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» 2011年11月07日 00時00分 UPDATE

屋内/屋外を問わず測位可能なGPSレシーバIC、無線LANの位置情報を自己学習

[EDN Japan]

 CSRは2011年11月、屋内/屋外を問わず測位できることを特徴にしたモバイル機器用GPS(全地球測位システム)レシーバIC「SiRFstarV」を発売した。GPSやガリレオ、グロナス、コンパスといった測位衛星システムからの信号を受信できることに加え、これらの信号を受信しにくい屋内では無線LANアクセスポイントや携帯電話基地局からの無線信号、各種センサーで取得した情報を使って測位する。特定の顧客向けに既にサンプル出荷を始めており、量産時の参考価格は5米ドル程度である。


図1 シーエスアールの横山崇幸氏 図1 シーエスアールの横山崇幸氏 

 今や測位技術は、携帯電話機やスマートフォン、タブレット端末といったモバイル機器に不可欠な技術になりつつなる。地図アプリと連動したナビゲーションサービスが広く使われていることに加え、測位機能と連動したさまざまなインターネットサービスが登場している。CSRの日本法人であるシーエスアールの社長を務める横山崇幸氏(図1)は、「スマートフォンやタブレットPCのみならず、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯型ゲーム機など、今後は液晶ディスプレイを備えたモバイル機器全てに測位機能が必要になるだろう」と語る。

 ただ、既存の測位技術には解決すべき課題がある。1つは測位衛星からの信号を受信しにくい屋内の測位精度が高くないこと。もう1つは、モバイル機器に用いるには消費電力が高いことである。いずれも、測位機能を載せたモバイル機器の性能や使い勝手を高めるためには重要な項目だ。

 CSRのSiRFstarVは、先に述べた課題のうち前者の解決を主眼に置いて開発されたレシーバICである(図2)。先述の通り、屋外では各国の測位衛星システムを使って位置情報を算出する。これに対して屋内では、周囲にある携帯電話基地局や無線LANアクセスポイントの情報を使って測位する(EE Times Japanの参考記事「つながる広がる位置情報、あなたの機器に測位技術が載る」)。

図2 「SiRFstarV」を使ったときのシステム構成例 図2 「SiRFstarV」を使ったときのシステム構成例 

 これまでも、モバイル機器の周囲にある携帯電話基地局や無線LANアクセスポイントを活用する測位技術は広く使われてきた。SiRFstarVは、「自己学習データベース」と呼ぶ新しい機能を搭載した点が異なる。これは、SiRFstarVの周囲にある無線LANアクセスポイントのMACアドレスと測位衛星システムによって測位した位置座標をひもづけて、自動的にインターネット上のサーバにアップデートする機能である。

 無線LANアクセスポイントからの信号を使って測位するには、アクセスポイントのMACアドレスと位置座標をひもづけたデータベースをあらかじめ準備しておく必要がある。一方、CSRの自己学習データベースは、モバイル機器が検知した無線LANアクセスポイントのデータを自動的に追加するので、データベースを容易に構築できる。また、この自己学習データベース用のサーバは、CSRのものを利用することもできるし、顧客自身がサーバを準備してもよい。

 さらにSiRFstarVには、加速度センサーや角速度センサー(ジャイロ)、地磁気センサー、圧力センサーといった各種センサーを直接接続できるインタフェースを用意し、デッドレコニング(Dead Reckoning:推測航法)機能も搭載した。なおCSRは、測位衛星の軌道データベースや自己学習データベースといったサーバ側の測位支援システムと、SiRFstarV側で動かす各種ソフトウェアを総称し、「SiRFusion」と呼んでいる。SiRFstarVは、SiRFusionをプラットフォームとして採用した初の製品となる。

カーナビ向け測位SoCの新品種も発売

図3 「SiRFprimall」のカーナビ向けリファレンスボード 図3 「SiRFprimall」のカーナビ向けリファレンスボード 

 CSRはこの他、カーナビ向け測位SoC(System on Chip)「SiRFprimall」も併せて発売した(図3)。

 複数の測位衛星システムに対応した測位機能の他、ARMのアプリケーション処理用プロセッサコア「Cortex-A9」や、Imagination TechnologiesのIPコアを採用した3Dグラフィックスアクセラレータ、H.264対応デコーダといった豊富な機能を搭載している。「液晶ディスプレイやメモリ、RFレシーバICといったわずかな部品を外付けするだけで、カーナビの基本設計が終わる」(同社)。同社従来品に比べて、プロセッサの処理性能を高めたことや3D描画性能を高めたこと、実装面積を削減したことが特徴である。特定の顧客向けに既にサンプル出荷を始めており、量産時の参考価格は15米ドル程度となっている。

(前川 慎光)

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