連載
» 2012年03月16日 10時00分 公開

エンコーダの基礎から応用(1):モーター制御に不可欠なエンコーダ、その多様な用途 (1/3)

回転/移動体の移動方向や移動量、角度を検出する電子部品である「エンコーダ」。ニッチな部品かもしれませんが、本当にさまざまな機器に活用されています。今回は、エンコーダについて知って頂き関心を持ってもらうことを目的に、エンコーダの概略や多様なアプリケーションを紹介します。

[堀田智章,アバゴ・テクノロジー ]

「エンコーダの基礎から応用」連載一覧

 回転したり水平移動したりするさまざまな機器/装置の移動方向や移動量、角度を検出する役割を担っているのが、「エンコーダ」と呼ばれる電子部品です(図1)。私は現在、アバゴ・テクノロジーでエンコーダの技術営業を担当しています。私がエンコーダに携わって10年になりますが、顧客を訪問すると時折、「エンコーダって何?」と聞かれることがあります。

 確かに、エンコーダはニッチな部品かもしれません。しかし、皆さんが予想しないような機器も含めて、本当にさまざまな場面で活用されています。現在、「エンコーダはモーターと組み合わせて使うもの」というのが一般的な認識です。ただそれだけではなく、さまざまなアプリケーションでも活躍しています。

 「エンコーダの基礎から応用」と題する本連載では、エンコーダのさまざまな魅力を紹介します。第1回となる今回は、エンコーダの概略やアプリケーションの例を取り上げます。第2回と第3回では、エンコーダの動作原理や、特徴を詳しく解説する予定です。ひと言でエンコーダと言っても、幾つかの動作原理や出力形態があります。エンコーダの全体像をまとめ、種類ごとのメリット/デメリット、特徴を分かりやすく整理します。その後、最終回となる第4回では、エンコーダを実際に利用するときに知っておくと役立つ事柄に話題を移します。実際のアプリケーションの回路例などを紹介します。

 

図 図1 さまざまな機器/装置の移動方向や移動量、角度を検出する「エンコーダ」

身近な機器の縁の下の力持ち

 なじみの薄いエンコーダを紹介するに当たり、皆さんが日々使用している「エレベータ」を例にエンコーダの役割を説明しましょう。まず、エレベータを利用する一連の流れを想像してください。「△▽」のボタンを押してエレベータを呼ぶと、しばらくしてエレベータが到着し扉が自動的に開いて、中に乗り込むことができます。その後、エレベータ内部の階数表示ボタンと閉ボタンを押すと扉が閉まり、しばらく経つと目的階に到着することができます。

図 写真はイメージです

 さて、この一連の流れ中で2つのエンコーダが使用されていますが、お気付きになりましたでしょうか? まず1つは、エレベータを移動させるためのモーター制御に使われています。エレベータは、モーターが回転する力で上下に動いていますので、回転方向が分かれば、エレベータが上昇しているか、下降しているか分かります。また、モーターの移動量(回転数)を検出することで、エレベータがどれだけ移動したかを把握できます。エンコーダで得られるこのような情報をエレベータの制御盤で管理することで、目的の階に迅速に移動させることができるのです。

 もう1つは、エレベータの扉を自動的に開閉するモーター部分です。この扉ですが、動きをよく見てみるときめ細かく制御されていることが分かります。扉を開け始めたタイミングと最後のタイミングはゆっくりとした動きになっており、その途中は早めに動いて開閉時間の短縮を図っています。モーターの動きをエンコーダで正確に把握し、制御することでこのような細やかな動作を実現しています。

 エレベータが世の中に登場し始めたころは、まだエンコーダが普及しておらず、上に述べたエンコーダの仕事を全部人間が担当していました。「△▽」の代わりに呼び鈴があり、エレベータの中にいるエレベータボーイ/エレベータガールが呼び鈴の音を頼りに、スイッチを操作してエレベータを移動させていました。モーターの回転方向や回転数を測定するエンコーダのおかげで、便利なエレベータへと進化してきたのです。

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