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» 2012年05月28日 16時00分 UPDATE

エンコーダの基礎から応用(3):磁気/電気誘導式エンコーダの動作原理と特徴 〜移動/回転を磁界変化で捉える〜 (1/3)

磁気/電気誘導式エンコーダには、光学式にない特色があり、光学式とともに発展をしてきました。ちりやほこりのある粉じん環境下でも問題なく使用できる他、絶対位置を出力するエンコーダを比較的安価に実現できるという特色があります。

[堀田智章,アバゴ・テクノロジー ]

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 本連載では、回転したり水平移動したりするさまざまな機器/装置の移動方向や移動量、角度を検出する「エンコーダ」を取り上げ、動作原理や特徴、多様なアプリケーションを実現する回路例などを紹介します。第1回は、エンコーダの役割や用途、基本的な動作原理を解説しました。

 エンコーダには動作原理が異なる幾つものタイプが存在しますが、大きく「光学式」と「磁気/電気誘導式」に分けられます。光学式エンコーダの性質(長所と短所)、得意な用途を第2回で紹介したのに続き、第3回となる今回は磁気/電気誘導式エンコーダに焦点を当てます(図1)。

耐環境性が高い磁気/電気誘導式エンコーダ

 第2回の冒頭では、光学式エンコーダの長所と短所を比較しました。光学式は、信号精度を高めやすいことや周辺磁界の悪影響を受けない長所がある反面で、光を遮るようなほこりや油分などの汚染に弱いこと、高分解能化するには複雑な光学系や高精度な機構設計が必要になるため、高価格化、大型化してしまうという短所があることを紹介しました。磁気/電気誘導式エンコーダには、光学式にない特色があり、光学式とともに発展をしてきました。磁気/電気誘導式の特徴を再度まとめましょう。

  1. 磁界を乱さなければ、ちりやほこりなどの粉じんのある環境下でも使える
  2. 高分解能化するときに、物理的な制約が少ないため、光学式と比較すると安価になる
  3. スリットを伴う円板などを使わないため、光学式と同じ分解能であれば小型の品種を選択できる
  4. アブソリュート(絶対位置)を出力するエンコーダを比較的安価に製造できる
  5. 光学式と比較すると部品点数が少ないため、低消費電力化しやすい

 これらの特徴の中で特筆すべき長所は、ちりやほこりのある粉じん環境下でも問題なく使用できる点です。この長所が大きく貢献している用途が、近年エンコーダの使用数が増加傾向にある車載用途です。特に電気誘導式エンコーダは車載用制御機器の電動化に伴い、使用箇所が大きく増えています。例えば、動力用モーターの制御や、電動パワーステアリング、各種バルブ部分の角度制御など用途は多岐にわたっていますが、これらは光学式エンコーダを使用するのは困難な環境です。

図 図1 磁気/電気誘導式エンコーダの外観 写真は、磁気式エンコーダを例に示しました。

 もう1つの特筆すべき長所は、絶対位置を出力するエンコーダを比較的安価に製造できる点です。光学式と同等の分解能を実現しようとした場合、部品点数や外径サイズ、厚み、耐環境性の点で光学式よりも優位性のある品種を選べます。あらためて、光学式エンコーダと磁気/電気誘導式エンコーダの違いは、以下のようにまとめられます。

光学式=「物理的な尺度を基に、位置変化を電気信号に変換する」

磁気/電気誘導式=「電気信号の変化を基に位置変化を検出し、電気信号に変換する」

 どちらも物理的な移動量の変化を変換して出力していますが、その変換過程は異なります。光学式の「物理的な移動」の尺度は、回転円板だったり、直線的に動くスケール(直動スケール)ですので、これらの尺度の位置精度が結果的に、光学式の出力信号の精度につながります。また物理的な尺度ですので、最終的には加工可能な限界によって、エンコーダの精度と分解能が決まります。一方の磁気/電気誘導式エンコーダは、電気信号の変化を基にしていますので、物理的な制限は光学式に比べると減ります。ただしその分、電気信号の処理がエンコーダの特性を決める上で重要になります。電気信号の処理部分によって、実現可能な分解能と精度が決まります。

 基本的には、高精度、高分解能といった観点では光学式エンコーダが採用され、耐熱、耐振動、耐衝撃といった耐環境性を重視する用途には磁気/電気誘導式エンコーダが使われます。磁気/電機誘導式エンコーダは、電気的な信号処理で分解能を決めているため、これからの信号処理回路に高性能かつ小型/安価なマイコンやDSPが採用されるようになると、高精度、高分解能を特徴とする光学式エンコーダが占めている市場にも、安価に高精度、高分解能化した磁気/電気誘導式が進出していくかもしれません。

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