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» 2012年10月23日 09時10分 UPDATE

レクロイ HDO4000/HDO6000シリーズ:高分解能A-Dコンで“クリーンな波形”を、レクロイの12ビット型オシロ

「HDO4000シリーズ」と「HDO6000シリーズ」は、12ビットA-Dコンバータを搭載したデジタルオシロスコープである。8ビットA-Dコンバータを搭載した一般的なオシロスコープに比べ、A-D変換時の誤差が小さく真値に近い波形を観測できることが最大の特長だ。

[村尾麻悠子,EDN Japan]

 テレダイン・レクロイ・ジャパン(以下、レクロイ)は2012年10月、12ビットA-Dコンバータを搭載したデジタルオシロスコープ(以下、12ビット型オシロ)「HDO4000シリーズ」と「HDO6000シリーズ」を発売した。A-Dコンバータの分解能が高いことから、捉えた信号に重畳するA-D変換誤差(量子化雑音)を小さく抑えてクリーンな波形”を再現できる。これまでは量子化雑音に埋もれていた微小な信号などを観測することが可能だという。

 なお同社は、米国のLeCroy(レクロイ)の日本法人だが、米国本社をTeledyne Technologies(テレダイン・テクノロジーズ)が2012年8月に買収し、社名をTeledyne LeCroyに変更したのに伴って、同様に社名を変更した(参考記事)。

mm121011_lecroy_fig0.jpg HDO4000/HDO6000シリーズ

 今回発売したのは、HDO4000シリーズが6機種、HDO6000シリーズが3機種。アナログ入力の周波数帯域幅は、HDO4000シリーズが200MHz、350MHz、500MHz、1GHzで、HDO6000シリーズが350MHz、500MHz、1GHzである。サンプリング速度はいずれも2.5Gサンプル/秒(GS/s)。販売価格は、99万8000〜245万円である。

mm121011_lecroy_table1.jpg HDO4000/HDO6000シリーズの主な仕様 2013年1月より、マルチタッチ(2点)に対応したディスプレイとなる。それ以前に購入した場合は、無償でダウンロードできるファームウェアでアップデートを行えば、ディスプレイがマルチタッチ仕様になる(画像はクリックで拡大)。出典:レクロイ

 HDO4000/HDO6000シリーズには、波形を高精細に再現するレクロイの技術「HD4096」を採用している。現在、ほとんどのデジタルオシロスコープは8ビットのA-Dコンバータを搭載している(以下、8ビット型オシロ)。したがって、256階調(2の8乗)の縦軸(振幅)分解能で波形を再現できるが、振幅が1階調分に満たない小さな信号は観測できない可能性がある。一方、12ビットのA-Dコンバータは、256階調の16倍となる4096階調(2の16乗)の分解能が得られるので、12ビット型オシロでは波形をより細かく再現することが可能になる。

mm121011_lecroy_fig1.jpg 8ビット型オシロでは、リップル波形が雑音に埋もれてしまうことがある(画像はクリックで拡大)。出典:レクロイ
mm121011_lecroy_fig2.jpg 同じ信号を入力してピーク・ツー・ピークの電圧値を計測すると、8ビット型は165mV、12ビット型では134mVだった。8ビット型では、入力信号の真値ではなく、それよりも大きい量子化雑音の方が見えてしまっている(画像はクリックで拡大)。出典:レクロイ
mm121011_lecroy_fig3.jpg デモの様子。左がレクロイの8ビット型オシロの従来機種、右が今回発表した新シリーズの1機種「HDO4034」である(画像はクリックで拡大)。
mm121011_lecroy_fig4.jpgmm121011_lecroy_fig5.jpg 8ビット型オシロの波形の拡大図(左)と、12ビット型オシロの波形の拡大図(右)。12ビット型は線が細く、よりクリアなことが分かる。電圧の読み値も、8ビット型では小数第2位までしか表示されていないが、12ビット型では小数第3位まで表示されている(画像はクリックで拡大)。

 レクロイが12ビット型オシロを発売するのは今回が初めてというわけではない。2011年5月に、周波数帯域幅が400MHz/600MHzでサンプリング速度が2GS/sの「WaveRunner HRO 6Ziシリーズ」を発表している。ただし、同シリーズの価格帯は270万〜280万円と、HDO4000/HDO6000シリーズよりも高い。HDO4000/HDO6000シリーズは、WaveRunner HRO 6Ziシリーズの回路を転用しているので、1GHz機をそろえ、なおかつサンプリング速度を2.5GS/sに引き上げながらも、価格の設定を200万円以下からに引き下げられたという。

サンプリング速度の面では弱点も

mm121011_lecroy_fig6.jpg レクロイの原 直氏

 ただし、HDO4000/HDO6000シリーズには弱点もある。現時点では、サンプリング速度を2.5GS/sよりも上げることができないという点だ。これは、技術的な問題ではなく、価格面での問題だという。レクロイは「周波数帯域幅が1GHzであれば、2.5GS/sのサンプリング速度で十分」としながらも、「5GS/s以上を希望するユーザーもいる。(HDO4000/HDO6000シリーズのサンプリング速度を)10GS/sに上げることは技術的には可能だが、そうするとサンプル/ホールド回路や波形メモリなども高性能にする必要があるので、コストがどんどん高くなっていく」と説明する。新シリーズは“低価格”という点も重視しているので、サンプリング速度と価格のバランスを考えた場合、2.5GS/sというのが限界だったようだ。

 レクロイの代表取締役を務める原 直氏は、「これまでオシロスコープは、“横軸方向(サンプリング速度)”の向上に力を入れており、“縦軸方向(垂直分解能)”の改善はなかなか進まなかった」と述べ、12ビット型オシロを市場に浸透させたいと強調した。

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