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» 2012年07月02日 15時14分 UPDATE

いまさら聞けない次世代照明技術:知っておきたいLED照明の基礎 (1/3)

有機EL照明とともに、低消費電力の照明として注目を集めているのがLED照明です。最近は駅や大型施設などにもLED照明の採用が進み、価格もずいぶんリーズナブルになってきました。今回は、LED照明の仕組みを解説します。

[大利 富夫/パナソニック電工,ITmedia]
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@IT MONOistで掲載された記事を転載しています



LED開発の歩みと特長

 LEDとは、Light=“光る”、Emitting=“出す”、Diode=“ダイオード”のそれぞれ3つの頭文字を略したもので、電流を流すと光る半導体の一種です。発光ダイオードとも呼ばれています。

 照明用光源の歴史を振り返ると、各国にガス灯が設置され始めた1810年代以来、約60年ごとに大きな発明がありました。1879年には人類初の「電気の明かり」となる白熱灯が、1938年にはいまも活躍している蛍光灯が、そして1996年には現在のLED照明用光源のベースとなる、白色LEDが誕生しています。

 LEDの歴史を見てみると、1960年代に赤色のLEDが開発されて以来、早い段階から表示用途で実用化されてきました。その後、発展の契機となる1993年の青色LEDの開発、またそれを応用した1996年の白色LEDの開発を経て、現在に至っています。

LEDの特長

 白熱灯や蛍光灯など、私たちはいくつもの人工的な光に囲まれて暮らしています。LEDは照明用途の光源としてはまだまだニューフェイスですが、先輩の白熱灯などがまねのできない、数々の優れた特長を持っています。その中でも、白熱灯や蛍光灯に比べて“長寿命”なことが大きなアドバンテージです。

 例えば現在では、LED照明に使用されているLEDの寿命を4万時間程度としている製品が多いですが、その場合1日当たり10時間点灯しても、約10年間使用できることになります(照明に使用されている白色LEDの寿命定義については、次の「LEDの発光原理と寿命」を参照してください)。

 また、LEDは従来の光源に比べてコンパクトなため、器具の小型化が容易で、器具デザインの設計自由度が高くなります。さらに熱線や紫外線をほとんど含まず、調光・点滅が自在など、いくつもの長所が挙げられます。そして、最近のLEDの性能向上に伴い、既存の白熱灯やコンパクト形蛍光灯などに比べても発光効率が高く、さまざまな照明分野商品の省エネに大きく貢献しています。

LEDの発光原理と寿命

 LEDは、前述のように電流を流すと光る半導体の一種です。図1に示すように、電子が余っているN型半導体と、逆に電子が不足しているP型半導体の、2種類の性質の異なる半導体を接合したものが、LEDの基本構造になります。

図1 LEDの基本構造 図1 LEDの基本構造

 N型半導体とP型半導体が接合されたLEDチップの両端に電圧を掛けると、LEDチップの中を電子と正孔(電子が不足している部分)が移動し、電流が流れます。電子と正孔は、P型半導体とN型半導体の接合面(ジャンクション)で結合し、その際に電子の持っていたエネルギーの一部が、光に変換されて放出されます。

図2 LEDの発光原理 図2 LEDの発光原理

 LEDの発光色は、Ga(ガリウム)、N(窒素)、In(インジウム)、Al(アルミニウム)、P(リン)など、半導体を構成する化合物の違いによって、放出される光の波長が異なります。光は、波長が450nm前後のものが青色、520nm前後が緑色、660nm前後が赤色に見えます。

 白色光は2色以上の光を混ぜて、白色に見えるようにする必要があります。青緑と赤、青と黄などの補色となる2色の光を混色することで、白色光を作り出すことができますが、赤、緑、青の光の3原色を混色する方が、より自然な白色が作り出せます。

図3 化合物による発光色の違い 図3 化合物による発光色の違い

白色LEDの仕組み

 白色LEDは、図4に示すようにさまざまな方式が提案されています。現在、市場で最も普及しているものは、発光効率の高さから、青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせたタイプの白色LEDです。LED自身の青色光と、黄色蛍光体によって青から黄色に変換された黄色光が混ざる(=青色光と黄色光の補色となる2色の光が混ざる)ことによって、白色光を作り出しています。

図4 白色LEDの仕組み 図4 白色LEDの仕組み

 また最近では、LED照明で照射された物の、色の見え方(演色性)を改善するため、黄色蛍光体に赤色蛍光体を加えたものや、黄色蛍光体の代わりに緑色蛍光体と赤色蛍光体を用いた白色LEDも実用化されています。

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