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» 2012年03月09日 18時39分 UPDATE

シリコンラボ Precision32:内蔵発振器などの周辺機能で差異化、シリコンラボが「Cortex-M3」マイコンを投入

シリコン・ラボラトリーズが「Cortex-M3」マイコン市場に参入した。PLLと組み合わせた高精度の内蔵発振器をはじめとする周辺機能の豊富さや、端子割り当てを自由に設定できる柔軟性、専用に開発したCコード生成ツールなどを特徴に、幅広い市場での展開を目指す。

[朴尚洙,EDN Japan]

 Silicon Labratories(シリコン・ラボラトリーズ)は2012年3月、東京都内で会見を開き、ARMのマイコン用プロセッサコア「Cortex-M3」を搭載する32ビットマイコン「Precision32」を発表した。クロック源や電圧レギュレータ、A-D変換器、D-A変換器、静電容量型タッチパネルの制御回路、各種駆動回路など、周辺機能を豊富に集積したことを特徴とする。モバイル機器、POS端末、モーター制御機器、産業用モニター、バーコードスキャナ、タッチパネル搭載機器、センサー制御機器、住宅設備といった幅広い用途で利用できる。既に量産出荷を開始している。1万個購入時の単価は、USBインタフェースを搭載しない「SiM3C1xx」で2.2米ドルから、USBインタフェースを搭載する「SiM3U1xx」で2.68米ドルから。

 会見のために来日した同社でマイクロコントローラ製品担当ゼネラルマネージャを務めるMike Salas氏は、「Precision32は、設計者が開発に割いている労力をできる限り削減することを目的に開発した製品だ。32ビットマイコンとして、周辺機能の豊富さと設計者の要求に対応する柔軟性は、他に類を見ない高いレベルに仕上がった」と語る。

 これまで、同社のマイコン製品は、Intelのプロセッサコア「8051」を搭載する8ビットマイコンファミリ「C8051」だけだった。Precision32は、同社初の32ビットマイコンとなる。「32ビットマイコンの市場規模は2012年時点で約50億米ドル。このうち約20億米ドルを、周辺回路を豊富に集積した高機能の32ビットマイコンが占める。Precision32はこの市場に向けた製品だ」(Salas氏)という。

Silicon LabratoriesのMike Salas氏32ビットマイコンの市場動向 左の写真はSilicon LabratoriesのMike Salas氏。右の図は32ビットマイコンの市場動向である。(それぞれクリックで拡大) 出典:Silicon Labratories

 Precision32は、累計で10億個を出荷しているC8051で培った、マイコンへのアナログ回路の集積技術を適用した。集積したアナログ回路としては、PLL(位相同期回路)と組み合わせられる発振器、入力範囲が2.7〜5.5Vで出力範囲が2.1〜3.6Vの電圧レギュレータ、分解能が12ビットのA-D変換器、同10ビットD-A変換器、コンパレータがそれぞれ2チャネル、300mAまでの高電流を流せる駆動回路が6チャネル、静電容量型タッチパネルの検知に用いる入出力回路が16チャネルなどとなっている。このため、外付け部品を大幅に削減できる。例えば、8MHzの水晶発振器、USBインタフェース用の電圧レギュレータと終端回路、静電容量型タッチパネルのコントローラなどを省くことで1ドル以上のコスト削減につながるという。Salas氏は、「これらの内蔵のアナログ回路が全電圧/全温度範囲で動作することも大きな特徴だ。他社の32ビットマイコンも周辺機能の豊富さを特徴にしているが、全電圧/全温度範囲で動作するのはPrecision32しかない」と強調する。

「Precision32」の機能と差異化ポイント外付け部品の削減イメージ 左の図は「Precision32」の機能の概要と差異化ポイントである。右の図は、集積した周辺回路による外付け部品の削減イメージ。(それぞれクリックで拡大) 出典:Silicon Labratories

 PLLを用いた内蔵発振器は、プロセッサコアの動作周波数やUSBインタフェースの信号周波数が含まれる23〜80MHzのクロックを出力できる。精度は±1.5%である。なお、USBインタフェースの信号周波数に求められる±0.25%の精度は、クロックリカバリ技術で実現している。この他、2.5MHzと20MHzのクロックを生成できる低消費電力の発振器(精度は±5%)や、16.4kHzの低周波数クロックを生成できる低周波数発振器(精度は±20%)としても使える。これらを利用することにより、プロセッサコアの動作周波数を1〜80MHzまでの範囲で、自由かつ動的に変更できるという。

 同社が主張する「柔軟性」を代表する機能が、マイコンの各種機能や入出力インタフェースを、どの端子にも自由に割り当てられるという「クロスバー・アーキテクチャ」だ。C8051で好評だった機能を拡張して適用した。

 消費電流も低減した。Salas氏は、「Cortex-M3とUSBインタフェースを搭載するマイコンでは業最小」と胸を張る。SiM3U1xxの場合、動作時の消費電流は、競合他社比で33%低い275μA/MHz。スリープ時は、リアルタイムクロックを動作させるときで350nA、リアルタイムクロックを動作させないときで100nA以下となっている。これらは競合他社比で1/5〜1/100になるという。スリープ状態から動作に移行するウェイアップ時間は10μsである。

クロスバー・アーキテクチャのイメージ他社品との消費電流の比較 左の図は、クロスバー・アーキテクチャによる端子割り当てのイメージ。右の図では、競合他社品との消費電流を比較して示している。(それぞれクリックで拡大) 出典:Silicon Labratories

 設計者の労力を減らすために、使用する周辺機能や動作周波数、端子割り当ての設定に合わせてCコードを生成する専用のツール「AppBuilder」を開発した。GUIベースのツールなので簡単に扱える。生成したCコードは、ARMコア向けの開発環境である「Keil」、「IAR Embedded Workbench」、オープンソースのGNU対応ツールに対応する。AppBuilderは、同社のWebサイト(英語)から無償でダウンロードできる。

 その他の仕様は以下の通り。電源電圧は、内蔵レギュレータを使用する場合は2.7〜5.5V、使用しない場合は1.8〜3.6V。メモリの容量は、RAMが8〜32Kバイト、フラッシュが32〜256Kバイトから選択できる。パッケージは、外形寸法が6mm角の40端子QFN、同9mm角の64端子QFN、同10mm角の64端子TQFP、同12mm角の80端子TQFP、同7mm角の92端子LGAの5種類を用意した。動作温度範囲は−40〜85℃となっている。

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