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ADIがGPIOエキスパンダ/キーパッドコントローラの新製品を投入、低消費電力化に加えロジック機能/PWMジェネレータも集積

» 2011年09月01日 00時00分 公開
[EDN Japan]

図1 「ADP5589」の評価ボード 図1 「ADP5589」の評価ボード  評価ボードの中央上部にあるICがADP5589(LFCSP品)である。

 Analog Devices(ADI)は2011年8月、東京都内で記者会見を開き、GPIO(汎用入出力)エキスパンダ/キーパッドコントローラの新製品「ADP5585」と「ADP5589」について発表した。同社の従来品である「ADP5587」の後継製品となる。主に、携帯電話機、スマートフォン、プリンタなどの民生用機器や、キーパッドを備える産業用機器や医療用機器などの用途に向ける。「国内市場では、産業用機器や医療用機器向けの需要が多い」(日本法人のアナログ・デバイセズ)という。両製品ともすでに量産出荷を開始している。1000個受注時の単価は、ADP5585が0.75米ドル、ADP5589が1.20米ドル。評価ボード(図1)の価格は、両製品とも160米ドルとなっている。

 GPIOエキスパンダ/キーパッドマトリクスコントローラとは、機器内で不足しがちなGPIOポートの追加や、キーパッドの各キーの押下を検知するために用いるキーパッドマトリクスの制御を行うICである。一般的には、機器の制御用マイコンとI2Cバスで接続して用いることになる。このICを用いることにより、マイコンをGPIOポートの数が少ない小型のものに変更したり、プリント基板上における信号配線を簡素化したりすることができる(図2)。

図2 信号配線の簡素化の事例(提供:アナログ・デバイセズ) 図2 信号配線の簡素化の事例(提供:アナログ・デバイセズ)  マイコンとキーマトリクス(7×7)を直接接続する場合14本の配線が必要になる。一方、「ADP5589」を用いてマイコンとキーマトリクスを接続する場合には、I2Cバスと割り込み端子の3本の配線だけで済む。

 ADP5585/ADP5589の特徴は大きく分けて2つある。1つは、動作時(キープレス時)の消費電流を、従来比で約45%減となる30μAに低減したことだ。アナログ・デバイセズは、「一般的な機器のキーパッドやスイッチをマイコンで直接制御する場合、動作時の消費電流は数mAに達することもある。GPIOエキスパンダ/キーパッドマトリクスコントローラとして高シェアを持つADP5587は、このキープレス時の消費電流を55μAに低減することにより、搭載機器の消費電力を大幅に低減できることが評価されていた。新製品のADP5585/ADP5589は、製造プロセスの変更や回路設計の工夫によって、動作時の消費電流をさらに低減することに成功した」としている。また、待機時の消費電流も、ADP5587の1/2となる1μAに抑えた。

 もう1つは、プログラマブルロジック機能やPWMジェネレータ、プルアップ/プルダウン抵抗など、ADP5587にはなかった周辺機能を集積していることだ。これによって、外付け部品の数を減らすことが可能になる。なお、プログラマブルロジック機能については、OR、AND、XOR、D-FFで構成できるロジックブロックを、ADP5585が1個、ADP5589が2個搭載している。PWMジェネレータは、アラーム音やLEDの発光タイミングを設定する用途などに利用できる。

 また、複数キーの同時押しや、GPIOポートからの信号入力、プログラマブルロジック機能で構成したロジックブロックからの出力に対応してリセット信号を発信するリセット信号発生器を2個搭載している。さらに、キープレスやGPIOポートからの信号入力のときに発生するノイズによって起こる誤検知を防止するデバウンス機能も備えている。「リセット信号発生器やデバウンス機能をICにハードウエアとして搭載することにより、キーパッドやスイッチの制御ソフトウエアを開発する技術者への負担も減らせるだろう」(アナログ・デバイセズ)という。

図3 WLCSP品における端子互換性(提供:アナログ・デバイセズ) 図3 WLCSP品における端子互換性(提供:アナログ・デバイセズ) 

 ADP5585は、GPIOポートを10個備えており、キーパッドコントローラとしては30個までのキー入力を検知できる。また、工場出荷時に、リセット端子をGPIOポートとして利用するように変更することで、GPIOポートを11個に増やすこともできる。この場合、キーパッドコントローラとしては36個までのキー入力を検知することが可能だ。一方、ADP5589は、GPIOポートを19個備えており、キーパッドコントローラとしては96個までのキー入力を検知できる。両製品とも、搭載するGPIOポートを、GPIOエキスパンダとキーパッドコントローラという2つの用途に振り分けて使用することが可能。キーパッドにおけるキーの押下などのイベントを16回分記憶できるFIFO(First In, First Out)レジスタを搭載している。電源電圧は1.65V〜3.6V。

 パッケージは、ADP5585が、16端子LFCSP(外形寸法が3.0mm×3.0mm×0.75mm)と、16端子WLCSP(外形寸法が1.59mm×1.59mm×0.5mm)。ADP5589が、24端子LFCSP(外形寸法が3.5mm×3.5mm×0.75mm)と25端子WLCSP(外形寸法が1.99mm×1.99mm×0.5mm)。WLCSP品については、両製品の間で端子配置に互換性がある(図3)。

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