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» 2012年05月29日 11時54分 UPDATE

オペアンプ+トランジスタ“ちょい足し”回路集(3):思わぬ過電圧にも備えて安心、ダイオード利用の保護回路 (1/2)

オペアンプICに個別トランジスタを“ちょい足し”して性能を高めたり機能を拡充したりできる定番回路集。今回は、過大な入力電圧からオペアンプを守る、ダイオードを使った保護回路を紹介しましょう。過電圧の危険は、アナログ信号処理回路のいろんなところに潜んでいます。どうぞご注意を!

[藤森弘己,アナログ・デバイセズ]

「オペアンプ+トランジスタ“ちょい足し”回路集」連載一覧

今回紹介する回路の概要

実現できる機能 オペアンプや周辺の回路に損傷を与えかねない過電圧を、安全な値以下に抑える。
こんな場面で有効 電源電圧範囲の広い前段のオペアンプで、電源電圧範囲の狭い後段のオペアンプを駆動する場合。正負両電源のオペアンプで、正の単電源で動作するA-Dコンバータを駆動する場合。外部コネクタ経由でオペアンプに信号を入力する場合など。


 今回は、オペアンプICに組み合わせる部品として、トランジスタではなくダイオードを取り上げます。ダイオードも、トランジスタと同様にディスクリート部品(IC化されていない、いわゆる個別半導体素子)の1つです。とても応用範囲が広い部品ですが、今回はオペアンプの保護回路として利用する方法を紹介します。

ダイオードの基本特性を確認

 最初に、ダイオードの基本的な特性をあらためて確認しておきましょう。

 ダイオードは、2端子素子で、図1に示すような電圧・電流特性を備えています。順方向(カソード電圧<アノード電圧)の領域では、2端子間の電位差がある値を超えると、急激に抵抗値が下がり、導通した状態になります。逆方向(カソード電圧>アノード電圧)の領域では、高抵抗値を示し、非導通の状態になります。つまり、両端子にかかる電圧に応じて、スイッチのオン/オフのような動作をするわけです。

 ある順方向電圧を超えると導通すると説明しましたが、その時も完全に0Ωになるわけではなく、多少の抵抗値を持ちます。この導通が始まる電圧(順方向降下電圧、VF)は、ダイオードの構造や、チップの温度、流れる電流(厳密には電流密度)などの条件により変化します。例えば、一般的なシリコンダイオードで0.6〜0.7V、ショットキーバリアダイオードで0.3〜0.4Vになります。

図1 図1 ダイオードの特性(クリックで画像を拡大)

過電圧の危険はそこかしこに

 このダイオードをアンプに組み合わせる使い方として代表的なのは、回路の安全を確保するための保護用途です。アンプの回路では、入力に電源電圧を超える過大な電圧がかかる場合が多く考えられます。

 例えば、図2を見てください。例1のように電源系統が異なる2個のアンプが直列に接続されており、送り側アンプの電源電圧が受け側アンプの電源電圧より高い場合、送り側アンプの入力の状態によっては、受け側アンプにその電源電圧よりも振幅が大きな信号が印加されてしまう危険性があります。電源電圧をオン/オフする際に、送り側アンプの電源の方が先に立ちあがり、まだ電源が供給されていない受け手側アンプに一瞬、高い電圧がかかってしまうかもしれません。

 たとえそうでなくても、アンプの中には電源の投入時に一瞬、出力が正負どちらかの電源電圧まで振れてしまうものもあります(この特性は、アンプの種類によって異なります)。アンプの入力がコネクタを介して外部につながっていたり、アナログスイッチ経由で前段から駆動していたりする場合、アンプの入力が開放状態になることもありますが、その際にもアンプの出力は、バイアス電流のためにやはり正負どちらかの電源電圧いっぱいまで振り切ります。

 受け側がアンプでなくても、例2のように、正の単電源で動作するA-D変換器の前段に正負両電源駆動のアンプが接続されている場合も危険です。アンプの出力が負の電源電圧まで振り切れた場合、A-D変換器の最大定格を超えてしまう可能性があります。オペアンプの中には、過大な入力が加わると出力の位相が突然反転し、出力が振り切れてしまうものがあります。これを位相反転と呼び、やはり次段の回路に悪影響を与える場合があります。

図2 図2 オペアンプの入力に加わる過電圧 (クリックで画像を拡大)
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