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普及帯オシロで任意波形発生や電源解析が可能に、アジレントが機能拡充

» 2011年10月27日 00時00分 公開
[EDN Japan]

 アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)は2011年10月、普及価格帯の汎用オシロスコープ「InfiniiVision 3000Xシリーズ」のオプション機能を拡充し、任意波形発生機能と5種類の解析アプリケーションを追加した。

 オシロスコープ自体は、2011年2月に発表したもので、「業界の既存機種に比べて性能や機能を大幅に高めながらも価格を普及帯に据え置いた」(同社)ことが特徴である(参考記事)。そのうち機能の向上については、目玉の1つとしてオプションで本体に内蔵できるファンクションジェネレータを挙げていた。今回発表した任意波形発生機能のオプション「DSOX3WAVEGEN」を使えば、このファンクションジェネレータよりもさらに高度な波形の編集・生成が可能になる(図1)。「オシロスコープに任意波形発生機能を統合するのは、業界初だ」(アジレント)という。オプション価格は5万6358万円(税別、以下同)。ただし既存のファンクションジェネレータのオプションを購入済みの顧客は、ファームウエアを無償でアップグレードすることで、この任意発生機能を利用できるようになる。

図1 任意波形発生機能の概要 図1 任意波形発生機能の概要 

 波形発生機能の基本的な特性は以下の通り。分解能は10ビット、サンプリング速度は100Mサンプル/秒、波形メモリは8000ポイント。オシロスコープで取り込んだ波形を直接、波形メモリに書き込んで、編集することができる。「車載バスを実際に流れる信号を取り込んで、それに雑音を重畳した上で、試験信号として出力するといった使い方ができる」(同社)。なお波形編集は、オシロスコープ本体の操作でも可能だが、付属のPC用ソフト「波形ビルダ」を使えばさらに高度な編集ができるようになる。

図2 演算機能オプションの実行例 図2 演算機能オプションの実行例 MOSFETのスイッチング制御信号(黄色の輝線)を観測しているところ。紫色の輝線で描かれているのが測定値のトレンドで、スイッチング周波数が変化したところでこのトレンドの輝線が階段状に変化しているのが読み取れる。

 新たに5種類を追加した解析アプリケーションもそれぞれ特徴的な機能を備えている。1つ目は、高度な演算機能群をパッケージした「DSOX3ADVMATH」で、価格は3万3815円(税別)。低域通過型フィルタや高域通過型フィルタの他、測定値の2乗や絶対値、対数などを求める各種関数や、測定値の傾向(トレンド)を表示する機能などが用意されている(図2)。「通常は200万円以上の価格のオシロスコープでなければ搭載されていないような機能だ。それらを本体価格が30万円台からと低い3000Xシリーズに数万円のオプションを追加することで利用できる」(同社)。

 2つ目は、スイッチング電源などの各種特性を解析する機能をまとめた「DSOX3PWR」である。高調波電流や力率、位相角、クレストファクタなどを解析できる。これらのうち高調波電流については、「IEC61000-3-2 Class A/B/C/Dで規定された要件を満たしているかどうかを解析する機能も用意した」(同社)という。価格は16万9240円。

 3つ目は、高品位(HD)テレビのコンポジット信号を対象にしたトリガーと解析の機能を提供する「DSOX3VID」で、価格は8万592円。4つ目は、車載通信規格であるFlexRayのトリガーと解析の機能をまとめた「DSOX3FLEX」で、価格は16万9240円。5つ目は、防衛/航空分野のシリアル通信規格であるMIL-STD 1533およびARINC 429に対応するトリガーと解析の機能をパッケージした「DSOX3AERO」で、価格は16万9240円である。

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