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» 2011年09月21日 00時00分 UPDATE

クワッド差動構造採用の車載MEMSジャイロセンサー、耐衝撃性と耐振動性を大幅に向上

[EDN Japan]

 Analog Devices(ADI)は2011年9月、東京都内で記者会見を開き、車載機器向けのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ジャイロセンサー(角速度センサー)「ADXRS800」を発表した(図1)。主に、自動車の横滑り防止装置(ESC)や、横転(ロールオーバー)防止装置などの用途に向ける。既に量産出荷を開始している。1000個購入時の単価は50米ドル。「2013年後半〜2014年に発表される欧州自動車メーカーの新車への搭載が決定している。日本市場でも、2015年に発売される新車向けの評価が始まっている」(アナログ・デバイセズのマイクロマシン・プロダクト事業部でディレクターを務める永井詢也氏)という。


図1 ADIの「ADXRS800」 図1 ADIの「ADXRS800」 

 ADXRS800は、センサー素子部のアーキテクチャとして、機械的に結合させた2個のMEMSセンサー素子を2組用いて角速度の検知を行うクワッド差動構造を採用している(図2)。従来品である「ADXRS62x」は、機械的に結合させた2個のMEMSセンサー素子を1組だけ用いるデュアル差動構造を採用していた。クワッド差動構造を採用するADXRS800は、デュアル差動構造を採用するADXRS62xと比べて、耐衝撃性と耐振動性が大幅に高められている(表1)。中でも、共振周波数(14kHz)における角加速度の感度は、従来品の約1/333となる0.0006°/s/rad/s2まで低減されている。

図2 MEMSセンサー素子部の構造(提供:アナログ・デバイセズ) 図2 MEMSセンサー素子部の構造(提供:アナログ・デバイセズ)  機械的に結合させた2個のMEMSセンサー素子を2組用いるクワッド差動構造を採用することで、角速度の検知における高い耐衝撃性と耐振動性を実現している。

 ADXRS800の主な仕様は、クワッド差動構造を初めて採用した、産業用計測機器や航空電子機器など向けのMEMSジャイロセンサー「ADXRS450」(2010年5月発表)とほぼ同じで、温度特性が広範囲で安定しているとともに、ノイズによる影響も低減されている(関連ニュース)。初期誤差、−40〜125℃までの温度ドリフト、20年保証の製品寿命を含めたオフセット誤差は±3°/sで、同じ条件での感度精度も±3%である。なお、温度ドリフトは0.5°/sとなっている。角速度ノイズ密度は、25℃のときに0.015°/s/√Hzで、105℃のときでも0.02°/s/√Hzに抑えられている。また、パッケージ内に搭載しているASICに集積されたローパスフィルタ(カットオフ周波数は80Hz)により、0.16°/s(rms)という低ノイズ性能と80LSB(最下位ビット)/°/sという角速度検知分解能を実現している。角速度検知範囲は±300°/sとなっている。

 また、ADXRS800のMEMSセンサー素子には、角速度の検知に用いられる構造の部分以外にも電極が追加されている(図3)。この電極を用いることで、動作時におけるセンサー素子の故障を検出する連続セルフテスト機能を実現している。同機能では、センサー素子だけでなく、パッケージ内に搭載されているEEPROMや、ASICに集積されている信号処理回路の故障検出を動作中に行うことができる。なお、連続セルフテストの動作周波数は400Hzとなっている。

表1 「ADXRS800」と従来品「ADXRS62x」の比較(提供:アナログ・デバイセズ) 表1 「ADXRS800」と従来品「ADXRS62x」の比較(提供:アナログ・デバイセズ) 

 アナログ・デバイセズの永井氏は、「ESCは、米国では2011年9月から、日本でも2014年10月から、新車への搭載を義務付ける法制度が施行されるなど、今後の市場成長が見込まれる製品だ。MEMSジャイロセンサーは、そのESCの中核部品である。ADXRS800は、従来品よりも耐衝撃性と耐振動性が高く、ノイズによる影響も小さい上に、安定した温度特性を備えている。このため、ESCを開発する際に必要だった、各種温度条件におけるセンサー出力の測定と、その測定値に合わせたシステムの最適化の作業や、振動対策のためにパッケージを実装する際に使用していたアンダーフィルなどが不要になる。これらの効果により、ESCの開発期間の短縮と組み立てコストの削減が可能になる」と述べている。

図3 「ADXRS800」の連続セルフテスト機能(提供:アナログ・デバイセズ) 図3 「ADXRS800」の連続セルフテスト機能(提供:アナログ・デバイセズ)  黒丸で囲んだ部分が、連続セルフテスト機能のために追加された電極である。

 パッケージについては、16端子のSOIC(外形寸法10mm×10mm)、または14端子のLCC(外形寸法9mm×8mm)が用意されている。16端子SOICはヨー(Z軸角速度)を検知する用途に用いる。14端子LCCは、側面に電極を備える垂直実装パッケージであり、ピッチ(X軸の角速度)とロール(Y軸の角速度)を検知する用途に用いる。

(朴 尚洙)

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