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» 2012年06月28日 19時43分 UPDATE

Intersil ISL37231/ISL80083:「Thunderboltのアクティブケーブルを半額に」、波形補正チップセットが提案

Intersilの「ISL37231/ISL80083」は、Thunderbolt用アクティブケーブルに向けた波形補正用チップセットで、アクティブケーブルのコストを大幅に低減しながらケーブル長を延ばせることが特徴だ。Thunderbolt用アクティブケーブルの市場価格を、現在の50米ドル程度から半額の25米ドルまで低減できるという。

[薩川格広,EDN Japan]

 Intersil(インターシル)は、高速データ伝送規格「Thunderbolt」に対応するアクティブケーブルに向けた波形補正用チップセット「ISL37231/ISL80083」を開発し、特定顧客向けのサンプル出荷を始めた。競合他社が提供する既存チップセットに比べて、アクティブケーブルのコストを大幅に低減できる他、データ伝送品質を維持しながらケーブルの長さを延ばせることが特徴だという。同種のチップとしては微細な40nm世代のCMOSプロセスを採用することなどで実現した。

 アクティブケーブルとは、データ伝送波形を補正するチップをコネクタ部に組み込んだ通信ケーブルである。Thunderbolt規格対応のアクティブケーブルは、「市場価格が1本当たり49米ドルの水準で推移している。これは、機器メーカーが製品に同梱するには高過ぎる価格だ」(同社でアナログ/ミクストシグナル・プロダクツ・グループ担当シニア・バイス・プレジデントを務めるSusan Hardman氏)というのが現状である。

Susan Hardman氏 IntersilのSusan Hardman氏 アナログ/ミクストシグナル・プロダクツ・グループ担当シニア・バイス・プレジデントを務める。2012年6月に来日した際に、新製品について説明した。

 市場価格が高止まりしている背景には、同規格の実用化時期が2011年と比較的最近な上に(参考記事:インテルが「Thunderbolt」の実動デモを披露、実態が徐々に明らかに)、データ伝送速度が最大20Gビット/秒と極めて高く、高周波特性に優れた高コストのケーブル材料を使う必要があったり、波形補正の技術的難易度が高くチップセットが高額になってしまったりといった要因がある。

 Intersilは、同社の新製品を使うことで、比較的低コストのケーブル材料でもデータ伝送品質を確保できることに加え、チップセットの点数を削減できたり、アクティブケーブルを組み立て工程とその後のテスト工程を簡略化でき、製造スループットを高められたりすると主張する。それらの結果、Thunderbolt用アクティブケーブルの市販価格を「25米ドルまで低減できる」(同氏)と言う。

40nm技術で3つの機能を1個のシリコンチップに統合

 Intersilの新型チップセットは2チップ構成で、波形補正回路と制御用プロセッサを統合したトランシーバチップ「ISL37231」と、同チップに電力を供給する電源管理チップ「ISL80083」からなる。これら2個のチップを、ケーブルの両端にあるコネクタ部それぞれに1組ずつ内蔵する。すなわち、ケーブル当たり4個のチップを使う。

 トランシーバチップの特徴は、40nm世代のCMOS技術を適用し、Thunderbolt対応の波形補正に必要な全ての回路を1個のチップに作り込んだことだ。これにより、部品点数と消費電力の低減を実現した。パッケージ寸法は5×5mmである。

トランシーバチップ「ISL37231」 トランシーバチップ「ISL37231」の特徴 出典:Intersil (クリックで画像を拡大)

 同社によれば、このトランシーバチップに相当する競合他社の既存品は、「SiGe技術を適用して製造しており、消費電力が大きい上に、機能集積化が難しかった。送信側と受信側それぞれの波形補正チップに加えて、制御用プロセッサも別チップとして供給しており、合計で3個のチップが必要だった。それをケーブルの両端それぞれに組み込む必要があり、チップ群の消費電力は合計で2〜3Wに達していた」(Hardman氏)。

 これに対しIntersilの今回のトランシーバチップは、ケーブルの両端に1個ずつ内蔵すればよい。消費電力は1個当たり500mWを切り、2個合計で1Wに収まるという。

 ケーブルの伝搬損失に対する補償性能は30dB、プリント基板の伝送線路特性に対するイコライザ/デエンファシス性能はともに10dBを確保した。「伝搬損失が比較的大きい安価なケーブル材料を使える。しかも、データ信号の伝送品質を維持しつつ、ケーブル長を延ばすことが可能だ。現在市場に流通しているアクティブケーブル製品は2mにとどまっているが、これを3mまで延ばせる」(同氏)。さらに、BIST(Built-In Self Test)機能を搭載したことで、「他社チップセットを使う場合に必要だった、マニュアルによる試験が不要になる。製造スループットを大幅に高められ、低コスト化につながる」(同氏)と説明する。

 Intersilのチップセットのもう一方である電源管理チップは、同期整流方式をとる2.5MHzスイッチングの降圧型DC-DCコンバータと、LDOレギュレータを集積した。パッケージ寸法は2.17×2.15mmと小さい。「競合他社の既存品は、電源管理チップについても集積化されておらず、複数個を組み合わせて使う必要があった」(同氏)としている。

電源管理チップ「ISL80083」 電源管理チップ「ISL80083」の特徴 出典:Intersil (クリックで画像を拡大)

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