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» 2011年09月28日 00時00分 UPDATE

Linearが携帯電話基地局用シンセサイザIC市場に参入、「位相雑音は競合比1/3、スプリアスは20dB低い」と主張

[EDN Japan]

図1 Linear Technologyの「LTC6946」 図1 Linear Technologyの「LTC6946」  LTC6946は、1チップにPLL回路とVCO、出力分周器を集積した。VCOの出力と外部から供給する基準信号を位相同期させ、その状態のVCOの出力周波数を分周器で分周してから外部に出力する。

 Linear Technologyは2011年9月、携帯電話の基地局などに使えるPLL(Phase Locked Loop)方式の高周波シンセサイザIC「LTC6946」を発表した(図1)。出力周波数範囲が異なる3品種を用意した。具体的には、最高出力周波数が3.74GHzの「LTC6946-1」と、同4.91GHzの「LTC6946-2」、同5.79GHzの「LTC6946-3」である。3品種ともに、動作温度範囲は−40〜105℃。パッケージは4mm×5mmの28端子QFNである。1000個購入時の単価は5.75米ドルから。すでに出荷可能な状況だという。

 Linearが高周波シンセサイザを製品化するのは今回が初めて。後発ながらも、「競合他社が供給する既存品に比べて、高い性能を実現した。すなわちスプリアスや位相雑音などで高い特性を実現している。携帯電話の通信方式は広帯域化が進んでおり、それに伴って雑音の増加が懸念されるが、このシンセサイザICを使えばその問題にも対応できる」(同社で高周波製品のマーケティングマネジャーを務めるJames Wong氏)と主張する(図2)。

図2 Linear TechnologyのJames Wong氏 図2 Linear TechnologyのJames Wong氏 

 3品種ともに、VCO(電圧制御発振器)を集積しているので、ループフィルタの特性を定めるコンデンサと抵抗を外付けするとともに、周波数基準信号を供給すれば、周波数シンセサイザとして機能する。VCOの出力周波数を分周器で分周してから出力する仕組みだ。分周比を1〜6の整数にユーザーが任意に設定可能な整数分周型である。例えば、最高出力周波数が3.74GHzのLTC6946-1では、分周比を1に設定した場合の出力範囲が2.24GHz〜3.74GHzに、分周比を6に設定した場合は373MHz〜623MHzになる。Wong氏は、「携帯電話の基地局は、仕向け地ごとに対応すべき標準規格が違うので、周波数帯も異なってくる。このシンセサイザICなら、そうしたマルチバンド対応のニーズにも対応することが可能だ」と述べる。

 出力信号の雑音特性については、LTC6946-1で分周比を3に設定し、900MHzを出力した場合に、位相雑音を1kHzオフセットにおいて−100dBc/Hzに抑えた(VCO単体のフリーラン特性ではなく、PLLシンセサイザ構築時の閉ループ特性)。100Hz〜10MHzにわたる位相誤差の積算値は0.215度(RMS値)だという。Wong氏は、「この値は競合他社品の1/3だ」としている。スプリアスについても−100dBc以下に抑えており、「市場にある一般的な品種は−80dBc程度にとどまる。それらに比べて約20dBも優れた特性を備えている」(同氏)という。

 Linearは今回のPLLシンセサイザICの投入に併せて、ユーザーの所望の出力周波数や所要の雑音特性に応じた分周比やループフィルタの定数などの設定を支援するグラフィカルなソフトウェアツール「PLLWizard」も用意した。同社のWebサイトから無償でダウンロードできる。このシンセサイザICを搭載する評価ボードも用意しており、PLLWizardで調整した設定データをシリアルインタフェース経由でボード上のICに書き込んで、ツールのシミュレーション結果とボードの実測結果を比較検証することも可能だ。

 また同社は、さらに高い性能の周波数シンセサイザを求めるユーザーに向けて、VCOを内蔵しないタイプも開発しており、2011年10月後半に発表する予定だ。今回の3品種が内蔵するVCOに比べて位相雑音が低い個別部品のVCOを外付けすれば、周波数シンセサイザとしての雑音性能をより高められる。加えて同社は、今回の整数分周型とは異なり、周波数切り替え速度を高められるなどのメリットがあるフラクショナルN(分数分周)型の分周器を採用した品種も開発中だという。

(薩川 格広)

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