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» 2012年06月20日 12時51分 UPDATE

超入門! イチから覚える電源回路(4):解のない整流回路を作ってみよう (1/3)

コンデンサインプット型の回路で電流のピーク値を抑えるには、別置きのインダクタンスLxを用いる方法がありますが、大きさ・質量が大きく、解がありません。今回は、実際に回路を作って、どの程度解がないのかを探っていきましょう。

[梅津 秀恭/ネクスト・ディメンション,ITmedia]
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@IT MONOistで掲載された記事を転載しています



 前回はダイオードを使用した整流回路について、コンデンサインプット型の回路動作の概要を示しました。

 その中で同回路は、簡単にフラットな直流電圧が得られ、多くの製品に使われてきましたが、幅が狭くピークの大きな電流を取り出すため、電源に優しくない回路だといいました。また、電流のピーク値を抑えるには、別置きのインダクタンスLxを用いる方法がありますが、大きさ・質量が大きく、解がないといいました。

 ではどのくらい解がないのか、ちょっと回路を作ってみましょう。

 図1aにインダクタンスLxを直流側に設置した回路を、図1bに波形を示します。ではLxはどんな仕様になるか考えてみましょう。

図1a 全派整流回路 図1a 全派整流回路

図1aの回路条件

電源電圧:Va=100V、50Hz
電源インダクタンスL:30A、ベースで2%程度(L≒200uH)
この回路では影響は少ないですが、存在することを忘れずに!
直流電圧:Vd=90V(ほとんどフラット、リプル電圧1V程度)
抵抗:R=90Ω(1Aの負荷)
コンデンサ:C=1000uF程度
(CのインピーダンスZc=1/2πfC=1/(2×π×100×0.001)≒1.6Ω≪90Ω)
リプル周波数:100Hz

この条件でLxの仕様を考えます



 Lxを設計する条件の最もキーとなる条件は、直流出力電圧Vdが90Vということです。前に示したように、AC100V入力の全波整流回路で抵抗負荷のときに、出力の平均電圧は90Vであることを思い出してください。整流波形を半サイクル平均すると、その値は(2√2/π)×100≒90となります。

 この値が、コンデンサの電圧Vc=Vd=90Vであることを表しています。回路の整流端電圧Vrは整流波形ですが、90Vの直流分とひずみリプル電圧の実効値Vracとの合成だと考えれば、このひずみリプル電圧をすべてLxが背負っている場合に相当します。

 面倒くさくいいましたが、LCのローパスフィルタで直流のみを通過させると考えればいいわけです。いまはシミュレータでチョイチョイと解を出せますが、シミュレータが自由に使えない(機能、速度も含め)時代の設計者はどうしていたのでしょうか?

 電卓でちゃんと答えを出しておりました。シミュレータの出す解を丸のみにする前に、昔の設計者のアプローチを見てください。回路図を見てどのような動作になるか、シミュレータが出した答えの合理性を判断するために使えますのでしばしお付き合いを!

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