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思わぬ過電圧にも備えて安心、ダイオード利用の保護回路オペアンプ+トランジスタ“ちょい足し”回路集(3)(1/3 ページ)

オペアンプICに個別トランジスタを“ちょい足し”して性能を高めたり機能を拡充したりできる定番回路集。今回は、過大な入力電圧からオペアンプを守る、ダイオードを使った保護回路を紹介しましょう。過電圧の危険は、アナログ信号処理回路のいろんなところに潜んでいます。どうぞご注意を!

» 2012年05月29日 11時54分 公開
[藤森弘己アナログ・デバイセズ]

「オペアンプ+トランジスタ“ちょい足し”回路集」連載一覧

今回紹介する回路の概要

実現できる機能 オペアンプや周辺の回路に損傷を与えかねない過電圧を、安全な値以下に抑える。
こんな場面で有効 電源電圧範囲の広い前段のオペアンプで、電源電圧範囲の狭い後段のオペアンプを駆動する場合。正負両電源のオペアンプで、正の単電源で動作するA-Dコンバータを駆動する場合。外部コネクタ経由でオペアンプに信号を入力する場合など。


 今回は、オペアンプICに組み合わせる部品として、トランジスタではなくダイオードを取り上げます。ダイオードも、トランジスタと同様にディスクリート部品(IC化されていない、いわゆる個別半導体素子)の1つです。とても応用範囲が広い部品ですが、今回はオペアンプの保護回路として利用する方法を紹介します。

ダイオードの基本特性を確認

 最初に、ダイオードの基本的な特性をあらためて確認しておきましょう。

 ダイオードは、2端子素子で、図1に示すような電圧・電流特性を備えています。順方向(カソード電圧<アノード電圧)の領域では、2端子間の電位差がある値を超えると、急激に抵抗値が下がり、導通した状態になります。逆方向(カソード電圧>アノード電圧)の領域では、高抵抗値を示し、非導通の状態になります。つまり、両端子にかかる電圧に応じて、スイッチのオン/オフのような動作をするわけです。

 ある順方向電圧を超えると導通すると説明しましたが、その時も完全に0Ωになるわけではなく、多少の抵抗値を持ちます。この導通が始まる電圧(順方向降下電圧、VF)は、ダイオードの構造や、チップの温度、流れる電流(厳密には電流密度)などの条件により変化します。例えば、一般的なシリコンダイオードで0.6〜0.7V、ショットキーバリアダイオードで0.3〜0.4Vになります。

図1 図1 ダイオードの特性(クリックで画像を拡大)
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