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» 2012年05月17日 11時59分 UPDATE

知っておきたい 電池の仕組み(1):たった11円でもできる、カンタン電池の仕組み (1/2)

私たちの生活に欠かすことのできない電池について、そもそも電池とはどのような仕組みでエネルギーを蓄積しているのか、1次電池、2次電池など、種類ごとの説明も交えて分かりやすく解説します。(編集部)

[伊勢 忠司/三洋電機,ITmedia]
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@IT MONOistで掲載された記事を転載しています



身近な電池

 私たちの身の回りを見回すと、照明、テレビ、冷蔵庫、洗濯機など、電気を使った製品は、生活に欠かせないものとなっています。各家庭には電力が供給され、コンセントにつなげば、いつでも電気を使うことができます。一方、そのコンセントにつながなくてもいい電気製品も多く使われており、それらには必ず電池が使われています。

 家庭内で使われている電池は、リモコン、時計、玩具などに使われる乾電池や、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどに使われる充電式の電池など、数えれば数十個の電池が見つかるでしょう。家庭外においても、防災用の非常灯や誘導灯、停電時のバックアップ電源、自動車のバッテリーなど、数多くの電池が使われています。本連載では、このように、身近にある電池について、その仕組みを多くの図を交えながら説明します。

電池の種類

 電池は大きく分けて、化学電池と物理電池に分けられます。化学電池は物質の化学反応を利用して電気を作る発電装置であり、通常、電池といえばこの化学電池を指します。一方、物理電池は化学反応を用いずに、光や熱のなどのエネルギーを電気エネルギーに変換する装置で、太陽電池が代表的な例です。

 化学電池は、一次電池と二次電池および燃料電池に分けられます。一次電池は、使いきりの電池で、乾電池やボタン電池が代表的なものです。二次電池は充電して繰り返して使用できる電池で、蓄電池や充電池という呼び方もされ、自動車のバッテリーに使われる鉛蓄電池が代表的な例です。また、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池など、ポータブル機器用に使われる電池も代表的な二次電池ですが、特に、これらを小形二次電池と呼ぶこともあります。

 燃料電池は、電池というよりも燃料を供給して電気を生み出す内燃機関に近いものです。水を電気分解すると一方の電極から酸素が、もう一方の電極から水素が発生します。これを逆に利用し、一方に酸素を、もう一方に水素を送り込むと水と電気が発生する仕組みを利用した電池です。酸素は空気中のものを使いますが、水素は何らかの形で供給しなければなりません。この供給するものが燃料であり、供給の仕方の違いによって、さまざまな燃料電池の種類となります。

図1 電池の種類 図1 電池の種類

電池の市場規模

 図2は、2007年の日本国内の電池の生産数量および生産金額を示したものです。数量は57億個で、そのうち約7割が一次電池となっています。一方、金額は約7725億円で、二次電池が約8割を占める構成となっています。

 この差は、一次電池は乾電池やコイン電池などの比較的小さな電池が多く、二次電池は自動車のバッテリーのような大きな電池や高価な電池が多いことを示しています。金額で見ると、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池で50%以上を占めています。

 これらは、1990年代に実用化された新しい電池で、携帯電話やノートパソコンに代表される携帯電子機器に使われている電池です。ちょうど1990年代から携帯電話やノートパソコンの小型化が進み、急激に成長しましたが、それと同時に、これらの電池も急激に成長しました。逆に考えれば、小型化が可能な電池が開発されたおかげで、機器本体の小型化も可能となり、モバイル機器の急激な発展につながったということもできます。

図2 電池の国内生産量 図2 電池の国内生産量

電池の基本構成

 電池の基本構成を学ぶために、最も簡単な電池を作ってみます。小さく切ったクッキングペーパーを食塩水(約10%)に浸し、十円玉と一円玉で挟みます。これだけで十円玉をプラス極、一円玉をマイナス極とした立派な電池となります。

 パワーを出すために3個ほど重ねれば、電子オルゴールを鳴らすこともできます。電池の基本構成は、この十円玉と一円玉と食塩水、つまり2種類の金属と液(これを電解液と呼ぶ)でさまざまな電池を作ることができ、基本的な組み合わせだけで30種類以上、形や大きさ、用途別の違いを含めれば、数千種類の電池があるといわれています。

図3 電池の基本構成 図3 電池の基本構成

電池の歴史

1)世界最古の電池「バグダット電池」

図4 バグダッド電池の構造 図4 バグダッド電池の構造

 2000年以上前の遺跡から電池と思われる遺物が発見され、世界最古の電池といわれています。これは、イラクの首都バグダット近郊のホイヤットランプファ遺跡で発見され、バグダッド電池と呼ばれています。

 形は素焼きの小さなつぼの中に円筒形の銅筒を入れ、その中心に鉄の棒を挿して全体をアスファルトで固定する構造になっていました。これが電池とすれば、銅筒の中には何らかの液体が入っていなければなりません。紀元前でも容易に入手が可能であったワインビネガー(酢)を使っていたのではないかと考えられています。

 実際に再現実験を行うと、0.4〜0.8Vの電圧を発生することが確認されています。この電池を使って、装飾品のめっきなどをしていたのではないかと推定されています。

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