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» 2012年07月25日 13時00分 UPDATE

デジタルオーディオの基礎から応用(4):オーディオ機器の要「D-AコンバータIC」の機能と構成 (1/4)

デジタルオーディオの基幹となる半導体部品のひとつが、オーディオ用D-AコンバータICである。デジタルオーディオ機器の設計には不可欠なデバイスだ。今回は、D-AコンバータICに焦点を当て、動作方式や特徴、特性などを詳しく解説する。

[河合一,EDN Japan]

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 デジタルオーディオを構成する基幹半導体部品のひとつが、オーディオ用D-AコンバータICである。オーディオ業界では、最終製品としてのDAC(DA Converter)があるので、これと区別するために本連載では、オーディオ用D-AコンバータICを「DACデバイス」と呼称する。DACデバイスは、民生用のコンパクトディスク(CDDA)とCDプレーヤーが1982年に初めて発売され、普及したことをきっかけに、業界で広く使われるようになったデバイスである。現 在においては、非常にコストパフォーマンスの高い品種から高性能な品種まで多種多様なDACデバイスが製品化されている。今回は、デジタルオーディオ機器の要となるDACデバイスに焦点を当て、動作方式や特徴、特性などを解説する。

オーディオ用DACデバイスの基本機能

 図1にオーディオDACデバイスの基本機能図を示す。動作基本機能はデジタル信号からアナログ信号への変換であり、オーディオアプリケーションを対象にした幾つかの特有の機能を有する。1つ1つ解説しよう。

図 図1 オーディオDACデバイスの基本機能 (クリックで拡大します)

デジタル入力

 DACデバイスへの入力(デジタル入力)は、特に記述の無い限り、リニアPCM信号である。PCM信号には、チャンネル数やデータビット長(分解能、nビット)、サンプリングレート(fs)を規定した基本フォーマットが存在する。CDDAのデータビット長は16ビットであるが、DVDでは最大24ビット、最近では32ビットに対応している機器もある。また、SACD(Super Audio CD)方式を採用したオーディオ機器においては、1ビットDSD(Direct Stream Digital)信号フォーマットを採用している。この信号フォーマットのロジックレベルは、一般的なロジックICと同様にTTL/CMOSといったインタフェースロジックと同じ値である。

アナログ出力

 DACデバイスの出力(アナログ出力)には、オーディオ信号の他に、動作原理に起因したサンプリングスペクトラムと帯域外雑音が含まれているものの、通常これらはオーディオ信号に対して規定されている。アナログ出力は、チャンネル数やフルスケール信号出力レベル、電圧出力または電流出力の信号タイプ、信号フォーマットにおける差動/シングルの別、負荷ドライブ能力などが基本機能である。

電源条件

 ホームオーディオ用途では通常デジタル系が3.3V、アナログ系が5Vという2つの電源系統で動作するものが一般的である。廉価版デバイスや携帯型機器を対象にしたデバイスでは単一の電源系統で、低電圧/低消費電力動作を実現した品種もある。

マスタークロック

 ΔΣ(デルタシグマ)変調方式を採用したDACデバイスでは、内部デジタルフィルタやΔΣ変調器などの内部動作用にマスタークロックが必要である。通常、PCM信号の基準サンプリングレート(fs)に同期させており、256×fs、512×fsといった周波数に設定することが多い。

制御機能

 DACデバイスの動作を制御するには、大別すると端子のハイレベル/ローレベル接続を切り替えるハードウェア制御と、シリアルデータで制御を行うソフトウェア制御がある。ソフトウェア制御の場合は、I2CやSPIといったインタフェースフォーマットが使われる。

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