者のニーズに対応するため、当社は常に革新的な技術の開発に努めている。今回のDPO/DSA70000Dシリーズでも、そういった技術開発の成果を取り込むことにより、アナログ周波数帯域が最大33GHz、サンプリングレートが100GSPSという性能を実現することができた」と強調した(図6)。

(村尾 麻悠子)

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