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高速伝送用シグナル・コンディショナ(後編) 四つの機能で高速化と長距離伝送を可能に【ビデオ講座】アナログ設計の新潮流を基礎から学ぶ

» 2012年04月13日 00時00分 公開
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【ビデオ講座】高速伝送用シグナル・コンディショナ(後編) (クリックで動画再生)


 日本テキサス・インスツルメンツ(TI)は2012年2月1日に、シグナル・コンディショナICの新製品を市場に投入した。投入した製品は全部で10品種ある。いずれの品種も特徴は三つある。すなわち、性能が高い点と消費電力が低い点、使い勝手が高い点の三つだ。

 例えば、性能については、最大12.5Gビット秒の信号を、FR-4基板上のバックプレーンで約1.3m、AWG24ケーブルで約20m伝送することが可能だ。消費電力については、競合他社品の約半分と非常に低い。主なアプリケーションは、高い性能と低い消費電力が特に強く求められるサーバーやスイッチ、ルーター、ストレージといったデータ・センタ向け電子機器である。

CDR機能を搭載

photo 図1 高速伝送用シグナル・コンディショナ
大きく三つの品種に分類できる。このうち今回日本TIは、リタイマICとアドバンスト・リタイマICを新たに製品化した。リピータICはすでに、2011年に市場に投入している。

 今回は、10品種のうち6品種に絞って、その詳細を説明していこう。発売したシグナル・コンディショナICは、搭載している機能の違いで大きく三つの種類に分けられる。すなわち、リピータICとリタイマIC、アドバンスト・リタイマICである(図1)。この中で、最も機能がシンプルなのがリピータICである。イコライザ(EQ)とデエンファシス・ドライバ(DE)という二つの機能で構成されている(図2)。イコライザとは、伝送路を通過することで失った信号振幅を、その伝送路の周波数特性に基づいて受信端で増幅(ブースト)するという機能だ。信号が伝送路を通過すると、その高周波成分が大きく減衰してしまう。そのため受信回路において、減衰してしまった高周波成分を増幅し、元の状態に戻す。一方、デエンファシス・ドライバは、伝送路で減衰してしまう高周波成分に合わせて、送信回路(ドライバ)であらかじめ低周波成分を削ってから伝送するという機能である。受信回路では、低周波成分も高周波成分も同様に減衰するため、波形の乱れは小さくなる。

photo 図2 各機能のブロック図
左はイコライザとデエンファシス・ドライバの機能ブロック図。挿入損失を補償できる。中央は、クロック抽出(CDR)の機能ブロック図。ジッタの補償に向ける。右は、判定帰還型等化器(DFE)の機能ブロック図で、クロストークなどの影響を除去できる。

 日本TIはリピータICとして、「DS100BR410」と「DS100BR210/111」を製品化している。しかし、「この2品種は昨年(2011年)に製品化したもので、今回の6品種には含まれていない」(同社でシグナル・チェーン関連のマーケティングを担当している結城靖夫氏)という。

 次に機能が多いのがリタイマICである。アダプティブ(自動調整)機能を搭載したイコライザとデエンファシス・ドライバに、クロック抽出(CDR:Clock and Data Recovery)を加えた三つの機能で構成したものである。クロック抽出は、PLL(Phase Locked Loop)回路を利用して、送られてきた信号の中からクロック成分を抽出する。そして、このクロックで送られてきた信号をたたき直す。イコライザとデエンファシス・ドライバは、信号の振幅方向を補償する機能だが、クロック抽出は時間方向を補償する機能である。すなわち、振幅の損失とジッタの両方を補償できるわけだ。

 市場に投入した製品は、「DS125RT410」と「DS110RT410」、「DS100RT410」の三つである。いずれも、入出力のチャネルを四つ備えるクアド(Quad)品である。3品種の違いは、対応するデータ伝送速度にある。DS125RT410は、9.8Gから12.5Gビット/秒、DS110RT410は8.5G〜11.3Gビット/秒、DS100RT410は10.3Gビット/秒と1.25Gビット/秒に対応する。消費電力はチャネルあたり150mWである。

クロストークの影響を除去

 製品化した3種類のシグナル・コンディショナICの中で、機能が最も多いのがアドバンスト・リタイマICである。リタイマICに搭載したアダプティブ・イコライザとデエンファシス・ドライバ、クロック抽出に加えて、判定帰還型等化器(DFE:Decision Feedback Equalizer)を搭載した。

 DFEとは、クロストークなどを原因とする信号の乱れを抑える機能である。入力信号の一部をフィードバックし、それに一定の時間遅れを持たせた上で、ある係数を掛けて、入力信号に重ね合わせる。こうした処理を実行することで、信号の乱れを抑える。発売したICには、一定の時間遅れを持たせ、係数を掛けて重ね合わせる回路を五つ用意した。一般にこの回路をタップと呼ぶ。従って、5タップ構成のDFEを採用したことになる。「一般に、タップ数が多ければ、信号の乱れを抑制する効果が大きくなる。5タップも用意すれば、十分な効果が得られる」(結城氏)。

 市場に投入した製品は、リタイマIC と同様に三つである。具体的には、「DS125DF410」と「DS110DF410」、「DS100DF410」である。いずれもクアド品。違いは、対応するデータ伝送速度にある。DS125DF410は、9.8Gから12.5Gビット/秒、DS110DF410は8.5G〜11.3Gビット/秒、DS100DF410は10.3Gビット/秒と1.25Gビット/秒に対応する。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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