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» 2011年10月04日 00時00分 UPDATE

LLC共振方式向けの電源コントローラIC、1MHzのスイッチング周波数を実現

[EDN Japan]

 Power Integrationsは2011年9月、LLC(インダクタ/インダクタ/コンデンサ)共振方式を採用するスイッチング電源向けのコントローラIC「HiperLCS」を発表した(図1)。1MHzまでのスイッチング周波数を実現できることを最大の特徴とする。主に、PC、液晶テレビなどのデジタル家電、LED照明を用いた街路灯、サーバー、通信機器、産業用機器などに用いる、定格電力が75W〜440Wの電源の用途に向ける。既に量産を開始している。パッケージは16端子のeSIP-16C。1万個購入時の単価は2.28米ドルから。


図1 「HiperLCS」と定格電力150Wの評価ボード 図1 「HiperLCS」と定格電力150Wの評価ボード 

 LLC共振方式は、主に定格電力が100W以上のスイッチング電源のAC-DC変換回路に用いられている。同方式を用いたスイッチング電源は、フライバック方式など他の方式を採用するものと比べて、変換効率が高く、放射ノイズが小さいことを特徴としている。特に、その低ノイズ特性によって、液晶テレビなどのデジタル家電の電源で広く採用されている。

 HiperLCSは、LLC共振方式を用いるスイッチング電源の周波数について、従来は100kHz程度が一般的だったところを、250kHz〜1MHzに高められることを特徴としている。スイッチング周波数を高めることによって、トランスをはじめとする電源の周辺部品を小型化したり削減したりすることが可能になる。例えば、定格出力が150WのLLC共振方式を用いるスイッチング電源において、HiperLCSを用いて250kHzのスイッチング周波数で動作させるのに必要なトランスの容積は、競合他社の電源ICを用いて70kHzのスイッチング周波数で動作させる場合に必要なものの約1/3まで削減できるという。電源を構成する際に用いるコンデンサについても、スイッチング周波数が低い場合に必要な多数の電解コンデンサを積層セラミックコンデンサに置き換えることが可能である。

 さらに、LLC共振方式のスイッチング電源に必要となる外付け部品を、ワンチップに集積していることも特徴の1つとなっている。例えば、電源コントローラICのハイサイドとローサイド、それぞれに設置する高耐圧パワーMOSFETやドライバICなどが挙げられる。Power Integrationsは、「スイッチング周波数を高めたことや外付け部品を集積したことにより、競合他社の電源ICと比べて使用する部品点数を最大30個削減できる」としている。

図2 Power IntegrationsのDoug Bailey氏 図2 Power IntegrationsのDoug Bailey氏 

 スイッチング周波数を高める場合に心配になるのが、LLC共振方式のスイッチング電源の特徴である低ノイズ特性への影響である。この問題については、ヒートシンクへの放熱に用いるパッケージ裏面のサーマルパッドの電位がグラウンドになっていることにより、ヒートシンクがアンテナになって発振されるノイズがほとんど出ないようになっているという。また、既存の電源ICの場合、サーマルパッドが高電位の電極となっているため、ヒートシンクとサーマルパッドの間に絶縁のためのシリコンパッドを挟む必要があった。HiperLCSは、サーマルパッドの電位がグラウンドであることから、シリコンパッドを介さずに、ヒートシンクに直接サーマルパッドを接触させることができる。このため、シリコンパッドが必要な既存の電源ICよりも、ヒートシンクへの放熱を効率よく行える。

 Power Integrationsは、同社の電源ICを用いた回路の設計に役立つツール「PI Expert」を無償で提供している。HiperLCS向けでも、同ICを用いたLLC共振回路の設計パラメータを出力する無償のツールである「PI Xls」を新たに用意した。

 Power Integrationsでマーケティング担当バイスプレジデントを務めるDoug Bailey氏(図2)は、「HiperLCSの投入により、LLC共振方式のスイッチング電源に必要となる各種電源ICを製品ラインアップとしてそろえることができた。また、2011年2月に買収したQspeed Semiconductorのダイオードも提供できる。Qspeedのダイオードは、低コストのシリコンベースのデバイスでありながら、高コストのSiC(シリコンカーバイド)ベースのダイオードと同等の特性を備えていることが特徴だ」と述べている。

(朴 尚洙)

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