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80〜170MHz出力の高周波水晶発振器、基本波モードで高安定度を実現セイコーエプソン SG-210S*Hシリーズ

セイコーエプソンの「SG-210S*Hシリーズ」は、寸法が2.5×2.0mmの小型パッケージと、高周波数帯での基本波発振による高安定性を両立した発振器だ。

» 2012年03月28日 11時58分 公開
[EDN Japan]

 セイコーエプソンは2012年3月、80〜170MHzと高い周波数帯を基本波として発振する小型水晶発振器「SG-210S*Hシリーズ」を発表した。基本波に対して高次の振動モードである3次オーバートーンを使うタイプの高周波発振器に比べて、発振の安定度が高いことが特徴。具体的には、安定度を表す指標である位相ジッタは、標準0.1psと小さい(オフセット周波数が12k〜20MHzの範囲において)。外形寸法は2.5×2.0×0.8mm。2012年4月に量産を開始する。


 デジタル機器やネットワーク機器のデータ伝送の高速化に伴い、これらの機器に使われる基準信号の高周波化が進んでいる。ただ、基準信号源となる高周波水晶発振器の外形寸法は7.0×5.0mmと大きいものが一般的で、基本波より安定性に劣る3次オーバートーン発振を利用したもの主流だったという。

 セイコーエプソンがこのような課題を解消すべく開発したのが、SG-210S*Hシリーズである。一般に、MHz帯の水晶発振器に使われている「ATカット型水晶振動子」の振動を高周波化するには、振動子を薄くする必要がある。ただ、80〜170MHzと高い周波数で振動させようとすると、振動子が薄くなりすぎて、機械的な強度を確保しにくくなることが課題だった。そこで同社は、励振電極付近のみを薄型化した「逆メサ構造」を採用することで、この課題を解決し、高周波数帯での安定した基本波発振を実現した。水晶の加工には、フォトリソグラフィ技術を使った同社独自の加工技術「QMEMS」を適用した。

 SG-210S*Hシリーズには、1.8〜3.3Vの範囲で電源電圧が異なる3品種「SG-210SEH」、「SG-210SDH」、「SG-210SCH」がある。消費電力は、1.8V電源のSG-210SEHが最大8mA、2.5V電源のSG-210SDHが最大9mA、3.3V電源のSG-210SCHが最大11mAである(125.1〜170MHzの出力、無負荷時)。出力周波数の偏差(誤差)は±50ppmまたは±100ppmで、品種のグレードによって異なる。

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