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次世代スマートメーター向け高性能マイコン、24ビットA-Dコンバータも集積ルネサス RX21A

ルネサス エレクトロニクスの「RX21A」は、高性能マイコンコアの他、24ビットA-Dコンバータや、大容量フラッシュメモリ、暗号処理用ハードウェアなど、スマートメーターに必要な機能をほぼ1チップに集積した。

» 2012年07月04日 15時44分 公開
[前川慎光,EDN Japan]

 ルネサス エレクトロニクスは2012年7月、スマートメーターを対象にした高性能マイコン「RX21A」を発表した。特徴は、32ビットマイコンコアの他、分解能が24ビットのΔΣ型A-Dコンバータや、大容量フラッシュメモリ、暗号処理用ハードウェアといった豊富な機能を搭載したこと。

「今後導入が本格化する高性能のスマートメーターに必要な機能を1チップに集積した。これだけの機能や性能を実現したスマートメーター向けマイコンの製品化は業界初だ」(同社)という。

 従来、電力演算やメーター制御、電力料金演算、データ暗号化のためにそれぞれ採用していた半導体部品を1チップに集約でき、部品点数の削減が見込める。

 プロセッサコアには同社独自の「RX200」を採用しており、同社がスマートメーターなどを対象に提供してきた「RX210」に続く品種という位置付けである。既にサンプル出荷を開始しており、サンプル価格は660円。2012年12月に量産を始める。

図 RX21Aを採用したときのスマートメーターの構成

フラッシュ容量は最大512Kバイト

 ここ数年、各家庭の電力消費量を測定する検針メーターに通信機能などの新機能を付け加えたメーター(スマートメーター)に注目が集まっている(関連記事)。既に、一部の国や地域で、片方向の通信機能を搭載し、自動で使用電力量を検針可能な「AMR(Automated Meter Reading)」の設置が進んでいるが、今後、双方向通信に対応した「AMI(Advanced Metering Infrastructure)」や、宅内ネットワークとの連携機能を搭載した「AMI+」の導入が本格化する見込みだ(関連記事)。

図 多機能化・高性能化するスマートメーター

 ルネサスが製品化したRX21Aは、いろいろなタイプの電力メーターの中でも、上に挙げたAMIやAMI+といった高性能のスマートメーターを対象にした品種である。電力量を演算、自動検針するだけでなく、電力料金の課金体系を多様化したり、メーターの機能を遠隔地から更新したりするといった付加機能に、1チップで対応することを目的に開発された。

 プロセッサコアの動作周波数は50MHz、処理性能は78DMIPS。フラッシュメモリの記録容量は、最大512Kバイトで、同社従来品比で2倍に相当する。暗号処理用ハードウェアは、鍵長が256ビットのAES(Advanced Encryption Standard)に対応しており、通信データ保護や不正アクセス防止のために搭載した。

 消費電力が低いことも特徴に挙げる。プロセッサコアの消費電流は0.2mA/MHz、スタンバイモード時の消費電流は、リアルタイムクロック(RTC)動作時に1.0μA、RTC停止時に0.3μAである。「高い処理性能と低消費電力を両立させた」(同社)。

RX21Aの特徴と、同社のスマートメーター向けマイコンの中での位置付け。

 「単相2線式」や「単相3線式」、「三相3線式」、「三相4線式」といった世界各国のさまざまな電力配線方式に対応する、合計9品種を用意しており、RAM容量は32Kバイトまたは64Kバイト、フラッシュメモリの記録容量は256Kバイトまたは384Kバイト、512Kバイトである。RX21Aの9品種で、世界各国の多様なスマートメーターの仕様に対応可能だという。

地域や電力会社ごとに異なるメーターのシステム構成。RX21Aは、高性能のスマートメーターを対象に開発された。

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